映画『トニー滝谷』

村上春樹は、『風の歌を聴け』以来ずーっと読んでいる作家(わたし的には、ほぼすべてを読んでいるのは加藤秀俊とこのひとだけ、ゆえにたいしたことない奴ということがよくわかる)。

その村上作品が映画になったということを聞き、なぜトニー滝谷なの?という疑問を残しつつも、楽しみにしてひとりで新宿テアトルへ出かけた(この手の映画は、楽しみではあるけれど「期待」はしていないので、絶対にひとりで行くことにしている。隣りに妙な気を使わずに済むので)。

結論からいうと、製作サイドが、みんな偉大な作家にどこか遠慮してつくり上げたって感じで、脚本、映像、音楽それぞれはきちんと仕事しているのだけど、それらが併せ技になっていなかった。なので映画の完成度としては、すごく低いと思った。村上春樹のオーラが微妙なプレッシャーを与えるのだろうか?

でも、きっと作家はそんなこと(基本的には映画の出来なんかに興味ないと思うよ)気にしてないんだから、「のびのび」とつくればいいのに、と思うのでした。水曜日で1000円で観られたので、許す。

レキシントンの幽霊 (文春文庫)