粋仙会:藤井龍仙の日記

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淡墨を作る最適な季節とかあるの?

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今回のお題は
「淡墨を磨る季節」です

その都度、淡墨を少量作成される方と
宿墨好みの方で
結論が逆にみえるので、
それぞれに分けて考えます。

その都度、墨を作る方にとっては、
膠の加水分解が進みにくい水温、気温共に低い
冬が最適です。

膠の加水分解が進まない=滲みを保持しやすい
ということで、
作品の乾きは悪いですけど、
冬場のほうが制作には向いています。

一方、
宿墨が好きで芯をカリッと出したい方は、
膠の加水分解が急速に進む、
気温水温共に高い夏場が向いています。

宿墨については別の記事に
書いていますので、
そちらをご覧下さい。

宿墨がお好きな方は、
当然ながら墨を磨って
すぐに使うわけもなく、
ある程度時間を置くわけですけど、
夏といえばカビや細菌が
とても繁殖しやすい季節です。

加水分解促進のためとは言え、
雑菌が繁殖して、
どえりゃー臭いことにならないよう
工夫が必要です。

ちなみに、
冬場に濃くすると、
膠はゼリーになり、
加水分解はほぼ止まります。

加水分解が進むと、
ゼリーにはなりにくくなります。

夏に作って、
腐らせないよう保存し、
冬場にゼリーにならなければ、
スーパー宿墨の完成です。

万が一、腐ったら、
上澄み(膠が多く解けている部分)を吸出し、
再度水を入れて熟成させる
という、かなりマニアックな先生も
いらっしゃいました。

防腐処理にナニが一番いいのかは、
ただいま実験中です。

淡墨シリーズの記事はこちらから
http://d.hatena.ne.jp/suisen-an/archive?word=%2A%5B%C3%B8%CB%CF%5D