YouTubeはコンテンツの著作権侵害をチェックしない?
「デジタルミレニアム著作権法を遵守している」--YouTube、著作権侵害訴訟でコメント - CNET Japan
ちょっと前の話題ですが、あのYouTubeがとうとう提訴されたという記事内で当のYouTube側はこのようにコメントしていました。
YouTubeは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の全規定を遵守するサービスプロバイダーだ。したがって、当社はDMCAのセーフハーバー条項によって完全に保護されている。
最近読んだ↓の本の中にもこのDMCAの話が出てきてました。(セーフハーバー条項は分かりません)
情報の私有・共有・公有 ユーザーから見た著作権 (叢書コムニス03)
- 作者: 名和小太郎
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「ノーティス・アンド・テイクダウン」とは本書の解説によれば、事業者Aの運用するサービスがあり、そのサービスのユーザBが第三者Cの著作物を無許諾で使用しているとき*1、事業者Aは「ノーティス・アンド・テイクダウン」の手順を踏めば責任を問われない、というもの。
事業者AをYouTube、Bをユーザ、CをTV局やアーティストと考えれば分かりやすいでしょう。
それで、この「ノーティス・アンド・テイクダウン」の手順を簡単に説明すると
- CはAに対して「Bの侵害著作物へのサービスを停止してくれ」と訴える
- AはBの侵害著作物へのサービスを停止し、そのことをBに通知する
- 一定期間内にBから反論があれば、問題の著作物へのサービスを復活する
- もしBとCの間で訴訟が起これば、手順3は実施しない
という手順。ここでポイントなのは、事業者Aはコンテンツを常時監視する必要がないということ。つまり、YouTubeの場合も、誰かから訴えが無い限りは、アップロードされるコンテンツの著作権侵害を確認しなくてもよい、ということになるのかな?
YouTubeとしては、ユーザからはとりあえず何でもアップロードしてもらって、著作権侵害の訴えがあった場合にはその侵害の真偽を確認せずに素直に公開停止すれば、侵害に関する責任を問われないようだ。
今までのYouTubeの動きを見ていると、TV局などから訴えがあった場合には確かに該当コンテンツを公開停止している。*2
そう考えると、id:wetfootdogさんのエントリでの
問題は世界中からアップロードされる映像の
ということですが、Youtubeとしては(一時的にしろ)メンドくさいのでアメリカ以外からはアップロード不可ということにする、というのはありそうです。
という指摘について、まずYouTubeは著作権チェックをする必要がなく、次に著作権の問題に関してはユーザBと第三者Cとの訴訟で争うべき問題なのでYouTubeは我関せず、ということになるんじゃないかと思う。ただし、世界中のCさんからの公開停止要請に応えるのは確かにメンドくさい。
そういうわけで、サーバ拠点を増やしたり人員を増やしたりして、YouTubeには引き続き世界中のコンテンツを扱い続けてもらえるとありがたい。
それともう一つ、DMCAのオンライン関係の規定には「著作権侵害の加害者の個人情報を一定の条件のもとで被害者に通知できる制度」というものがあるそうだ。YouTubeはDMCAの全規定を遵守していると宣言しているので、当然この制度も無関係ではない。
だから侵害著作物をアップロードしているユーザは、YouTubeからその著作物を削除されることよりも、被害者側へユーザの個人情報が提供されるということを心配した方が良いかもしれない。
(このエントリで書いてるYouTubeとDMCA、および著作権侵害の話は、法律素人の私が最近得た知識を元に考えたことなので、間違いや別意見があれば指摘してもらえるとありがたいです。)