「赤と黒」 赤坂RED/THEATER

teru10162009-10-11

14時〜 6000円  木村了主演、赤澤ムック演出
東京の小劇場を観たかった、星の数(オーバーでなく)ほどある、東京の演劇の中からこの日に上演されているものを片っ端から調べて、これにした。 値段を見ると、ちょっと考えている種類とは違うような気もしたが、演出が黒色綺譚カナリア派の赤澤ムック嬢。 一度だけ稽古場を見せていただいてすごく印象に残っていていつか彼女の作品を観たいと思っていた。 今回はスタンダールの作品を脚色・演出。 有名な「赤と黒」(漫画の歴史でしか読んだことがない) ちらしの木村了は怪しい魅力がジュリアンにぴったりで、いい配役だと思ったのだが、セリフがちょっとイメージと違っておちゃめな不良みたいに聞こえたのは若いからだろうか。 浦井健治井上芳雄のほうがイメージにあってるような・・・・あ〜〜・・・小劇場から離れていく〜笑 しかし、ナポレオン役の上山竜司はカッコ良かった(こっちが好みである) 体格もいいし、声もいい。 なぜこちらが影のほう?? 個人の好みはおいといて・・・ 「赤と黒」中世の貴族や聖職者たちの堕落した時代を象徴している。 形だけの勉強、上の者へのおべっか。 字も読めない親兄弟と違って、優秀な頭脳を持ったジュリアン・ソレルは聖職者の最高位を目指す。 聖書をラテン語で全て暗記はしているが、表面だけ。 聖書の意味もわからない。 それでもその美貌や頭脳を金持ちの貴族たちがペットのように欲している。 やがて家庭教師をしている家の夫人と恋に落ち・・・・  話はシンプルでわかりやすい。 他国の昔話しではあるが、権力を欲する人間のサガはどこも同じようだ。 それが激しい貧富の差に繋がった当時としては責められるものではない。 観たときはさほど思わなかったが、だんだん鮮明にイメージがよみがえってきた。 珍しい、だいたい観たはなから忘れてしまうものが多いのだけど。 舞台のあちこちに吊るしてある数々の衣装はファッションショーをイメージしていたらしい。 階級制度を派手な衣装の貴族、シンプルな黒の聖職者、などと衣装に置き換え、格好をつけて写真に納まる様子は内面の気位の高さを表しているのだろうか。 結局は誤解の末、夫人を殺してしまうジュリアンが哀れであった。 喜劇のような悲劇のような。 おそらく原作ファンの人でもその新しさに驚くものだったと思う。

「世田谷カフカ」 本多劇場

18時〜 6800円  ナイロン100℃

先日北九州で観た「神様とその他の変種」は面白かった。 だけど騙された。 やっぱりナイロンは難しい。 ケラさんを理解するのは難しい。 しかし、難しいなりに(というかワカラナイことを覚悟すれば)面白い。 前回初めてケラ作品を見たのだが、あれはいつも違う路線だったらしい(新劇風とか?) ケラっぽい、と言われるのがいやなんだな。 同じ人が作れば似たものになる、と当たり前だとは思うが。 今回のはカフカの作品を起案としているのだから、カフカ寄りになるのはしょうがないか。 「審判」「城」「失踪者」どれも知らないのだが、これらの作品が入り乱れて登場人物が現代の世田谷区に来たり、戻ったり。 しっちゃかめっちゃか。 そうそう、冒頭ではなぜか三人が(役名=役者名)リアルな思い出話し等をする。 三人に共通るすキーワードがあって・・・「理不尽」。 だけど繋がらなくて・・?? 「水野顕子」は芝居の稽古をしなきゃならないから彼氏に帰ってもらいたくて冷たくする。 あの場面は印象に残っている。 台本が「世田谷カフカ」だったり、本をトイレに持っていくなとか妙にリアルだ。 他は通路に役者が並んで立ち、セリフを飛ばすとか。宮沢賢治をパロってるとか。 記憶力が悪いのはしょうがないけど、平坦に続く話ではとっかかりがないことも確か。 劇場パンフを見ると、ほとんど一人3役以上だ。 これは理解するほうが無理だな〜  衣装もほとんど変わらないし。 でも、要所要所で、観客の興味をおとさないようにしてるのはさすがだ。 同行した友人が「金かかってる舞台」と言ったが、そう言われればそう思う。 カーテンコールでケラさんが出てくるかと思ったけど出なかった。 残念。 ナイロン、また観るかどうか微妙(^^;; ちょっと疲れた。 上演時間が長いのも一因かな。 といいながらまた観ちゃうんだろうな。