研究者の評価で一番大切なこと。

近頃思うのは、研究者としての評価で
一番大切なのは何かということです。


一番大切なのは、結局シンプルなものです。
それは、


テクスト


それだけです。
研究者が執筆した論文や本などの文章、
すなわちテクストそれだけが、
評価のすべてです。
しかも、それはつねに現役のテクストです。
むかしはこんなに立派な論文を書きましたではなく、
やっぱり現役で今まさにこの瞬間、
何を書き綴っているのか、
それだけが研究者の評価で
一番大切なものだと思います。


だから学会でどんな役職に就いているかとか
(私もある学会の理事をさせてもらっていますが、
それは実は学会誌をもっと良くしたいからなのです)、
どんな大学に勤めているのかとか、
どこそこの会議に招聘されているかとか、
どこそこの権威ある雑誌に書かせて頂いているかとか、
どんな大学で学位を取得したかとか、
そういったものはすべて外的なもので、
あればあるで良いかもしれませんが、
それほど重要ではありません。


招聘されている会議、学会での役職、等々は、
結局、人に与えられているもので、
研究者としての自分に最終的に残る一番揺るがないものは、
最近現役として書いたテクスト(論文や本)しかない。
最近、とくにそう思うのです。


だから研究者にとっては、
学会内や学内の政治的権威
政治的振る舞いなどは、実は二の次、
三の次でしかないのです。
研究者にとって、
政治的な力なんか
おそろしく外的なものです。


ましてや、あいつのこと気にくわないから、
あいつには書かせないぞ、
あいつが書いているところには
自分は執筆しないぞという人や
オレは学会でこんなに力を持っているんだぞという人がいたら、
そういう政治「屋」的思惑で研究を考えておられる限り、
その方に対して私が言う言葉は一つです。


くだらねえ!!!


研究者としての私が最高の賛辞だと
とても有り難く思うのは、
論文や本を読んで頂いた方が、


感動した
面白かった
刺激的だった


と言って下さるときです。



今日、関学の帰りに購入した本。



ニッポンの海外旅行 若者と観光メディアの50年史 (ちくま新書)

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ニューズウィーク日本版ペーパーバックス 経済超入門

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マンガ偉人伝 チェ・ゲバラ (知恵の森文庫)

マンガ偉人伝 チェ・ゲバラ (知恵の森文庫)


山口先生の本の引用・参照文献には
安村先生や須藤先生のほかに、
拙著も挙げて下さっております。
読むのが楽しみです。


ジジェクはいつもながらに、
挑発的な言葉づかいに楽しめそうです。


ゲバラのマンガ本は、とてもうまく
ゲバラの生涯を描いておられて、
読みごたえのあるものになっていると思います。
やっぱ、ゲバラ、格好いいよな。
しびれる言葉、満載です。
たとえば、こういう言葉です。
格好いいよ。ほんと。

もしあなたが不正なことに対し、
怒りで身が震えるような思いをしたなら、
あなたはわれわれの戦友だ。(p.5)

僕は他人に何かを強要するような輩は、
誰だろうが信用しない。(p.45)

私は解放者じゃない。
解放者なんてものは存在しない。
人は皆、自分自身の解放者なんだ。(p.67)

ありったけの革命的情熱をこめて
きみを抱きしめる。(p.146)


やっぱり一番好きな極めつけの言葉はこれです。

もしわれわれがロマンティストだと言われるなら、
救いがたい夢想家だと言われるなら、
できもしないことを考えていると言われるなら、
何千回でも答えよう。『その通りだ(Yes, we are)』と。(p.109)

うーん。格好良すぎ。
とても大切なことを
思い起こしたいときに
また読もう。


私はもちろんゲバラのような革命家ではありませんが、
私の領域でつねにおそろしく、
理想家でいたいと思っています。
しかも、ふとこの世界に立ち寄ったに過ぎない、
旅人のような理想家でいたいと常々思っています。


そうすることで理想家ではない方々を
もしかしたら苛々させるかもしれませんが、
そういう生き方しかできないので、
勘弁してやって下さい。