分かり合えない他人たち――キミとボクの下流社会

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)


だいぶ前――学会とか言ってるころだったから、去年の夏から秋――に部室で読んだ本。あれからこの「下流社会」というラベルは大流行になって、巷で喧伝されまくった。もうブームも落ち着いてきたころではあるけど、茶飲み話につらつらと感想を書いておこう。

僕と貴方は会話ができない

下流社会」という話題を取り上げたとき、その焦点は所得格差やフリーターの増加といった経済・社会的な問題に挙げられることが多い。しかし、それは結局のところ結果であって(マーケティング的には結果だけあれば十分なのであろうが)、この潮流の原因は「上流と下流では分かり合えない」という一事なのではなかろうか。いわゆる「上流」には上流の常識――使用する単語、会話の進め方、思考パターン、服飾、生活スタイル、その他もろもろ――があり、「下流」には下流独特の常識がある。そしてその差があまりに大きすぎるために「会話ができない」状態に陥るのである。考えていることのわからない不気味な「異邦人」を受け入れるコミュニティは少ない。このことが結果として階層の固定化、収入格差の増大を招いているのではなかろうか。


以下書きかけ。

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