どやさ


何気なくテレビをつけたら、今いくよ・くるよのお二人が漫才をしていた。
もう面白くて面白くて、終わった後とても幸せな気分になった。
ネタは至極古典的。
例えば、友達の「いわしたしま」さんが結婚して「あわじしま(淡路島)」さんになった、「みずのまき」さんが結婚して「はらまき(腹巻)」さんになったというもの。
今までに何度か聞いたことがあるし、話が進むうちに予想もできたのだが、それでも大笑いしてしまった。
話の合間に入る、くるよさんの「どやさ」も実に効果的で、まさに円熟のコンビという気がする。
失礼な言い方になるが、同じネタを若手の芸人さんがやって、ここまで面白いだろうか。
嫌な言い方になるが、「エンタの神様」や「レッドカーペット」に出てくる若手のお笑い芸人さんを見て「面白い」と思ったことは、あまりない。
話し方が違うのだろうか、間合いの取り方の違いか、経験の差か・・・?
私は、「師匠」の有無による差ではないかと思っている。
最近の若手お笑い芸人さんは、師匠を持たずにデビューする人が多いと聞く。
今いくよ・くるよさんの師匠は、島田洋之介・今喜多代のお二人だ。
「はじめは雑巾がけから」なんて言うと古めかしいが、師匠を通じて伝統、しゃべくりの基本、息遣い、さらには礼儀まで教わるということは、人間にとって、とても大切なことのような気がする。
芸人さんに限らず、一般人も「人生の指針を示してくれる人=師匠」を持つか持たないかでは、豊かな人生を歩む上で、大きな差が生じると思う。
そんなことを考えながら別の日にテレビを見ていたら、ナイツの漫才に大笑いしてしまった。
若手芸人さんでここまで面白いコンビはいないと思い、ナイツのことを調べたら、「師匠は内海桂子さん。テレビで売れっ子になる前から浅草の寄席に出演している」ということであった。
単なる偶然かもしれないが、教わる人を持つということは、何物にも変え難いと、改めて思いを深くした次第である。