DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

   前年最下位のキア6連勝  新球団ウリ6連敗  

ウリ 0−2 SK  (仁川・文鶴)
(勝)イ・ヨンウク 1勝2敗  (セーブ)チョ・ヨンミン 1S (敗)ファン・ドゥソン 1敗
 2007年の王者SK、2008年誕生した新球団ウリはここまで示範競技5連敗と、不調のチーム同士の対決となった。SKは1回裏、ウリの先発ファン・ドゥソンから先頭の1番チョン・グヌがヒットで出塁し、連続盗塁を決め3塁まで進むと相手のエラーで生還し1点を先制した。ファン・ドゥソンはその後好投し4回1失点と好投するが、SKの先発イ・ヨンウクも5回無失点と好投する。SKは7回裏ウリの2番手チョ・スングォンから7番パク・キョンワンのタイムリーで1点を追加した。
 SKはユン・ギルヒョン、チョン・ウラム、チョ・ヨンミンなどの継投で相手に反撃を許さず、完封リレーで5連敗から脱した。SK、ウリともに6安打ずつだったが、SKは王者らしく相手のミスにつけ入り得点を奪った。新球団ウリはこれで6連敗となり、23日示範競技最終戦で7位SKに勝っても勝率で上回ることはないため、示範競技最下位が確定した。投手陣は好投するものの、キャンプ期間が2月半ばに開始と短かったこともあり、エンドランなどの多彩な攻撃ができず、得点力がない。またベテランの主力打者の契約が遅れ、示範競技に最初から出場できていないなど調整不足も目立ち、新球団の行く手は前途多難である。
  

トゥサン 7−6 ハンファ  (大田)
(勝)ラス 2勝1敗  (セーブ)チョン・ジェフン 2S  (敗)リュ・ヒョンジン 1敗
本塁打) ハンファ : キム・テワン 1号
 トゥサンでは故障や病気などのためこれまで示範競技に出場できなかったキム・ドンジュ、チェ・ジュンソクの2人が示範競技に初出場し、初回から打線が爆発した。1回表ハンファの先発リュ・ヒョンジンから4番キム・ドンジュなどのヒットで満塁のチャンスを作ると、5番キム・ヒョンス、7番チェ・サンビョンのタイムリーで4点を先制した。ハンファは2回裏トゥサンの先発の新外国人ラス(元東北楽天)から9番チェ・サンビョンのタイムリーで1点を返すが、トゥサンは6回表ハンファの3番手ムン・ヨンミン、4番マ・ジョンギルからチェ・サンビョン、8番イ・デスのタイムリーなどで3点を追加した。
 ハンファは6回裏、トゥサンの2番手の大卒新人コ・チャンソンからキム・ミンジェ、途中出場の1番ユン・ジェグクのタイムリーで3点を返す。さらに9回裏トゥサンの守護神チョン・ジェフンから5番キム・テワンの2ランで1点差に迫るが、反撃もここまでだった。トゥサンでは復帰したキム・ドンジュが2安打、キム・ヒョンスが3打点、チェ・サンビョンが3打点と活躍した。北京五輪世界最終予選後初登板となったリュ・ヒョンジンは、3回4失点と今ひとつの内容だったが4奪三振を記録した。打線ではキム・ミンジェが2安打3打点と活躍。
 

ロッテ 2−4 サムソン  (大邱
(勝)クォン・オウォン 2勝  (セーブ)オ・スンファン 2S  (敗)イ・ヨンフン 1敗
本塁打) サムソン : ヤン・ジュンヒョク 2号
 サムソンは1回裏ロッテの先発イ・ヨンフンから3番ヤン・ジュンヒョクの2ランで先制する。ロッテは3回表サムソンの先発チョ・ジンホから4番イ・デホの犠牲フライで1点を返し、イ・ヨンフンも2回以降は失点せず5回で降板する。だがロッテ打線はクォン・オウォン、クォン・オジュンなどサムソンのリリーフ陣を攻略できない。サムソンは8回裏ロッテの4番手ぺ・ジャンホから途中出場の8番ソン・スンヒョンのタイムリーで2点を追加した。
 ロッテは9回表サムソンの守護神オ・スンファンから6番チョン・ボミョンのタイムリーで1点を返したが、反撃もここまででサムソンが示範競技3連勝と好調を維持している。サムソンでは38歳のベテランのヤン・ジュンヒョクは2安打1本塁打2打点と健在で、今季も打線の中軸となるのは間違いない。今季サムソンで復活を期す元メジャーリーガーのチョ・ジンホは、先発ローテーション入りに希望を持てる内容だった。ロッテでは新外国人ガルシア(元オリックス)が3安打と活躍。
 

キア 4−3 LG  (ソウル・蚕室)
(勝)リマ 2勝  (セーブ)イム・ジュンヒョク 3S  (敗)チェ・ウォンホ 1勝1敗
本塁打) キア : イ・ヒョンゴン 1号
 5連勝と好調のキアは2回表、LGの先発チェ・ウォンホから8番キム・サンフンのタイムリーで1点を先制し、4回表6番イ・ヒョンゴンの2ランでリードを広げた。LGは5回裏キアの先発の新外国人リマから8番パク・キョンスのタイムリーで1点を返し、7回裏キアの2番手クァク・チョンチョルから1番イ・デヒョンのタイムリーで1点差とした。キアは8回表LGの3番手チョン・ジェボクからキム・サンフンのタイムリーで1点を追加し、LGは9回裏キアの4番手イム・ジュンヒョクから3番パク・ヨンテクのタイムリーで1点を返したが、キアが1点差を守りきり6連勝で示範競技首位の座を守った。
 メジャーリーグ通算83勝の大物外国人リマは、この試合でも6回を1失点と好投し、先発の柱としての活躍を予感させた。打線では外野のレギュラー争いで必死の7番キム・ウォンソプが3安打、正捕手キム・サンフンが2安打2打点と活躍した。LGでは期待の高卒新人チョン・チャンホンが2番手として、5回から7回までを無失点に抑え、示範競技では4試合に登板していまだに無失点と、開幕1軍を確実にした。

(示範競技:3月22日現在) 

        試合  勝  敗  分  勝率  差
1.キア    13  10    3  0   .769    0
2.サムソン   13    8   3  2    .727   1.0
3.ロッテ     12   7   5    0   .583    2.5
4.ハンファ  13    6    6    1   .500    3.5
5.トゥサン   10    4   5   1   .444   4.0
6.LG     12    4  7   1   .364  5.0
7.SK     12     4   8  0  .333  5.5
8.ウリ     11    2    8    1   .200  6.5

  第4回 サムソンライオンズ

2007年成績 : 62勝60敗4分 公式戦4位 準プレーオフ進出

 2004年オフのソン・ドンヨル監督(元中日)就任以降、2005,06年と韓国シリーズ連覇を達成したが、2007年は主力野手の高齢化、ここ数年FAで大物選手を取り続けたため若手の成長がなく世代交代に失敗し、エースのペ・ヨンスが手術のリハビリで登板できないなど、マイナス要素が重なり公式戦4位と低迷した。そのためオフには活躍できなくなったベテラン勢を解雇するなど、大きな構造改革に乗り出した。今季はユニフォームもデザインを変更し、チーム再建と2年ぶりの韓国シリーズ優勝をともに狙う。 


投手】 

[先発] ペ・ヨンス、チョン・ビョンホ△、オバミュラー(元オリックス)※、チョン・ヒョヌク、ユン・ソンファン
[中継ぎ] クォン・オジュン、クォン・ヒョク△、クォン・オウォン、チャ・ウチャン△、アン・ジマン、イ・サンモク※
[抑え] オ・スンファン
(※は新加入、△は左腕)

 2007年はペ・ヨンスの離脱により、先発投手陣のコマ不足が目立った。ブラウン(元阪神)、マゾーニの両外国人は完投能力がなく、リリーフ陣に負担がかかっていたため再契約できなかった。今季はペ・ヨンスがキャンプ中の練習試合から好投を続け、復活に期待できる。新外国人オバミュラーも先発を任され、ベテラン左腕のチョン・ビョンホ、兵役から復帰したチョン・ヒョヌク、中継ぎから転向したユン・ソンファンなど、先発陣は強化に成功した。なお、日本プロ野球東京ヤクルトに移籍したイム・チャンヨンは、2004年のFA行使前までは投手陣の柱だったが、2005年以降は故障に悩まされ、手術のリハビリでほぼ1年を棒に振ってしまうなど、あまり戦力として機能していなかったので、抜けたことによる戦力の低下は今のところ見られない。
 2007年は先発が不安定でも中継ぎ以降がしっかりしていたため、大崩れする試合はそんなに多くなかった。今季も左右、質量共にそろったリリーフ陣は健在である。左ではクォン・ヒョク、右ではアン・ジマンが中継ぎの柱となる。ロッテから移籍したイ・サンモクは、豊富な経験を生かして先発としての起用も考えられる。抑えには2年連続40セーブ以上を記録したオ・スンファンが控えているが、これまでの勤続疲労かオフの五輪予選をひじ痛で辞退しキャンプでは実戦登板できず、不安を感じさせた。だが示範競技で登板し調整を続け、今季も例年通りの活躍が期待できそうだが、故障などで離脱した際の代役を考える必要はある。
 

攻撃

[ベストオーダー]
1.パク・ハニ(右)△
2.シン・ミョンチョル(二)
3.ヤン・ジュンヒョク(指)△
4.シム・ジョンス(左)
5.クルーズ(一)△※
6.パク・チンマン(遊)
7.ホ・スンミン(中)△※
8.チン・ガビョン(捕)
9.パク・ソンミン(三)
(△は左打者、※は新加入)

 2007年のチーム打率.254、497得点は8球団中最下位であり、韓国シリーズ3連覇を逃す最大の要因となった。特に下位が弱く、打線の大幅な入れ替えを行った。まずハンファで打率3割、22本塁打と活躍したが足の故障のため自由契約となったクルーズを獲得した。守備に不安があるため負担の少ない一塁を守ることになる。またこれまで生え抜きの主力内野手として活躍してきたキム・ハンスを2軍プレイングコーチに任命し、実質上の引退状態にした。兵役から復帰してきた期待の若手パク・ソンミン、大卒新人ホ・スンミンなど若手がレギュラーに定着すれば、打線に活気が生まれる。
 また2000本安打を達成した大打者ヤン・ジュンヒョク、本塁打、打点の二冠王シム・ジョンス、新外国人クルーズのクリーンアップは8球団1の破壊力を秘めている。2007年は不振だった1番パク・ハニが復活すれば、得点力が上がり貧打は解消される。シン・ミョンチョル、パク・チンマンの二遊間も健在だ。


本拠地
 大邱・公設運動場野球場
 
 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。周囲を山々に囲まれた盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。リンゴの産地としても有名で、韓国の繊維産業の中心地である。
 電子製品を中心に世界的な企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。1982年の球団創立以来チーム名や本拠地の変更はなく、大邱やその周辺地域を中心にファンが多い。普通ホーム応援席といえば1塁側だが、この球場は夕方西日が差し込みまぶしいということで、3塁側内野に応援席がある。長年ファンに親しまれてきた球場ではあるが、近年老朽化が激しく補強工事も行われ、大邱市内にドーム球場を建設する計画も出ている。
 韓国プロ野球の応援は、応援コールのパターンが比較的少ないが、サムソンは選手別の応援歌が多く、チーム一の人気選手である大打者ヤン・ジュンヒョクが打席に入ると、「ウィプンダンダン(威風堂々)、ヤンジュンヒョク!」のテーマソングで大いに盛り上がる。


(球場正面入り口。)


(内野3塁側から見たグラウンド。)


(打席にはヤン・ジュンヒョクが立つ。)


(パク・チンマンの応援歌ボードを持つチアガール。)


(守護神オ・スンファンが投球練習を開始。)


[交通アクセス]
Korail大邱地下鉄1号線大邱駅から徒歩10分。

(文責:ふるりん)