DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  メディアデー実施  各球団の監督、選手たちが出席

 3月29日の開幕を控え、プロ野球8球団の監督や選手たちが出席しマスコミ向けに行われる2008年プロ野球メディアデーが25日ソウルで開催された。SK(イ・ホジュン)、トゥサン(キム・ドンジュ)、ハンファ(キム・ミンジェ)、サムソン(ペ・ヨンス)、LG(パク・ミョンファン)、ウリ(ソン・ジマン)、ロッテ(チョン・スグン)、キア(チャン・ソンホ)の8球団から1名ずつ選手代表が今季の抱負を述べた。またモ・チャンミン(SK)、チェ・ウォンジェ(サムソン)、チョン・チャンホン(LG)、ナ・ジワン(キア)など期待の新人たちも各球団1人ずつ出席し、今季の飛躍を誓った。
 最後に各球団の監督が今年の目標を掲げ、主力選手に負傷者が多い2007年の王者SKのキム・ソングン監督は、5月まで勝率5割を維持し連覇を達成すると述べた。またハンファのキム・インシク監督、サムソンのソン・ドンヨル監督などは王者SKの力を認めつつも、連覇を阻止する強い姿勢を見せ、開幕前に監督たちが舌戦を繰り広げていた。なお新球団ウリヒーローズイ・グァンファン監督は、戦力的には厳しいものの他の7球団相手に一波乱起こしてみせると述べた。

  ホン・ソンフン、年俸大幅減で残留

 トゥサンは25日、正捕手の座を失いトレード志願していたホン・ソンフン(31)と1億2400万ウォン(約1270万円)と40%減の年俸1億8600万ウォン(約1900万円)で再契約した。ホン・ソンフンは2007年シーズン負傷と不振により2軍へ降格し、その間にチェ・サンビョンが正捕手の座を奪い、復帰後は捕手としての起用はほとんどなかった。シーズン成績は80試合に出場、打率.268、5本塁打、39打点、0盗塁。
 捕手としてはやや守備に不安があったこともあり、オフには以前から話があった1塁へのコンバート案が打診されたが、捕手としての出場機会を求めキム・ギョンムン監督にトレード要請を直訴したたため、年俸更改の期限となる1月末までに今季の契約を結べなかった。これにより球団側はホン・ソンフンを未契約保留選手にし、本人が同意すればいつでも選手登録できるような状況にしていた(1月31日付日記を参照)。その後新球団ウリヒーローズへのトレード案も噂されたが、結局実現せず本人も移籍を断念し、トゥサンに残留することとなった。
 ホン・ソンフンは1999年大学卒業後トゥサンへ入団、新人の年から111試合に出場し新人王に輝いた。長年にわたってトゥサンの正捕手と打線の軸として活躍し、2004年には打率.329、165安打を記録し最多安打のタイトルを獲得した。プロ9年間の通算成績は1007試合に出場、打率.286、968安打、99本塁打、531打点、42盗塁。

  尚武との練習試合で快勝

 トゥサンは25日、開幕前の調整のため尚武(サンム、国軍体育部隊)とソウル郊外の城南(ソンナム)の尚武専用球場で練習試合を行った。トゥサンは先発キム・ソヌが3回1失点、2番手イ・スンハクが3回無失点と、米国帰りの2人が好投した。また中継ぎとしてイ・ジェヨンが1回を無失点に抑え、兵役から復帰した今季の活躍を期待させた。打線では7番ユ・ジェウンが満塁本塁打を打ち、5番キム・ヒョンスが3安打1打点と活躍し、7−1でトゥサンが快勝した。

  選手の平均年俸、前年より5.6%減

 KBO(韓国野球委員会)が発表した資料によると、外国人、新人選手を除く2008年の選手1人あたりの平均年俸は、2007年の約8470万ウォンより約5.6%減の約8000万ウォンとなった。年俸の減少傾向は、1999年にKBOが資料を公開して以来初めてである。どの球団も大幅な赤字経営に悩み、現代ユニコーンズの3度にわたる売却交渉失敗などでプロ野球全体の見通しが不透明な中、どの球団も選手の年俸上昇を抑えたためであると思われる。 
 球団別に年俸総額を見ると、シム・ジョンス、ヤン・ジュンヒョクなどの高額年俸選手を抱えるサムソンが、年俸総額58億2325万ウォン(選手1人当たり1億1418万ウォン)と2007年に続き2年連続で1位となった。また現代の選手が移籍し発足した新球団ウリヒーローズは、2007年の現代と比べ年俸総額を約30%削減した。これは特に3億ウォン以上のベテランの高額年俸選手に半減以上の年俸を提示し、やむを得ず多くの選手がサインしたからである。25日現在もウリではキム・ドンス、チョ・ヨンジュンと2名の選手が今季の年俸契約を結んでいない。
[各球団別年俸総額] ( )内は選手1人当たり平均
1.サムソン 58億2325万ウォン (1億1418万ウォン)
2.SK 48億1300万ウォン (9437万ウォン)
3.ハンファ 42億3600万ウォン (8305万ウォン)
4.LG 40億4600万ウォン (7356万ウォン)
5.トゥサン 39億3200万ウォン (8024万ウォン)
6.キア 39億2450万ウォン (7547万ウォン)
7.ロッテ 35億8100万ウォン (6511万ウォン)
8.ウリ 29億1200万ウォン (5600万ウォン)
※ 1億ウォンは約1020万円


[高額年俸選手10傑]
1.シム・ジョンス(サムソン)  7億5000万ウォン
2.キム・ドンジュ(トゥサン)、ヤン・ジュンヒョク(サムソン)  7億ウォン
4.チャン・ソンホ(キア)  5億5000万ウォン
5.イ・ホジュン(SK)、チン・ガビョン(サムソン)、パク・ミョンファン(LG)、ソ・ジェウン(キア)  5億ウォン
9.ク・デソン(ハンファ、元オリックス)  4億7000万ウォン
10.パク・チンマン(サムソン)  4億5000万ウォン
 シム・ジョンスは2005年から08年まで4年間の長期契約を結んでいて、2007年に続いて最高年俸選手となった。2007年は自身初の本塁打、打点の二冠王に輝いたが、今季も最高年俸に見合った活躍ができるか。FAでサムソン移籍後は、現代在籍時ほど本塁打を量産できていない。2007年史上初の2000本安打を達成した大打者ヤン・ジュンヒョクは、オフの契約更改で7億ウォンの大台に達した。キム・ドンジュは2007年オフFAを行使し日本進出も考えたが、結局契約期間1年の年俸7億ウォンでトゥサンに残留した。今季初めて韓国でプレーすることになったソ・ジェウンは、かつてメッツ、デビルレイズなど米国メジャーリーグで活躍した実績を評価されての高額年俸である。
 FAを行使し大型の複数年契約を結んだ選手が、高額年俸選手には目立つ。FAによる年俸上昇が各球団の経営を圧迫してきたため、今後KBO理事会などでFA制度の見直しが進められることになっている。
 またレギュラークラスとして認められる年俸1億ウォン以上の選手は、2007年の89名から94名と5名増加した。

  第7回 ロッテジャイアンツ

2007年成績 : 55勝68敗3分 公式戦7位

 2007年は序盤こそ善戦し、5月までは週末に本拠地の社稷(サジク)野球場が満員となることも多かった。だが例年通り夏場を迎えると優勝争いから脱落し、2年連続7位と熱狂的なファンたちにため息をつかせるだけの結果となった。21世紀になって1度もポストシーズンに進出できず、特に2001年から04年までは4年連続最下位と暗黒時代を迎えてしまっている現状を打破するため、新監督として韓国プロ野球史上初の外国人監督となるアメリカ出身のジェリー・ロイスター氏を迎えた。ロイスター新監督がチームに巣食う負け犬体質、負の連鎖を一掃できるかが注目される。

投手】 
[先発]  ソン・ミンハン、マクレリー※、チャン・ウォンジュン△、ソン・スンジュン、チェ・ヒャンナム
[中継ぎ]  チェ・デソン、カン・ヨンシク△、キム・イリョプ、イ・ヨンフン、ペ・ジャンホ、ホ・ジュンヒョク
[抑え] イム・ギョンワン
(※は新加入、△は左腕)
 先発は今季もここ数年エースとして活躍しているソン・ミンハンが軸となる。新外国人マクレリーはキャンプから安定した投球を続けていて、先発2,3番手としての期待が大きい。韓国2年目を迎えた米国帰りのソン・スンジュンも、適応期間を終え今季は年間を通してローテーションを守ってほしい。毎年2ケタ勝利を期待されながらあと一歩届かないチャン・ウォンジュンが、リュ・ヒョンジン(ハンファ)のように左のエースに成長すれば台所事情は一気に楽となる。
 先発陣はそれなりに頭数がそろっているが、リリーフ陣に不安が大きい。若手がなかなか成長せず、特に中継ぎは他球団と比較し絶対的な存在がいない。ペ・ジャンホ、ホ・ジュンヒョクなどの若手の成長に期待しなければならない。2007年抑えを任されたカブレラは、他球団の守護神と比べて内容が不安定だったこともあり、今季の契約はなかった。そのためこれまで中継ぎで活躍してきたサイドハンドのイム・ギョンワンが抑えを任される。
  

攻撃

[ベストオーダー]
1.チョン・スグン(左) △
2.キム・ジュチャン(中) 
3.パク・ヒョンスン(一)
4.イ・デホ(三)
5.ガルシア(元オリックス)(右)△※
6.チョン・ボミョン(指)
7.カン・ミンホ(捕)
8.パク・キヒョク(遊)
9.チョ・ソンファン(二)
(△は左打者、※は新加入)

 2007年は主砲イ・デホへの依存度が大きく、その前後を打つ強打者として新外国人ガルシアを獲得した。ガルシアは左の大砲として、25本塁打以上が期待されている。だが本塁打だけでなく率も残せるイ・デホにチームの命運が託されているのは変わらない。若き正捕手カン・ミンホは一発もあるだけに、下位打線においておけば怖い存在となる。8年ぶりに古巣へ復帰したかつての強打者マ・ヘヨンが復活できるかが注目されている。
 2007年はチーム打率こそ.270と8球団中2位だったが、長打力不足だけでなく盗塁も少なく、攻撃が単発で終わる場面が目立った。そのため2007年に22盗塁を記録し、北京五輪予選にも出場したキム・ジュチャンに期待がかかる。また2003年にレギュラーとして活躍し29盗塁を記録し、兵役から復帰したチョ・ソンファンも復活の兆しをみせている。これにかつての盗塁王チョン・スグンが加われば、機動力野球も展開できてくる。  


本拠地
 釜山・社稷野球場
 韓国第2の都市・釜山(プサン)は野球の盛んな都市として知られ、高校野球では毎年のように好選手を輩出し続けている。野球好きな市民の期待を一身に受けるロッテの本拠地社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと3万人の大観衆で球場が埋まり、韓国随一と呼ばれる熱狂的な応援が見られる。ファンたちは新聞紙をちぎってボンボン状のふさを作り、終盤になると配布されるオレンジ色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、独特の応援風景を作り上げる。また終盤には「釜山港へ帰れ(プサンハンヘ トラワヨ)」、「釜山のカモメ(プサンカルメギ)」などのご当地ソングが歌われ、雰囲気を盛り上げる。

(球場正面入り口。)


(球場通路内のグッズショップ。)


(どこかで見たようなマスコット。ヌリ君とアラちゃん。)


(内野1塁席からグラウンドを眺める。)


(ステージ上でリードを取る応援団長。)


(オレンジのビニール風船が波のように揺れる。)
 
[交通アクセス]
釜山地下鉄3号線・社稷(サジク)駅下車徒歩5分、総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅下車徒歩8分。
KTXや長距離列車が発着する釜山駅から社稷駅まで、地下鉄1号線に乗り蓮山洞(ヨンサンドン)駅で3号線に乗り換え30分弱。総合バスターミナル近くの釜山地下鉄1号線・老圃洞(ノポドン)駅からは同じく蓮山洞駅で乗り換え、30分弱。 

(文責:ふるりん)