海外移住という選択〜家族で海外移住したKさんの話〜

ニュージーランド(以下NZ)には日本から移住や留学などしてくる人がたくさんいる。特に震災後は、奥さんと子供だけで留学してきて、だんなさんはそのまま日本で働いて仕送り、というパターンが最もポピュラー。

わたしが会ったKさんがNZにきたのは、そんな震災よりもずっと前(リーマン・ショックよりも前)でした。
Kさんは当時42歳。有名メーカーにお勤めでしたが、仕事を辞めて、日本に家族を残して単身留学・・・といっても、英語ができなかったので語学学校で英語を勉強していた。
当時の彼の英語力はTOEICで450点ぐらい。英語は学生のころ以来勉強したことがなく苦手だと言っていました。

そんな彼が留学してきたのは、実は奥さんの影響。
奥さんは彼が留学する前に、同じく仕事を辞め、Kさんと小学生の子供3人を日本に残して1年間語学留学&ホームステイをしていたそうです。

つまり、夫婦で順番に留学したわけですね!!

そして昔からの夢をかなえた奥さんの留学体験が素晴らしかったようで、今度は「じゃあ、ぼくも行ってみようかな」と思い、今度はKさんが1年間留学することに。

出発前まで数か月あったそうなのですが、近所の目が怖くて外を歩けなかったといっていました。たしかに、今の日本で、昼間40代の男の人が、ウロウロしていたら不審者だと思われてしまいますよね。

NZにきて、Kさんはすべてのプレッシャーから解放され、大自然の中でサーフィンや釣りを楽しんで暮らしているうちに、やはり家族をこちらによんで、こちらでみんなで暮らしたい、と思い始めました。

どこの国でも、外国人の就労は簡単ではありません。「なぜ現地の人ではなく日本人を採用しなければならなのか」ということを証明しなくてはならない。

Kさんの日本での仕事は総務。
うーん、なかなか外国でそのまま使える仕事ではありません…。なので、イチからなにか勉強して資格を取ることに…。
日本人じゃなきゃだめな仕事・・・といえば、すし職人などになるわけですが、彼が選んだのは自動車整備工。需要がありそうだったこと、車が好きだったことを考えて周囲に相談しながら、目標を決め、英語を学び、学校に行き資格を取って、仕事を見つけて、ビザを取り、数年後、ようやく家族で移住することができたそうです。現在は自分で会社を立ち上げるべく頑張っています。

こうかくと簡単なようですが、すべてが順調にいったわけではなく、長い道のりでした。仕事はなかなか見つからず、ビザも政府の要件がコロコロ変わる。英語の勉強も行き詰る。(NZではビザの要件にIELTSという英語試験がある)何度かあきらめかけたこともあったようですが、彼の場合年齢的にここで日本に戻っても厳しいかも、というのもあったのかもしれません。

奥さんもその間、シングルペアレント状態で大変だったことと思います。

彼らの場合は、もともと移住を計画していたわけではありません。
留学してみたい、という夢を行動にうつして、行動してみたら、また次のビジョンが見えてきた。そしてそのビジョンを二人で共有できた、というのが移住実現につながる大きなポイントだったと思います。

またすでに実際に現地にいることで、周囲に相談したり人を紹介してもらったりと、人の縁も大きかったに違いありません。

よく「仕事はあるか?」と私も聞かれるのですが、就職先を日本にいながら探そうというのはあまりに無謀。
やはり大きいのはタイミングと人の縁と思います。