宮城県寺崎の「はねこ踊」@「東北の芸能V―東日本大震災復興支援」

標記公演を見た(9月27日 国立劇場大劇場)。なぜ見ようと思ったかと言うと、岩手県の「鹿踊大群舞」が入っていたから。新国立の「ダンス・アーカイヴ」や伊福部昭のコンサートで、江口隆哉振付の『日本の太鼓』を見ていて、現物とどれくらい違うのか確認したかった。結果は、あまり変わらない、だった。音楽が太鼓のみだったので、神事のように見えたくらいで(江口作品にはドラマがあった)。
それより、もう一度見たくて、自分も踊ってみたいと思ったのが、宮城県寺崎の「はねこ踊」。直後に青森の有名な「ねぶた囃子」のハネトが登場したが、それが単調に見えるくらい、洗練された踊りだった。
姉さんかぶりと日の丸扇2本、赤い襦袢に水色の肌着、裾が割れるように着崩して、隙間から前垂れのようなものが見える。奇天烈な衣装。男女とも同じだった。その装いで、横二列になって(舞台だから?)跳ねる。手つきは複雑、足運びも繊細。なぜこういう動きをするのか理由は分からないが、体全体の運用が理に適っており、見ていて気持ちがいい。たぶん踊っていても気持ちが良く、無意識の喜びが感じとれる。後半では、動きがダイナミックになり、片足で距離を跳ねる伸びやかな動きが素晴らしかった。
トップの上戸彩似の美人が苦しそうに(つまり真剣に)踊っていて、よかった。おばさんたちの丸みを帯びた踊りや、長身、短身男の豪快な踊りも。共同体の息吹。どこそこの誰それさんがうまい、とか言う規模の集団だった。
ワークショップなんかでやると、人間回復に効果がありそうな踊りだと思う。自分も踊ってみたいが、別物になるだろうし、そもそも阿波踊りを全国でやるのをいいと思っていないので、言行不一致になるし。どうぜ踊るなら阿波踊りよりも、はねこ踊りを踊ればいいと思ったりした。