Hatena::ブログ(Diary)

本山勝寛: 学びのすすめ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

この日記のはてなブックマーク数

2016-02-11

奨学金金利3%「借金漬け」という誤報とレッテル

2月11日、Yahoo!ニュースのトップページに、「奨学金 借金漬けの人生出発点」「大学というブラックビジネス 人生のスタートから借金漬けになる学生たち」という記事が掲載されていた。武蔵大学社会学部教授の千田有紀氏によるYahoo個人の記事がヤフートピックスにピックアップされたものだ。この記事のなかで、二重に残念な点があり、ヤフートップページの影響力を鑑みて、指摘しておきたい。

まず第一に、千田教授が記事のなかで書いている、日本学生支援機構の有利子奨学金の金利だが、「金利は3パーセント」というのはあくまで上限値だ。実際には市場金利に合わせて金利設定され、変動利率の場合がここ数年は0.3%前後、固定利率でも1%前後だ。最近はさらに低金利になっている。

千田教授は「現在私が借りている住宅ローンは、変動金利とはいえ、金利が1パーセントを超えたことはない。住宅を購入するための金利をはるかに超える金利が、教育を受けるために課されている。驚くべきことではないか。」と述べているが、実際には、変動を選ぶと学生支援機構の有利子奨学金の方がはるかに金利が低い。また、奨学金には有利子のものだけでなく、無利子のものもある。

この上限値3%を現在の実際の金利としてあたかも事実として誤報するケースは、以前にも私が指摘した「奨学金はサラ金よりも悪質」という週刊金曜日の記事をはじめとして少なくない。今回のように、ヤフートップで報じられることで、若者が誤解してしまわないように願いたい。千田教授とYahoo!はぜひ訂正記事を再度トップページに掲載していただきたい。

もう一つ私が懸念するのは、この種の論調が筆者の意図とは別に、奨学金を借りて大学教育に投資をした若者たちに「借金漬け」というレッテルを張っているのではないかという点だ。奨学金問題を偏って語る論者は、「私はかわいそうな学生たちの味方」というような顔をして、住宅ローンを組んでいても借金漬けとは言わないのに、奨学金利用者にはそのようなイメージを植えつけて、結果的に結婚その他を不利にさせてしまっている。

以前、電車の中で若い女性が「彼氏が奨学金の返済を数百万かかえているのでとても結婚などできない」と話していたというツイートが話題になったが、奨学金=借金漬け=結婚できないという短絡的なレッテルが結果的に差別をうんでしまっているのではないだろうか。住宅ローンが返済可能な計画で借金しているのであれば、結婚家族生活に支障がないように、奨学金も定職に就いて滞納せずに返済しているのであれば大きな問題はないはずだ。

奨学金問題はとかく、事実を曲解したり、短絡的なレッテル貼りや、感情的な批判に陥ってしまいがちだ。冷静に全体像を分析し、現実的な改善策を一つ一つ積み重ねる必要がある。

関連記事
極貧の私は奨学金のおかげで東大・ハーバードに行けた
奨学金は学生ローンに名称変更すべき?
奨学金返済分を税控除にできないでしょうか?
学生支援機構がサラ金よりも悪質か比較してみた

aa 2016/02/12 18:21 え、本人には大変失礼だから明かせませんが、本当に奨学金であぶないバイトをしている子、私の周りにもいますよ。
現実的に督促状みたいなもので「一括で返せ」みたいな紙が送られてきて、親に相談したら、自分でなんとかしろという家庭もあるんです。現実的に利権とか誤解とかどうでもいいです。マイナス金利にしてる暇があったら大学生に融資してまともな返済プランでまっとうな人生送らせてあげてください。そうできるよう大人が頭を捻るべきでしょう。
あぶないバイトでお金を稼いで、そういうものになれて次第に贅沢を覚える。需要がないし、消費の道具として政府は見てるようなきがします。
だがそうなった女性のあとを誰がめんどうをみるのか。

この問題は大学進学率低下と女性の結婚観に影響を与えます。奨学金をビジネスにすべきではないのです。何かいい手はないのでしょうか?

aa 2016/02/12 18:21 え、本人には大変失礼だから明かせませんが、本当に奨学金であぶないバイトをしている子、私の周りにもいますよ。
現実的に督促状みたいなもので「一括で返せ」みたいな紙が送られてきて、親に相談したら、自分でなんとかしろという家庭もあるんです。現実的に利権とか誤解とかどうでもいいです。マイナス金利にしてる暇があったら大学生に融資してまともな返済プランでまっとうな人生送らせてあげてください。そうできるよう大人が頭を捻るべきでしょう。
あぶないバイトでお金を稼いで、そういうものになれて次第に贅沢を覚える。需要がないし、消費の道具として政府は見てるようなきがします。
だがそうなった女性のあとを誰がめんどうをみるのか。

この問題は大学進学率低下と女性の結婚観に影響を与えます。奨学金をビジネスにすべきではないのです。何かいい手はないのでしょうか?

aa 2016/02/12 18:23 すいません2回マウスクリックしたみたいです。謝罪致します。

通りすがり通りすがり 2016/02/12 20:46 単なる貸金を平気で「奨学金」と呼ぶようなメンタリティーにそもそもの問題があるんですよ。そういう欺瞞をおかしいとも思わずに何が教育なんだか。

bb 2016/02/13 04:59 現実に毎年20万人程度の3か月以上延滞者がいて、機構の統計調査によるとそのうち75%前後が「家計収入の低下」を理由にあげている年収300万円以下の人々なんだけど。

「冷静に現状を分析」した結果、奨学金制度に大して問題がないと思うなら、それはあなたが単に経済右派に寄りすぎてるから、OECD各国と比較してもっとも高等教育への公的資金が入っていない部類の日本という国の問題が見えていないか、見えていて誤魔化そうとしているだけじゃないですか?

投稿からあなたがかなり経済右派/宗教右派に寄っていて、そのイデオロギー的観点から日本の奨学金問題を隠蔽したがっている「冷静な分析者(自称)」であることは良くわかりました。本当に禄でもない議論ですね。

本山→bさん本山→bさん 2016/02/14 07:42 奨学金制度に全く問題がないと述べているのではなく、事実に基づく分析をして、現実的な改善策を一つ一つ積み重ねる必要があることを訴えています。
現実的な改善策については、
本ブログの別の投稿もご参照下さい。

本山→通りすがりさん本山→通りすがりさん 2016/02/14 07:45 「貸与奨学金」とされ、お金が貸されてていることを明記されています。
とはいえ、「奨学金」という言葉が誤解を生んでいるなら、学生ローンなどに名称変更するのはありだと思います。
リンクしている過去記事をご参照下さい。

本山→aさん本山→aさん 2016/02/14 07:48 一括返還の督促状は、私も改善すべきだと思います。
あぶないバイトについては、奨学金だけが要因ではなく、社会全体の構造にあるようにも思いますが、奨学金は本来長期にコツコツと返せる制度なので、返済計画を立てられるように社会のサポートがあることが望ましいですね。

bb 2016/02/14 21:42 他の記事も読みましたが、あなたの意見は一貫して日本の奨学金制度は現状でそれなりに合理的な制度で、部分的に改善策が必要だって話しか書いてませんでした。その上で、本記事では「定職につければそれほど問題ない」「奨学金問題にラベルを貼って言い立てるから差別が広がる」という主張がなされています。

あなたが槍玉にあげた教授の意見は全く違っていて「日本の奨学金制度それ自体に抜本的な問題があって」、要するに高等教育支援をOCED各国平均並みに根本的に改善しなければならないという趣旨でしょう。その上で、一事例として「体調を崩して大学をやめないといけない」学生を紹介している。それに対して、あなたは「定職につければ問題ないでしょう」と言い放ちました。それを私は「禄でもない議論」だと判断しました。

確かに、当該教授の利率3%という例証は過大評価で、単純にそれは訂正されて良いと思います。あなたは単に、3%ではありませんよと言うだけでも良かったしそれだけなら何の問題もないでしょう。
しかし一方であなたは、大学を出ても定職につけない就職問題が重大な社会問題として人口に膾炙している現状にも、事実としてOECD各国と比較して圧倒的に最下位の水準である日本の高等教育支援の現状には本記事では触れず、また全体の論旨としても「おおむね合理的」であると認識した主張を展開してきました。それは、単に日本の根本的な問題を隠蔽して、現状を追認しながら「部分的改善」だけを言う姿勢だと、私は思いました。

もちろん、一足飛びに大学が無償化できるわけではありません。しかし理念としての教育の公正/平等と、今ここにある現実の根本的な日本の問題から目を遠ざけて、「定職につければ問題ないでしょう、だから差別するな」という言い方には全く賛同できません。

bb 2016/02/14 22:29 いくつか過去記事を更に確認しましたが、本当にひどいですね。2013年エントリーの奨学金を返せない学生がいるとしてそれは、「卒業生が「非正規労働にしか就けない」ような大学があるなら、その大学はこれ以上学生に悲劇をもたらさないよう、店仕舞いすることを進言したい。」は、あなたの言葉です。

奨学金を返せないような、非正規雇用につく人の問題を経済構造の問題としてごく一般的に理解するのではなく「下位大学がなっとらんから」って、本気ですか。

やっぱりアマルティア・センとか、日本だったら本田由紀や苅谷氏の就職問題&奨学金や教育公正論の学問的主流派からみると、あなたの議論は議論というより心情的な経済右派の現状追認主義でしかなくて、端的にいって「偏っている」議論をするのはあなただと再確認しました。

あなたは槍玉にあげる対象を「学生の味方の振りをした偽善者」だと、本記事で明白な「決めつけ&ラベリング」を行っていますが、本当に過去記事を見れば見るほど、人に対して「レッテル張りをするな、冷静な現状分析者は俺だ」といいながら、現状を追認する議論を行っている人のほうが、ずっと偏っているように私の価値判断としては見えますね。それではお疲れ様でした。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証