比較都市史学会例会

 雨交じりの曇天、冬を思わせる風。少なめ参加者。でもやるのがボスのクオリティ。


 というわけで、Fernuniversität Hagenの若手教授Felicitas Schmieder女史が来日中。今日の比較都市史学会例会は「マインツとフランクフルト:中世都市としての比較の試み」として公演。
 このお題を伺ったのは2回目だったので、今日は主に下働きとしてOHC周りをぐるぐると。中世都市の生成における教会の役割の強調、という視点は親近感を感じており、急速にファンになってはいるものの…同時に、「ドイツ」というくくりで見通しを示すことがほぼ不可能になっていることを証明しているのではないか、という危惧も感じる。この点は中世に限らず、近世に至ってますます強調されてゆくのではないだろうか。

(わき道にそれるけれど、id:saisenreihaさんがコメントで述べている

他の分野は分かりませんが、宗教改革史や再洗礼派史に関しては、事実上ドイツあるいは神聖ローマ帝国という大枠でひとまとめに考えるのは不可能になっていると思います。(ドイツでは、日本史は、歴史学の中で扱われない。」ミュンスター再洗礼派研究日誌)

 という嘆息は古ライヒ期以前のドイツ史全般に言えるのではないか…とも思えてしまう。E.シューバートの受容以来、わが国で「軸としての」帝国史の再評価が進んでいるという事実とは裏腹に。Schmieder教授が”入れざるを得ない”「それは例外として特記しなければならないが…」というコメントの数に、なんとなく感じる)

 ディスカッションでは鵜川先生のオックスフォードばなしが面白かったように思う。これは昨年のヨハネク教授とのディスカッションを見ていたからかもしれない。
 結局のところ、地方史ばやりのドイツ史についてなんらかのインフォメーションを日本に持ち込むためには、結局地方史の情報をどんどん増やしていくしかないのでは…と思う。その答えは簡単だけど、それを実践するには研究者の卵は少ないし予算も足りないなと。