〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木は「こまっちゃくれた少年」--野村胡堂--


[コムラサキシキブ]


天地人

  • 歌人石川啄木が盛岡尋常中(現盛岡一高)に合格した際の席次表が見つかったという。文献などにある通り、10番の成績だった。岩手県下の最難関校に通常より1歳早く受験し、この好成績だ。「神童」ぶりにあらためて感服するばかりだ。
  • 作家の野村胡堂(こどう)はこの中学校で級友から一級後輩の啄木を紹介された。その時の印象が面白い。「こまっちゃくれた少年」「骨組みや腕っ節になる養分が、ことごとく知恵の方へ回ったという顔をしていた」。
  • 付き合ううちに、啄木のさまざまな面が見える。「大言壮語するくせがあり、まことに付き合いにくい」。半面、おしゃれで気軽で、無類の魅力もあったらしい。「啄木と絶交した人たちも一度は彼の不思議な魅力に傾倒したはず」。「胡堂百話」から引いた。

(2013-07-09 東奥日報天地人