新しい展示のお知らせ 齊藤明彦企画展 ‘カルタ’


1/10(火)〜1/22(日) 齊藤明彦企画展 'かるた’
※最終日 1/22日は17時とさせて頂きます。
こちらの都合で勝手ではございますが、ご了承ください。
 
一の壁

最初の壁は、お互い言葉フェチというかなんと言うか(齊藤は本をほとんど読めないのでマニアではないと思う)、
十年来の親友である葛西圭と、齊藤の文章。
それに加え、今回他の壁にて関わっている作家のワークプリントが入ったおみくじを120点用意し、壁に並べます。

※300円 お一人様1点限り

おみくじとは一種の運試しだと思います。
中身など本当はどうでも良くて、何がでてくるか分からない、その緊張感にお金を払うのだと思います。
年の初めにくだらない文章を読むか、はたまた何か役に立つ内容となるかは人それぞれに捉え方はあるでしょうし、
本当にギャンブルみたいなものですが、ワークプリントもどの作家のものが入っているか?
変に損得ではなく楽しんでもらえればと考えています。


二の壁

二番目、ギャラリー正面の壁は、3年の生活の中で齊藤の携帯に残っていた写真です。
大半は齊藤によって撮影されたものですが、数点ですが人から送られてきた写メールも含まれています。

‘写真は撮ろうとして撮るものではない。撮れてしまったものにこそ価値がある’(意訳)とは、某有名写真家の言葉ですが、カメラは作者の意思とは関係なく記録をしてしまうものです。作品にする意図はなく撮影したものが、時として作品として成立する。そのようなことが写真の妙としてあるかと思われます。肩の力が抜け、何にもとらわれず携帯で撮影したものが作者の範疇を越える。今回のものがそれに該当するかどうか?それは会場にてご判断下さい。出す側としては成立していると言い切っておきましょう。
また、携帯の写真に関しましては、齊藤以外の写真も含まれている為、販売はせず、ご希望の方は写メールにて送付致します。許可の取れていないものもありますので、
全てではありませんが、会場にて記載されているメールアドレスまでご希望の写真を書き、ご一報下さい。



三の壁

三番目の壁は、二日毎に展示を入れ替えます。
ラインナップは以下の通り。

1/10,11 colored  鶴田厚博 1/10,11

1/12,13 drypoint 齊藤明彦 1/12,13 

1/14,15 Coming And Going 植村美香

1/17,18 坂巻剛好 

1/19,20 EXBITIONSAKUMAGEN (齊藤企画/編集/プリント/セレクト)

1/21,22 静物 (STREETPHOTOGRAPHS よりカラー作品)

 
一つは齊藤がこれまでに企画した作家の作品を並べます。
二週間等短い展示期間の中で見逃してしまったら、それ以降観る機会がないということは残念なことで、そう言った作品にふれることもそうですし、販売および購入の機会ももっと多くあるべきではないかという、言えば齊藤の我が儘です。
ギャラリー裏でプリントを手にとり鑑賞するのもいいですが、やはり壁に並んでいる所を観てもらいたい。その思いから、下記の日程で壁に並びます。

colored  鶴田厚博 1/10、11
 http://d.hatena.ne.jp/tapgallery/20100412/1271059375 
EXBITIONSAKUMAGEN (齊藤/企画/編集/プリント/セレクト)
http://d.hatena.ne.jp/tapgallery/20101011/1286812559
Coming And Going 植村美香 1/14、15
http://d.hatena.ne.jp/tapgallery/20110516/1305562945
静物 (STREETPHOTOGRAPHS よりカラー作品)1/21、22
http://d.hatena.ne.jp/tapgallery/20110905/1315199207

もう一つは、街道で知り合った坂巻氏に好きに使ってもらうというものです。(1/17、18)
街道ではZINEやマッチに新聞に缶バッチ、柔軟に販売物を作る傾向があると思います。
ZINEの出現により、より身近に出版物を出せるようになりましたが、
一方で、その販売機会が限られ、写真集に比べるとまだまだ内々に留まっているように思います。
ウチのギャラリーでやったから広がりを持つと言った自惚れはありませんが、
何がきっかけになるかは分からないので、機会が少しでも増やせるなら増やそうではないか、
ということで、販売物に関しましても自由にやって頂きます。

最後に、齊藤が11月の展示予定のdrypointの制作途中のものを展示します。(1/12、13)

現在自宅にて壁に常時並べ検討中のプリントを敢えて壁にかけます。
画家がその絵筆をどこで止めるかと同じように、写真家がどこで撮影をやめ、展示をするということが一つ大きな意味合いを持っています。
作品として成立するのだけれど、もう一日撮影すればもっと良くなるかもしれない。そのジレンマというものは常に写真家にはあります。かといって、納得するのまで撮影を繰り返すばかりでは、いつまでたっても作品は世に出て行かないのです。
今回のものが作品として成立しているかどうか、明言は避けますが、本来でるはずのない過程を観て頂くことにより、11月の展示にて、それがどう変化していくのか?いつもの観客側だけでなく、またあらたな視点で見て頂ければ幸いです。

手前味噌で、認めと貰えるか否かは分かりませんが、TAP Galleryの展示において、一番無茶苦茶をやっているという自負があります。好き勝手やっています。ただ、好き勝手やっていますが、見に来るだけの価値があると、そこだけは胸を張って言います。そこを曖昧にしてしまうのは観客に対し失礼だとの考えからです。面白いです。満足させます。

趣味として写真をやっているのではなく、
写真家を名乗っているので。
プロですから。

齊藤明彦






展示を振返ってのエッセイ
※他のメンバーの考えと必ずしも一致しているとは限りませんので、
あくまで齊藤個人の考えと受け取って頂ければ幸いです。



かるた



きっちり無理をしようと思っていたのに、
何の問題もなく無事終わってしまったのがなんだか残念な様な。
結局出来ることをしてしまったかの様な、
自分の範疇を越える創造性がなかったかのように思え、
どこか後ろめたさが残る。
面白いものだったとは思うけれど、
どこか余力があったのではと。

今回は敢えて言葉でグダグダ説明していたのだけれど、
文章が的確か、説得力があるかは別にして、
どこか言葉で丸め込めてしまう所が自分にはある様な気がして、
そこが嫌でもあり、
ただ、言葉を否定してそれで終わりというのも良くないなと思った流れで、
画(え)と文章、をテーマに‘かるた’となった。

ただ、悲観することばかりではなく、
良かったと思う点も多々ある訳で、
というよりかは、
評価というものはあくまで水物というスタンスと、
陰口みたいな文句を言うのは良くないと普段から思っていたので、
無理に広く伝える必要はないけれど、
とりあえず思っていることはきっちり言っていこうと、
その先生の為にあったのではないかなぁと、
ぼんやり今回の展示を振返る。

自分の中で大きかったと思うのは、
少額ながら参加して頂いた作家に売り上げよりお金を支払えたこと、
地元の人が同じ展示と分かった上で複数回来てくれたこと、
無料ながら携帯の写真を送ってもらうよう、地元の人が言ってくれたこと。
写真をやっていて、売っていることを例え知っていても、
プリントを買うという人はなかなかいない。
そんな中で写真をやってもいない人に、
ほしがってもらえたのが嬉しかった。

率直な感想として、
自分たちの携わっている、
作家として活動している、
作品を売って収入を得るということは、
日本において産業としてあまりに未成熟な分野に思える。
特に自主ギャラリーにおいて。
それは売る側のマネジメント的な意識もそうだし、
一般に対しての浸透具合を見てもそうだし、
どうしても内々でまわしている観は否めないし、
広がりを持たない感じがする。
あるとしても、
広がりは上へのものばかりであって、
それを支えるはずの下への広がりがないと思うし、
そう愚痴っていっても仕方がないので、
下が広がるよう、
その方向性を示していけたらと。

願わくば今こう思うことが、
自分の無知が故の、
どうしようもない杞憂であったら。
自分の考えることが幼稚で、
その先を考える人が沢山いると願いを込めて。

とりあえず、
今度西脇へ行きます。
最終的には西脇に移住したい。

齊藤明彦 2012/1/31