「Project BUNGAKU 太宰治」 八幡山ワーサルシアター 

teru10162010-10-10

13時〜 3200円  
4人の演出家により太宰の作品の4つの演目を行う企画。 1.「HUMAN LOST」演出・広田淳一 2.「灯篭」演出・吉田小夏 3.「ヴィヨンの妻」演出・松枝佳紀 4.「人間失格」演出・谷賢一   太宰生誕100年目ということであちこちで太宰絡みの演劇などがあってるが、4人の演出家で4つ観れるなんて超お得! 東京行きに際し一番最初に決めた公演であった。 八幡山駅で降りると駅にこのちらしを掲げた人がいる。 わーすごい親切!! 「これに行きたいのですが。。。」と声をかけると丁寧に道順を教えてくれた、徒歩1分。  小規模で背もたれのない座席は正直きつかったけど、開演したらそんなこと全く気にならなくなった。 (終わったときはお尻痛かったけどw) 「HUMAN LOST」読解力のなさに悔やむものの、女子5人のみの公演のきめこまやかさや精神を病んでいるものの行動などなど印象深い、金魚本物は全公演生きてるかなー? キリスト教に縁はないものの、聖書の浸透力には一目を置く。 不治の病にかかったら読むかもしれない。 「灯篭」うってかわってさまざまな年齢層の和服の男女が入り乱れ。 こーれはおもしろい、役者もだけど演出がいいなー  タバコの煙も普段ならイヤだけど、なぜかノスタルジー、太宰に煙草って似合うな〜 今も昔の恋が一番。 脈絡もなくアンデルセンを思い出したのはなぜだろう。 「ヴィヨンの妻」原作に忠実な作品。 さっちゃんがあまりにきれいでかなり見惚れてしまった。 赤ん坊の人形は不気味でしたが。 椿庵のオカミなど印象に残る役者が大勢。 ラストのセリフ「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」激しく同意。 「人間失格」最後のせいか、かなり入れ込んだ。 しかもたぶん唯一見たことのある、コロさん(柿喰う客)がなんて魅力的なことか!! 内容も一番現代とlinkした作品だった。 人間関係の難しさ、個々の性格の多面性、現代に巣くう病巣。 太宰作品って全て本人が主役? 簡単にしか作品は読んでないけど、なんとなくそう思った。 全公演にアフタートーク付きということで、4人の演出家とゲスト(私が観たときは徳永京子さん)これがまた面白かった! 徳永さんは小夏さんに軍配をあげた。 こりっちで各日のゲスト賞、観客賞をみたが、ゲストは多彩、観客は集中という結果でとても興味深かった。 実のところ私がつけた順位も観客賞の総合結果と同じでちょっとびっくりだった。 でもメジャーがいいとは絶対限らない。 こういう企画を福岡でもやってくれるといいな、同じ作品を違う演出家で、という試みははじまっているけどね。 それぞれの演出家の所属劇団も非常に気になってるところ。 また機会があればそれぞれの劇団公演も観てみたい。

「葬送の教室」 ザ・スズナリ 

19時〜 ペア6000円 風琴工房  
25年前に起こった悲惨な航空機事故。 それももとにした遺族たち、航空会社、マスコミの話。 当時はあまりに生ナマしくてこれが舞台になるとは信じられなかった。 私はほかの作品は観ていないけど今までもこの事故を元にした舞台は多かったらしい。 詩森ろばさんの挨拶文を読んで、しみじみと事故が事故だけで終わってないことを実感した。 遺族連絡会の代表である川路は娘を事故で亡くした。 常に前向きでリーダーシップをとり事故調査委員会のチェックも怠らず積極的に遺族間や企業との連絡をとっているが、いささか情緒的に遺族の感情を逆なでするところもあり、数名の遺族と対立してしまう。 妻を亡くした岩沼、小さい息子を亡くした津村夫妻、客室乗務員であった姉を亡くした恵理、 それぞれの立場で、川路の進める「事故を二度と繰り返さない具体的な方法」を探していく。 それは航空機会社の後ろ向きな対応に対して不満をいだく川路たちの挑戦状でもあった。 ろばさんはたくさんの参考資料をあげていた。 私もたぶん読んだものがあるかと思うけど、事故原因を推察した飛行機を作った会社の報告を誤訳していたというのは真実なのだろうか。 これは初めて聞いたので驚いた。 ベルトが死因になったというのは聞いたことはあったのだが。 些細なことでも事故を防げるかもしれないと考えて考察していく川路のあきらめない姿勢は多くの人の心を打つ。 実際の現場で検死を行った女医も招き、講演してもらおうとするのだが、遺族の前で生々しい現場のことを話していいものかどうかためらう医者。 それを川路は説得する。 航空機会社の社員も2名やってきて若い社員は罪の意識を背負いすぎて痛々しい。 年配のほうは冷静に考えながら遺族会にも協力しつつも、会社に残ることを示唆し、講演を断る。 誰も責められない。 そういう状況をヒシヒシと感じて観客席からはすすり泣きの声が聞こえる。 こりっちでかなり期待の高い作品だったので楽しみにしていった。 その期待は裏切られなかった。 こりっちの「観てきた」で高評価の中にたまに☆3つとかがある。 それらを読んでいても愛が感じられるんですよ〜  風琴はこんなもんじゃない!ってね。 母集団の多い東京では「観たい」「観てきた」ともに充実してると思う。 福岡でももっと観る人が声を出さないかな〜 もちろん、そのためにはその「声」に異論を唱えないことが必須ですね。 九州、福岡はもっと進化しなければ。 観劇後にこちらの友人たちと飲む。 ほとんど会う機会がないのに旧知のようなそぶりでw  演劇よし、でも人が最高です(*^ー゚)v ♪