圧電体関連用語

アクセプタードーピング(acceptor doping)
⇔ドナードーピング(donar doping)


異常粒成長(abnormal grain growth; AGG)


液相焼結(liquid-phase sintering)
ペロブスカイト型の非鉛系圧電体ではBi,Naなどが使われる。ABO3においてはAサイトで使われている.
溶解-析出、solute dragなどにより焼結体の微細構造に影響を及ぼすと考えられる。また、焼結助剤として働き密度の増加する。液相焼結において等方的な粒子の成長は例外なく通常の粒成長をする。


格子欠陥

  • 点欠陥(point defect)

格子間原子(interstitial atom)、原子空孔(vacancy)などが挙げられます。また、不純物原子(impurity atom)も点欠陥の一つとして加えられることもあります。

  • 線欠陥(line defect)

転位(dislocation)が挙げられます。転位は、刃状転位(edge dislocation)、らせん転位(screw dislocation)、これらの複合型である混合転位(mixed dislocation)に区分できます。

  • 面欠陥(plane defect)

結晶粒界(grain boundary)、積層欠陥(stackgin fault)などが挙げられます。

  • 空洞(void)

原子空孔が3次元的に集合すると、結晶格子中に原子が存在しない穴が出来あがります。このような格子欠陥を空洞(void)と呼んでいます。

機械的品質係数(the mechanical Quality factor Qm)

圧電振動子に固有振動を引き起こしたときにどの程度の共振特性を示すかを表す指標。300以上を低損失材料(High Q材),300未満を(Low Q材)という。機械的品質係数が高いほうが振動に対する反応は遅く、共振を起こす振動数の幅が狭いためにその他の振動数で失われるエネルギーは少ない。


結晶相境界(MPB:Morphotropic Phase Boundary)
菱面体晶-正方晶や複合ペロブスカイト型構造-単純ペロブスカイト型構造などの異なる結晶系の境界。
このMPB付近では0.1mol程度の組成の変化で大きく圧電体の性質が異なる。


結晶方位制御(domain control)


結晶粒界(grain boundary)
多結晶体の結晶粒界は面欠陥のひとつ。
粒界での方位角の差から小傾角境界(small angle tilt boundary)と大傾角境界(big angle tilt boundary)に分けることができます。小傾角境界は亜境界とも呼ばれ、刃状転位が隣接する粒にそって群列を形成したものであることが知られています。金属を過剰に塑性変形させると、多数の転位が増殖して絡み合い、転位の壁で形成されたセル構造(cell structure)とよばれる細分化結晶組織が出来上がります。塑性変形試料を焼鈍(anneal)すると、結晶は安定構造をとるために多くの刃状転位を同一面に集積し、蓄えられた歪エネルギーを放出して回復(recovery)を行います。この過程をポリゴニゼーション(polygonization)と呼び、小傾角境界と呼ばれる結晶粒界は以上のようにして刃状転位の集合によって金属中に生成されます。また、刃状転位ではなくらせん転位列によって形成された境界は、ねじれ境界(twist boundary)と呼びます。

 一方の大傾角境界の場合は、粒界の構造は転位群で形成されるような半規則的な構造をとらず、多数の空孔が入り乱れた複雑構造をとるようになります。粒界が大傾角になるということは、すなわち隣接粒での自由エネルギーが高くなるということであり、このような粒界では結晶は液体に近い構造になります。このため、高温では大傾角な粒界は流動現象を起こし、大きなずれを生じさせてクリープ変形(creep deformation)の原因となることが知られています。一般的な金属は、融点直下で延性破断を起こす場合は上記したように粒界での大きなずれが原因となり、これを粒界破断と呼んでいます。

 粒界は以上で述べたように格子欠陥の集中構造を取っているため、照射損傷で点欠陥や点欠陥集合体が過剰に形成された場合はそれらを吸収する源(sink)として働きます。このため、粒界近傍での点欠陥集合体の成長過程の特徴を観察することは、点欠陥の基礎的挙動について研究を進めていく上で大変意義があります。また、粒界では結晶が成長する際に不純物なども集中させ、析出、腐食などを起こすため、照射損傷や塑性加工に関する研究のみならず、合金の開発などにおいてもその特徴について研究を行うことは極めて重要であると言えます。



原子空孔(vacancy)


格子間原子(interstitial atom)


焦電圧電結晶


ショットキイ欠陥(Schottky defect)


スパッタリング(sputtering)

真空中に不活性ガス(主にArガス)を導入しながら基板とターゲット(成膜させる物質Cr・Ti等)間に直流高電圧を印加し、イオン化したArをターゲットに衝突させて、はじき飛ばされたターゲット物質を基板に成膜させる方法


線欠陥


粗大化(coarsening)
⇔緻密化(densification)


チョコラルスキー法



緻密化(densification)
⇔粗大化(coarsening)


テープ成形(tape casting)
ドクターブレードを使用し、セラミックスのシートを作製する。セラミックス粉体を溶媒、結合剤、分散剤、結合助剤などとともにパルフェライザーやballmillによって攪拌・混練してスラリーを作製してキャスティングする。シートは一般的に積層することによって厚みを持たせて作製する。


点欠陥
点欠陥は結晶中の原子の熱振動の影響を受けて動くことができるため、格子間原子が原子空孔の位置に来るか、または原子空孔が結晶表面まで来れば格子中の原子配列は正常の状態に戻り欠陥は回復します。このため、結晶中の原子空孔と格子間原子は通常熱的に平衡状態で存在します。放射線などによる照射損傷や冷間加工などでは、熱平衡濃度以上に点欠陥が導入されるため、過剰に導入された点欠陥が集合体を形成して金属の機械的性質に影響を及ぼすようになることが問題となってきます。



ドナードーピング(donar doping)
⇔アクセプタードーピング(acceptor doping)

ドメインウォール(domain wall)

ドメインドメインの間の壁


ドメイン構造 (domain structure)

結晶内部がいくつかの分域に分かれていて、隣り合う分域の分極の方向が違うという構造。
強誘電性の結晶粒(グレインともいう)は、常誘電相からキュリー点を経て強誘電相に相転移する時に、結晶粒内のエネルギーが最も低くなるように自発分極の方向が異なる多くの分域(ドメイン,domainともいう)に分かれる。


ドメインスイッチング(domain switching)

未分極状態の強誘電性セラミックスに抗電界以上の直流電界を印加すると、ドメインドメインの境の部分であるドメインウオール(分域壁、ドメイン壁ともいう)は、ドメイン内部に比べて局所電界がはるかに小さいために、ドミノ倒しの様に次々と音速程度の速さで反転していき(=外見的にはドメインウオールが移動するように見える)、分域が次第に電界方向に揃うようになる。この現象をドメインスイッチングという。一般にこの操作を分極処理、あるいはポーリングと呼んでいる。


反応性テンプレート粒子成長法(RTGG法)

  1. 配向化したい目的物質と格子整合性があり、かつ目的物質に含まれる組成のみからなるテンプレート候補物質であること
    1. 組成に過不足がないよう補完物質を加えた場合に、テンプレート物質よりも目的物質の方が熱的に安定であること
      1. テンプレート物質を、板状、針状、短冊状などの形状異方性で合成することが可能であること、すなわち、テンプレート物質が結晶成長において強い構造異方性を有する必要がある


光散乱法(light scattering method)

コロイド分散系の中を光が通過するとコロイド粒子に照射された光が散乱され、チンダル現象が生じるためコロイド分散系は濁って見える。また、散乱が生じた分、透過光の強度は入射光に対し弱められる。この現象により、光の透過率や濁度が定義される。散乱光の強さは光の波長、コロイドの大きさ、溶媒とコロイドの屈折率、コロイドの形、散乱角に依存するため、散乱光をそれぞれの関数として解析すると、コロイドの大きさや密度、形状の情報が得られる。このような解析手法を静的光散乱法という。一般に光の波長より小さいコロイド粒子を解析する場合にはレイリーの散乱理論、光の波長と同程度の大きさのコロイド粒子を解析する場合にはミーの散乱理論が用いられる。最近ではレイザーが適用され散乱による測定法は飛躍的に進歩した。また、レイザー光は位相が揃っているので、コロイド粒子から発せられる散乱光の経時変化を解析するとコロイド粒子の運動の状態を調べることができる。もし、コロイド粒子がブラウン運動をしていれば散乱光の時間相関より、ブラウン運動の拡散係数を求めることができ、その情報より、粒子の大きさが決定される。この解析手法を動的光散乱法(または光子相関法)という。

cf. 静的光散乱法、動的光散乱法


非焦電圧電結晶



非鉛圧電セラミックス(lead-free piezoelectric Ceramics)


微細構造(microstructure)


フレンケル欠陥(Frenkel defect)


ヘテロエピタキシャル成長


ペロブスカイト型強誘電体物質
偽等方的
特性異方性



偏析(segregation)


ホットフォージ法

加熱中にせん断応力を印加することによって配向付与する方法
問題点として、せん断応力のかかりかたが不均一になっていまう。密度、配向度ともに不均一。生産性が低い


ホモエピタキシャル成長


溶質引き摺り効果(solute drag)

不純物元素やドナー・アクセプタードーピングを行ったBiTなどにおいて存在する格子欠陥に偏析を起こす。特に結晶粒界や結晶相境界(MPB)などは代表的な偏析サイト。再結晶、粒成長、相変態界面の移動を抑制することによって結晶粒径や集合状態を変化させる。原理としては、溶質原子が粒界とともに移動(拡散)するために自由エネルギーが消費されるために、溶質が存在しない場合に比べて界面移動を遅延する、この効果のことを言う。

(参考)
http://www0.nsc.co.jp/kenkyusho/contenthtml/s381/38108.pdf#search=%22solute%20drag%22


溶質トラッピング(solute trapping)


溶融塩法(molten salt synthesis)

cf.2段階溶融塩法(a two-step molten salt synthsis)


ロットゲーリングファクター(Lotgering factor)