∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

スーパーマン:シークレット・アイデンティティ(Superman: Secret Identity) #2 レビュー

Secret Identity (Superman)

Secret Identity (Superman)


前回までのあらすじ

カンザス州ピケッツビルのクラーク・ケントはスーパーマンと同じ名前のせいで苦労していた。ところがある日クラークはスーパーマンと同じ能力に目覚め、スーパーボーイとしてコッソリ活躍することになったのだった。

※1号のレビューのリンクはこのエントリの最後にあります。


今回の話

冒頭からオフィスで働いています。スモールビルからの旅立ちのときは一切なし。予想はしていましたがドライです。日常ってそんなもんですよね。初めて一人暮らしをはじめたときもしばらくは旅行してるくらいの気持ちでしたし。一度帰省してからの方が実感がありました。

オフィスで新聞を眺めながら昨夜飛行機の墜落を防いだことを思い出すクラーク。ハロウインのときくらいにしかおおっぴらに着れないコスチュームを着続けている理由について語っています。暗闇に紛れてみんなが知っている「スーパーマン」のコスチュームを着ている限り、目撃者や警官の「スーパーマンだ」というのはジョークで済まされるだろうとのこと。誰も深く追求しないだろうし、自分の安全は確保できる。

と、一般人はそれでよくても黒服の男が追ってますけどね。まだ両者に直接の接点はありませんが、後々の伏線になっているんでしょうね。


オフィスで偉い人からの呼び出し。偉い人から経歴を「カンザス州スモールビル出身の記者、クラーク・ケント」と読み上げられます。みんなスーパーマン好きですね。クリストファー・リーブの映画『スーパーマン』シリーズと映画『スーパーマン・リターンズ』がありましたが、先ほどのクラーク・ケントの経歴を覚えている人はどのくらいいるんでしょうか。レポーターではなく、作家になるつもりだし、ピケッツビルから来たのだと訂正するクラーク。

クラークの書いたものを読んでの講評。「視点はいいが、あまりに事象と自分を切り離していてクールすぎる。もちろん頭で考えることも大切だけど、何を伝えたいのか、自分の魂をもっとつめ込まないといけない」このコマだけセピア色の写真のような色調になっています。クラークにとって衝撃だったという表現でしょうか。もっとも、彼女はクラークのことを評価しているようで、パンテオン(多分パンテオン・ブックス)の編集者の連絡先を教えてくれます。


そして誘われて夕食を食べに行くと紹介されたのはロイスという女性。クラーク・ケントとロイス・レーンというジョークですね。場内大爆笑。笑いの種にされたロイスは怒って店を出て行き、クラークは後を追います。「これまで18人のロイス*1と7人のラナ*2とキャット・グラント*3と会った(から大したことじゃないよ)」と言います。

流石にキャット・グラントは伝わりませんでしたが、一緒にディナーに行くことに。「あなたのお友達にレックス*4って名前の私を誘拐して殺人光線を浴びせそうな人はいないわよね?」というジョークも。こちらのロイスはインテリアデザイナーで西海岸出身。小説も好き。「次はいつ会える?」というクラークの問に「(スーパーマンにしか聞こえない)音波時計を鳴らすわ」と答えるロイス。クラークが「それじゃジミー・オルセンだ」と解説してくれてますが、ホント君らスーパーマン好きだな。


その後ロイスと恋に落ちるのに時間は要さず、さっくり1ページで終わり。スーパーマンの姿になってクラーク・ケントとしてはいいけれど、スーパーマンとしてロイスとこのまま結婚していいのか悩みます。その迷いもあってか、沈したヨットを助けた後に謎の組織に囚えられて溶液の中に。スーパーマンがブレイニアックやレックス・ルーサーに捕まったカットを挟みながら、実験動物のように扱われたクラークは施設を破壊して脱走します。

4日が経過しており、下宿は荒らされ、念のためメガネをかけてオフィスに向かいます。ここでまた「クラーク!そのなりはまるでクラーク・ケントじゃないか!」とはやし立てられるのですが、ホント君ら……(以下略)。それでも悪いことばかりではなく、パンデオンから本の出版が決まり、ロイスとも同棲します。

が、相変わらず自分がスーパーマンだということを隠し通すことに葛藤を抱えているクラーク。一度捕まってしまったこともあり、いっそうナイーブになっています。ロイスからも隠し事があることを見ぬかれ、スーパーマンになって人助けをしながら世界を飛び回っても気分は晴れず。


ついにロイスに告白することにしました。建物の屋上ロイスをお姫様抱っこで抱え、「胸のボタンを外してみて」と言うクラーク。「暗くなりかけてるけど、ビルの屋上よ?」と困惑するロイス。ロイスがクラークの胸のボタンを外すとSマークのシャツが。いつものギャグかと思うロイス。クラークは一言「下を見てご覧」。クラークはロイスを抱きかかえて街を全貌できる高さまで飛んでいた。

いやこれ、ズルいですね。これアカンわ。こりゃ行けるでしょう。空飛ぶ能力身につけたらこれ使おう。でも安全上の都合で普通屋上出れないよね。学園もので屋上自由に出入りしてたりするけどあれ都市伝説だしね。



といったところで2号終わり。タイトルはメトロポリスでしたが、ニューヨークのマンハッタンでした。運命の女性ロイスと出会い、謎の組織に捕まったかもしれないけれど私は元気ですといった内容。冒頭に昔のコミック・ストリップ風の絵柄でクラーク・ケントがYシャツを脱いでスーパーマンのコスチュームをロイス・レーンに見せるコマがあるのですが、昔ならその数コマで済ませていた話が今だとこれくらい続くんですね。

先日邦訳が発売された『スーパーマン:アースワン』


スーパーマン:アースワン (ShoPro Books)

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では能力的に何にでもなれるがゆえに何になりたいか分からずにメトロポリスで職探しをするクラーク・ケント青年の姿が描かれていましたが、クラークは基本的に能力高いので社会生活には困らないんですよね。

この話では正体がバレないようにスーパーマンの活動はコスチュームを着て夜だけにしているので、今回のように捕縛されなければ自分の生活が崩壊することもありませんし。この辺物語の都合とはいえ、私生活に重大な影響が出ているスパイダーマンを比較対象に見ると涙せずにはいられません。もっとも、スーパーマンも異星人であるというより深刻な断絶を抱えているのですが……。

それにしても登場人物みんなスーパーマン好きですね。日本でこんなオタクっぽいジョークで会話し続ける話はちょっと聞いてて辛そうな気がします。直近テレビでやっているので言えば『這いよれニャル子さんW』なんかが浮かびますが、あれは主人公の男の子のほうがネタ分かってないですし。『非公認戦隊アキバレンジャー痛』はまた他のベクトルな気がしますし。なんか痛々しいイメージしか浮かんできませんでした。多分最近『辣韮の皮』を読みなおしたせいだと思います。


辣韮の皮 7巻 (GUM COMICS)

辣韮の皮 7巻 (GUM COMICS)


後、セリフの引用というとどうしても『吼えよペン』の大哲(多分『ヒーローカンパニー』の斉藤大哲)を思い出して暑苦しい感じが……。


Superman: Secret Identityも残り半分。3号サブタイトルはフォートレス(要塞)です。孤独の要塞のことでしょうか?


*1:ロイス・レーン

*2:ラナ・ラング

*3:本名キャシー・グラント。デイリー・プラネットにゴシップコラムを書いてた人

*4:レックス・ルーサーのこと