表参道ヒルズ

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 平日の疲れがたまっていて、決して調子が万全というわけではないのだが、好天に誘われて、かねてより一度訪れたいと思っていた表参道ヒルズに、妻と一緒に行ってきた。
 行ってみると、中も周囲もものすごい人。それだけでどっと疲れそうな気分になってくる。おまけに入場規制で入り口が一箇所になっており、余計に混雑に拍車をかけている。やれやれ。
 安藤忠雄氏設計の建物は、期待通りなかなか素晴らしい。表参道の傾斜に合わせた角度のスロープが巨大な回廊を形成した、大きな吹き抜け空間。景観に配慮した低層建築は、"歩く"ことを基本においており、徹底的に人間本位なつくり。こんなに人がいなければもっとこの空間をじっくり堪能できるのに、と思いながら歩いて中を巡ってみる。かつてここに存在していた同潤会アパートを再現した「同潤館」も素晴らしい。窓枠など、あえて同潤会と同じ素材を使っていてレトロな感じが出ているのも嬉しい。

Design of Doujunkai―甦る都市の生活と記憶 同潤会アパートメント写真集
 ここを今日訪れている人々のうち、どのくらいの人が、かつてここに同潤会アパートという、とても古いが建てられた当時は非常にモダンであった、そしてレトロとモダンが同居した素晴らしいデザインの宝庫であった建物があったことを記憶しているだろうか。知らない人は今すぐ「Design of Doujunkai」(建築資料研究社)という写真集を買うといい。表参道ヒルズの建築も素晴らしいし、同潤会が老朽化していたことは重々承知の上で言うのだが、やはりあの同潤会アパートが失われてしまったことは、いろいろな意味での損失だったように思う。とても残念でならない。
 さてそんな表参道ヒルズだが、何か理由がないと(あるいは近くを通ったので立ち寄った、とか)二度と来ないかもしれない。だって建物はともかく、中に入っている店が全然つまらないんだもん。妙に高級なファッション関係の店ばかりで、ブランドものなどにとんと興味のない我々夫婦には、ほとんどの店は興味の対象外。カフェ以外の飲食店が極端に少ないのも致命的。
 六本木ヒルズならば美術館があり映画館があるので、時々は足を運ぶことがあるのだが、ここはほとんど店ばかりなので、その店に興味がなければ積極的に来ようという気が起こらない。2005年8月28日の日記で妄想したような店が入っているならば、ぜひ毎週でも通いたいところだが(笑)。ただ、我々だけでなくここを訪れる大多数の人にとっても、ここに入っている店は積極的な興味の対象外のような気がする。オープン直後の今でこそ人が大勢来ているけれど、すぐに飽きられて閑古鳥、ということになってしまうんじゃないのかなあ。六本木ヒルズといい表参道ヒルズといい、森ビルは何か勘違いしているんじゃないの、という気がしてならない。
 いくつか気になった店だけ記しておこう。

  • ポワヴリエ Poivrier
    • http://www.poivrier.com/
    • スパイス・ハーブのセレクトショップ。他にも食材の販売や、カフェもある店。スパイス・ハーブが大好きな我々夫婦は興味津々だった。特に、マスコットフーズ社製スパイス・ハーブのラインナップの幅広さには圧倒される。黒胡椒なんて3、4種類くらいあるし、同じハーブでも自然乾燥ものとフリーズドライのものとがあったりして、その充実ぶりはすごい。3階にあるせいか、カフェも割と空いていて、けっこう穴場かも。ちょっと高いけれど……(これはヒルズ内の店全てに言えることだが)。
      • Spice the Spice - スパイス ザ スパイス -(マスコットフーズ社オフィシャルサイト。スパイスやハーブの紹介がとても豊富なサイト。オンラインショッピングページのぴょんぴょんはねるスパイスボトルがかわいい)
  • HIDA OMOTESANDO
    • http://www.em-hida.jp/
    • イタリアのプロダクト・デザイナー、エンツォ・マーリ氏Enzo Mariが、飛騨産業株式会社と組んで始めた、杉材木工家具プロジェクトのお店。シンプルで素敵な椅子やテーブルなど、いいものが並んでいる。残念ながら、我々夫婦は今使っている家具で満足して事足りているので、今すぐ欲しいとは思わないけれど。
  • amadana アマダナ
    • http://www.amadana.com/
    • 家電ブランド"amadana"の初のオフィシャルショップ。デザイン好きな私だが、(中にはいいと思うものもあるものの)どうもamadanaの製品はいまひとつ好きになれない。特に、amadanaの代名詞のように語られる電卓のデザインが、配色などに思い切りの良さが感じられず、イマイチ気に入らないのだ。そのうえ高いし……。私には、無印良品のデザインのほうがずっといい。
  • タッシェン東京テンプストア
    • 書店はこれだけかよー。しかも5月末までの期間限定オープンだし。店小さいし。タッシェン社Taschenのヴィジュアルブックが豊富に揃っているのは嬉しいけれど、タッシェンの本はどこでも手に入りやすいので、別にここでなければ買えないわけではないし。
  • Idea Frames Omotesando
    • http://www.idea-frames.com/
    • 実は、一番楽しかったのはここ。インテリアや生活雑貨のセレクトショップなのだが、とにかく広くて、品数が豊富。見てるだけで楽しいし、価格帯も手の届きやすい商品が多い。ここでデザインが気に入った携帯灰皿を購入。ここならまた来てもいいかな。

散歩のついでに

 上記表参道ヒルズを訪れる前後に、周辺でいくつか気になるスポットを探索。

  • マチュリテ青山 maturíte
    • http://www.maturite.jp/
    • 246沿いにある、素敵な外観のインテリアショップ。前にここを通ったときは見た記憶がないので、比較的最近にオープンしたのだろう。扱っている商品もなかなか良い。お値段のほうもそれなりだが。
  • スピックアンドスパン・フレームワーク青山店 Spick and Span FRAMeWORK
    • Bservice(Spick and SpanやFRAMeWORKを運営するベイクルーズのホームページ)
    • 昨年の秋冬カタログが素敵だったので(2005年8月16日の日記参照)、青山店に立ち寄って、春夏カタログをもらってくる。なんと今度は白いハードカバーの立派なカタログだ。白と青と金と黒の4色をモチーフにして商品を紹介している。写真の使い方のセンスも良い。こんな立派なカタログをただでくれるなんて、太っ腹だ。といっても、その分商品の価格に上乗せしているのだろうけれど。
  • Echika エチカ表参道
    • http://www.tokyometro.jp/echika/
    • 先日は駅から出られず、ほんの一部しか見られなかったのだが(2006年1月28日の日記参照)、今回は一応エチカの全体を見ることができた。しかし、駅周辺のあちこちに散在しているため、分かりにくい。飲食店がいくつか集まって、パリのマルシェのような雰囲気を構成している一角がちょっと面白かったくらいで、あとは「まあ、こんなものか」というくらいでした。