ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

またまた登場、新名人

 文藝春秋8月号が出版された。
その中に、9ページにわたって佐藤新名人のインタビュウ記事が掲載されている。
聞き手は将棋界をよく知る大崎善生氏である。
 最新刊の将棋世界8月号でも名人戦総括ロングインタビュウ記事が載っており、しばらくは新名人フィーバーは継続中といったところである。
 「あの羽生さんを破った人」ということで注目されているわけだが、世間一般の人なら、羽生さんと云えば、スケートか将棋という漠然としたイメージしかわかないところであり、まして佐藤新名人と聞かされてもいったい誰だろうということに正直なるだろう。それはまるで、芸能界でいえば一夜にしてスターダムにのし上がった人であり、文芸の世界でいえば、あの「ミラノ 霧の風景」でいきなり文学者として登場した須賀敦子さんみたいな衝撃を受けるところである。


 さて文藝春秋の記事、将棋世界と重複しない部分で3点ほど紹介したい。

福岡に住みながら関西奨励会に通っていたころの話しとして
「伊藤宗看と看寿が作った詰将棋もずいぶん解きました。2人がそれぞれが百題ほどを手掛けた作品集で、今の目で見ても素晴らしい作品が揃っていると感動いたします。」
詰将棋フアンとして、実にうれしくなるコメントでした。


com将棋をどう考えているかに対して、
「将棋は人間が楽しむためのゲームで人間同士の勝負が魅力的なのは変わりません。その絶妙なルールの中で人間が勝負を繰り広げるのがおもしろいところです。僕はcomと人間のどちらが強いかにはそこまで興味はありません。comとの対局は一定以上の差がつくと逆転不可能になってしまう。ところが人間同士の勝負は、そんな局面からでも逆転することがある。そこに僕は惹かれています。」
*com将棋とは一線を画して、将棋本来の魅力を語ってくれています。


名人の居心地はいかがですかに対して
「いつまでも甘い夢に浸ってはいられません。まずは、来年の名人戦で防衛したいですね。当たり前ですが、名人になったからといっていきなり将棋が強くなったり、相手の手が見えてくるわけではありません。大切なのは目の前の一手を積み重ねること。平常心を忘れず、自分のスタイルを貫きたいと思っています。」