3/8に書評をUpした『あたらしい課長の教科書』に続く、酒井穣さんの第2作。1日で読める戦略本、というのが面白い。
- はじめに
- 第1章 戦略とは何か?
- 戦略とは「旅行の計画」である
- 大学受験の戦略を考える
- 戦略は、時間とともに成長する
- 戦略における完璧主義のワナ
- 戦略は中心メンバーの選出から始まる
- 第2章 現在地を把握する〜情報収集と分析の手法
- 情報力が戦略を簡単にする
- 集めるべき情報・行うべき分析とは何か?
- 顧客情報こそキングである
- 情報収集の3つのステップ
- 情報収集の現実
- 情報分析の基本
- 第3章 目的地を決定する〜目標設定の方法
- 目標は何のためにあるのか?
- 目標設定の怖さを理解する
- 戦略立案を刺激する優れた目標・5つの条件
- 第4章 ルートを設定する〜戦略立案の方法
- 戦略は本当に必要なのか?
- スイート・スポットをシェアし、戦略を育てる
- あたらしいアイデアが本当に求められるとき
- クイック・ウィンのテスト・ケースを走らせる
- 立案させる戦略の構造
- やめるべきことを常に探す
- リスク対策と代替案の準備を忘れずに
- 戦略のキャッチ・コピーを忘れずに
- 第5章 戦略の実行を成功させる
- 人を説得するための方法論を知る
- 組織トップのコミットメントをマネジメントする
- 組織内で、危機感と希望を共有する
- 情熱の伝染病を起こす
- 組織内に「やさしい空気」を作りだす
- 戦略の実行に反対する人々との戦い
- 戦略の実行に使えるノウハウ集
- あとがき
- 付録 さらに戦略の理解を深めたい人のための書籍&DVD
- 主な参考文献
前作に続いて、スムーズに読みやすい一冊。月曜の出社時に電車の中で読み始めて、帰りの電車ではもうほぼ終盤。家に帰って寝る前にちょっと読んで読了してしまった。1500円を1日で読んでしまうことが、はたしてお得なのかどうかという話はおいておいて(^_^;)、読みやすい流れと文章は前作に続いて洗練されている。
本書は戦略本にあるようでなかった、現場からの戦略本。「現場から」であってトップダウンではない。ゆえに、マネジメント層に対する戦略本とは一線を画した内容となっている。また、分析に主眼を置かず、いかに戦略を推し進めていくか、という実行に比重を置いている点も特徴といってもいいかもしれない。
本書の内容は、小難しい戦略本とはまったくちがう。まず第1章で戦略についての考え方について改めて考え直すことから始まり、第2章〜第5章で、戦略の3要素として「現在地の把握」→「目的地の決定」→「ルートの選定」を分かりやすく説明する。戦略をカーナビにむすびつけてわかりやすく説明されており、すっと読み進めることができる。さらに最後に、戦略の「実行」を成功させるとして、いかに戦略の実行を推し進めるかという部分に最後の1章を割いている。
会社全体の戦略というほどではないにしろ、部門や自分の周りの仕事における戦略を実行する程度だとしても、本書においてわかりやすく説明された戦略実行に必要な要素を理解した上で推進すればより「やりやすく」なるという意味で、価値ある1冊といえるだろう。