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2024-02-01

★当はてなダイアリーについて

鑑賞した映画の記録を主に書き綴っています(2018年より。それ以前はライブレポが主)。どんな映画だったか記憶に残す手助けとして「あらすじを自分なりに考えて書く」こと、鑑賞時に調べて興味深く感じた関連情報の記録などを目的としており、なんとなく外向きな文体を使いつつも基本的には「自分用メモ」の意味合いが強いはてなダイアリーです。前置きなくネタバレしますのでお読みになる際はご注意ください。

2018-05-20

カリガリ博士(1920)

カリガリ博士【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

カリガリ博士【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

約100年前の作品です。1930年代以降の作品は比較的観てますが1920年代は初めて。サイレント映画自体も初めて。初めて尽くしですが、この作品自体も映画界における「初めて」を成し遂げているようです。ネタバレありますので未見の方はご注意くださいね。

あらすじ

ある街にカリガリという博士がやってくる。博士は街のお祭りにて「夢遊病者」を売り物にした見世物小屋を開いた。その夢遊病者は全てを予言できるという“うたい”だ。ひとりの男が「私は何歳まで生きられる?」と問うと夢遊病者は答えた。「お前の寿命は明日の朝までだ」。

翌朝、その男が殺されたという報が入る。怪しんでカリガリ博士の家を見張っていた警察が慌てて「夢遊病者の寝床」を開けると、そこに入っていたのは人形だった。博士は夢遊病者を使って殺人を愉しんでいたのだ。最終的に夢遊病者は逃走中に息絶え、博士も精神病院に収監されて幕引きとなる。

殺された男の友人がここまでの経緯を話し終えて席を立つ。

というのはネタバレしてないあらすじです。

元祖探訪

町山智浩さんの「一度は観てくれ映画」シリーズとして取り上げられていた本作。このシリーズでは他に「8 1/2(1963)」「ミツバチのささやき(1973)」などが紹介されており、いずれも今年鑑賞しました。「こういう系の映画」には当然だけど「元祖」があるんだよ、っていう、分かっちゃいても観るにはちょいと腰が重いような作品をあらためてプッシュしてくれる企画です。
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200円ほどで有料音声解説もありますのでご興味ある方はぜひ。わたしはこれを聴きながら寝たせいか、とびっきりの悪夢を見ました。

で、この「カリガリ博士」っていうガリガリ君みたいな作品はどういう「元祖」なのか。なにせ映画史的にも古い映画ですから多くの面で影響を与えているようなのですが、特に本作でウリとされる部分は「どんでん返し」です。上に書いたあらすじ、そこまででも十分凝ったストーリーだなと思うんですけど(しかもサイレント映画なので、よくこの複雑な展開を表現できてるなと驚きました)、じつはここから先がどんでん返しになっていて、経緯を話していた語り部の男は精神病院に収監されており、院長がカリガリ博士であるという言わば「衝撃のラスト」で終わるんです。

じつはここまでの話ぜんぶ妄想だったんだよ〜ん、みたいな映画ってよくありますよね。妄想でなくとも、完全にひっくり返してく系の映画、ありますよね。ぱっと思いついたのだと古くはビリー・ワイルダー監督の「情婦(1957)」とか、「ユージュアル・サスペクツ(1995)」とか「サイド・エフェクト(2013)」とか、どれも妄想ではないな…まあとにかくそれ系の「ラスト何分、あなたは騙される」系のやつの元祖っていうことになるそうです。

もちろん、あくまで歴史上の元祖であって、必ずしも昨今のどんでん返し系作品が本作から影響を受けているとは限らない。これは音楽でもなんでもそうですが、間接的に「影響を受けた作品から影響を受けている」というケースも多くある、ということですね。


大きな影響を与えた他の点としては、妄想シーンで使われる「ファンタジックに全てがひん曲がった非現実的なセット(ディズニーランドのトゥーンタウンぽい)」であるとか、チェザーレと名付けられた夢遊病者の奇抜かつスタイリッシュなルックスだとか、もちろん撮影技法だとか、いろいろあるようです。

ティム・バートンが大いに影響を受けているそうで、確かにこのチェザーレのビジュアルはティム・バートン作品のジョニー・デップ、特に「シザー・ハンズ」の感じそのままです。言われて納得の既視感です。ていうかほんと、すごいスタイリッシュで美形で、この時代のキャラクターデザインとしてはかなり洗練されてるのでは??と思っちゃいます。ちなみにチェザーレを演じたコントラート・ファイトさんはあの「カサブランカ(1942)」にも出てたそうで。空港で殺されちゃう人。

洗練といえば。DVDの特典映像で冒頭に淀川長治さんの解説が付いてるのですけど、ドイツ映画である本作に関して、いかに当時のドイツ文化が高い水準を持っていたかという熱弁をされています。この時代に生まれ育ったマレーネ・ディートリヒ(「情婦」など)はそりゃ名女優になるよ!的な。そしてこの洗練されたドイツ文化を全部壊したのがヒトラーなんだ、と。そのへんは全く知らないので、そろそろヒトラー系題材の作品にも手を出さないとなと思っているところです。ちょうど「シャイニング」のホロコーストメタファー説なんてのも見たところだし…。


サイレント映画、さすがにちょっと抵抗あるなーなんて躊躇してましたが、しばらく観てたらわりと慣れちゃいますし、オーバーアクションな演技で結構わかりやすいですし(むしろ「死のショック」なんかはトーキーよりも真に迫ってる感じがしましたね。心の中をそのまま出してる感じ)、なんといってもパブリックドメインなのでYouTubeなどで合法的にフル視聴できます。日本語字幕付きのもあります。尺も1時間程度です。ぜひ、どーぞ!
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というわけで、今年の目標は200本鑑賞ですが、100本まで到達しました。感想も100本ぶん書いたということか…。一度まとめ記事でも書こうと思います。

(2018年100本目)

2018-05-19

アウトレイジ 最終章(2017)

北野武監督作品。一作目のバイオレンス描写がトラウマで結局「アウトレイジ」シリーズは一度も劇場鑑賞しませんでしたが、最後くらい観に行けばよかったな〜と少し後悔。そんなソフト鑑賞です。序盤は特に台詞が聞き取りづらいため、黒澤映画とかの感覚で日本語字幕つけて観ちゃいました(笑)

あらすじ

コワモテ俳優のアベンジャーズです。

すみません、漢字が多くて心折れそうなので放棄します。「アウトレイジ(2010)」「アウトレイジ ビヨンド(2012)」ときてのシリーズ第三弾にして完結編、です。そんなに間あいてたんですね。北野映画はほとんど観たことないんですけど、周辺で流行ったためこのシリーズは観てました。

バイオレンスとか生死感とか

一作目は「歯医者」とか「車」とか「指」とか目を覆いたくなるようなヤクザ・バイオレンスが多くて、拷問系が苦手なわたしとしては指の間から見る感じだったんですが、二作目以降はドラマ性のほうが強まった印象で、普通に観れました。
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ライムスター宇多丸氏と北野武監督の対談、おもしろいです。ヤクザ映画に見立ててあるけどその筋は意外と身近な…っていう話だったり、張会長を演じる無名の大型新人のことだったり、銃の好みだったり。そのなかで宇多丸氏が「拳銃を使わずに鈍器と刃物だけの北野映画を見てみたい!」とリクエストすると「ちょっと『痛すぎる』画になっちゃうと思うんだよね」と監督。例の「キャンプ」シーンも「品がないかも」という理由で直接的な描写は避けたようですし、わりとそういうところ気にしてくれてるんですね(笑)

個人的には鈍器や刃物よりも拳銃のほうが生々しくなくて好みなので、本作の暴力路線は好きです。「しゃらくせえ、弾が出たら当たって死ぬんだよ」っていう監督のポリシー(対談内で言及あり)のおかげで、どんな奴でも撃ったら死ぬし(それこそ味方でも)、絶命が早いし、死にかけで反撃してきたりしないし、さらっとしててとてもいいと思います。終盤での座布団かまして脳天一撃、もクールで好き。かと思えば「キングスマン」さながら威風堂々が聞こえてきそうなパーティシーンも好き。銃殺の語彙が豊富。

ここまで頑張って生きてきた人たちが何かとあっさり死んでいくので、自分よく30年も生き続けてんなあとか、どうせ死ぬならこれくらい一瞬で息絶えたいもんだわとか、つい思ってしまいます。大友と大森南朋(統一されない呼称。多分アウトレイジあるある)が「お前、死ぬぞ」「いいですよ?」って会話するところの生死感が印象的かつ少し魅力的でもあります。うっかり味方殺しちゃって「ふたりになっちまったなァ」と漏らすところもすごく好き。フィクション作品で見せられる生死のはざまはよいものです。

バイプレイヤーズ

コワモテ俳優のアベンジャーズ、もしくは超バイブレイヤーズ。本作のキャストはまじすごいっすね。基本的に役名じゃなくて俳優名で呼びたくなっちゃう人ばかり。まず掴みがいいのは花田ことピエール瀧。ヤバい奴かと思いきや超お間抜けキャラで、ダーティな作風をちょっとマイルドにしてくれてます。最期もコミカル! それにしても、お詫びに3,000万持ってったら6,000万になって返ってきてやむなく1億包んで…とか何だその単位は!って感じのやりとりがむしろ痛快。

そして、野村会長こと大杉漣さん。かっちょいい役を期待していたらなんと大型雑魚キャラ。いや〜そりゃあ、ポロシャツ着てたらフラグだわ〜って思っちゃいましたけど、でも格好良いところは格好良かったです。あんな愉快なラストシーンも用意してもらえて、楽しい遺作だったことでしょう。そういや、新たに西野(西田敏行)が会長の座につくところ、「裏切りのサーカス」でゲイリー・オールドマン演じるスマイリーがリーダーの座につくところと似た絵面だなあなんて思いました。

なかなか読めないキャラだった塩見省三、安定の涙袋マン岸部一徳、「バイプレイヤーズ」ですっかりファンになってしまった光石研、ラストシーンで刑事を辞め井之頭五郎になってしまった松重豊、みんな顔面の味わいが素晴らしい。塩見さんと西田さんは重病を患ったあとの満身創痍状態で出演していたそうで、特に西田さんは知って納得の「変な向き」が多数なのですが、それもまたあの空気感作りに大いに貢献しちゃっているあたりベテラン俳優ってすごいです。

それから張を演じた金田時男さんという方、てっきりベテラン俳優さんだと思ってたらなんと前作「アウトレイジ ビヨンド」が映画初出演の超大型新人かつ、本業は俳優ではなく本当に韓国系実業家という、なるほどそりゃ新人とはいえ滲み出るリアル。なお側近を好演した白竜さんも韓国系の方でした。

ところでエンドロール、北野映画にも本シリーズにも明るくないので「あれ?」と思ったんですけど、役名が出ないんですね。左側に日本語のクレジット、右側に英語のクレジット、いかにも「世界の北野」って感じです。これって過去作でも共通の仕様なのかしら。


英題は「OUTRAGE CODA」ということで、音楽記号のコーダが前面に出されたタイトルロゴになってます。同じことの繰り返しから抜け出して「コーダ=終結譜」へと入るイメージが醸し出す、切ない「最終章」のムード。ただし「ひとりで勝手にコーダ入っちゃった人」みたいにもなってる感があって、プレイヤー的に言えば「大友さん、落ちました」っていうラストです。合奏はまだ続いている…かも。

(2018年99本目)

100本目なに観よう…。

2018-05-18

デッドプール(2016)

ゲスいと噂の俺ちゃん。先日観た「フェリスはある朝突然に(1986)」のパロディをいち早く見たかったこともあり、続編公開目前にして初鑑賞。

あらすじ

ある日突然に末期がんの宣告を受けた主人公ウェイド・ウィルソン。悲しむ恋人のためを思い、「がんも治る」と持ちかけられた人体実験の被験者となる。拷問のような実験の末にウェイドは不死身の肉体を手に入れるが、代償として醜い顔面になってしまい、恋人との再会をも躊躇する。

一方、ウェイドに人体実験を施したフランシスは不死身となった彼に危険を感じ、駆逐するべく探し回る。そして、ウェイドが躊躇している隙に彼の恋人をさらってしまう。ってなわけ。デッドプールこと俺ちゃん、がんばっちゃうから見ててよね。#復讐 #フランシス許せない


わりと筋書きがゲスくない

そう、すごい意外だったんですけど、意外とゲスくない。なんなら結構上品なんじゃないの??とまで思ってしまいましたよ。「テッド」のほうが100倍ゲスいように感じてしまうのは、あちらがキュートなクマちゃんだからだろうか。

見るも無残な顔面になってしまって以降「デッドプール」と名乗るようになったウェイド、そもそもは末期がんだったんだ、っていう驚き。理想の恋人(超アヒル口のモリーナ・バッカリンさん、理想の恋人感すごくてとてもよかった)と幸せの絶頂にあるウェイドが「人生のほとんどはクソみたいなもんだが、ときどき幸せのCMが挟まる」みたいなことを言うんですよね。実際その「CM」はすぐに終わって、末期がんというクソみたいな現実が彼を襲うわけですけど。ここの表現はすごく印象的でしたね。

本作、突然のぶっ飛びアクションシーンから始まって「俺ちゃんが今なぜここでこの男にナイフを刺しているか」を説明するプロローグでじつに1時間以上使っているんですが、「デッドプールになる前のウェイド」をしっかり描いているおかげで、ただのお下品な映画にはならずに済んでおります。っていうかほんと、総合的に見たら全然お下品じゃないです。「ハッシュタグ歩きっ屁」とかいうアホいのも好きだけど。逆にそれくらいのキャラでいてくれないとわりと重いんだこの話。

お待ちかねの「フェリス」パロ

「フェリスはある朝突然に」の作風であるメタフィクション的な主人公キャラをそのままやっている本作。エンドロール後のおまけシーンで思いっきり「フェリス〜」のそれを完コピしていると聞き、楽しみにしておりました。いや〜ほんとに再現度高かった! これ、公開初日に「フェリスを知った状態で」「こんなパロが出てくるとは思いもせずに」出くわして爆笑してみたかった〜〜〜!!! 教養〜〜〜!!!
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比較動画もありましたけど、とりあえずフェリスのほう貼っておきます。

あと、そのあとね、「サミュエル・L・ジャクソンがアイパッチして出てきたりしないぞ」って言うの、2018年5月現在に観るとめちゃくちゃ最高なんですよね。だって、まさかの「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のエンドロール後、ですよ。ねえ!

てなわけで、ゲスい俺ちゃんに身構えていると拍子抜けするほどシリアスなテーマを持った、決して下品なだけではない映画でした。「ケアレス・ウィスパー」で後味も最高! 続編たのしみ!

(2018年98本目)

2018-05-17

荒野の用心棒(1964)

クリント・イーストウッドを観ていくぞ月間。

あらすじ

クリント・イーストウッド演じる流れ者が、通りかかった町のボスたちを全滅させて、ついでにちょっとだけ人助けをして、「あばよ」と去っていく話。

予想よりもはるかに面白くて、あくびする暇もなく最後まで楽しく観ちゃったのですが、よーく考えたらかなり内容のない話(笑) 〆卞颪焚板躬情が目に入り、△海猟はヤバいぜえ…と酒場の主人にボヤかれたというだけで、ほんだらばと町中引っ掻き回してドッカーン、あばよ、ですからね。酒場の主人もボヤく相手ちょっと間違えた感がありますね。とはいえ、面白かったのでなんでもいいです。

バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3

本作は「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(以下BTTF3)」で壮大にオマージュされています。そもそもBTTF3はマーティが「クリント・イーストウッド」と名乗ってる回ですからね、そりゃそういう回なんですよね。

冒頭で背中に狃个討い鵜瓩箸い紙を貼られた人が出ていくあたりから「ああ、早くも」って感じで、町の人たちが向けてくる視線もまさにそれ、ならず者たちの手厚い歓迎、棺桶屋は親切丁寧、タネンのような薄汚れた男、そしてお待ちかねのラストシーン、ポンチョの中からゴソッと取り出したるは鋼鉄の防弾チョッキ。最後のはほんとにそのまんまなんだな!というなかなかの衝撃でした。しかも「何度でも蘇る」のが、アイツやべえ。

これはBTTF関係ないですが、ラストシーンの始まりを告げるダイナマイト、使い方がかっこいい。YOUこれで悪党たち吹っ飛ばしちゃいなよともらった必殺アイテムなのに、ただの演出として利用しちゃうのめちゃくちゃかっこいい。土埃のなかから登場するイーストウッドは、うむ、今回もキマってます。

東宝にはご用心

本作てっきり「荒野の七人」みたいにクロサワ作品「用心棒」の公認リメイクなのかと思っていたら、無許可で作ってバレて東宝に訴えられて負けた、っていうのを知って「うける」と思いました。

というのも、本作は「マカロニ・ウエスタン」と呼ばれるイタリア製の西部劇なんですが(キャリア初期は西部劇を多く手がけていたらしいエンニオ・モリコーネが音楽を担当!)、当時はまだ細々とやっていたジャンルだったそうで、それがうっかり「クロサワのリメイクらしいぞ」って話題になっちゃったせいで本家にバレて、つまり二次創作のつもりがやりすぎちゃって公式に怒られる的な、同人的なそういうことですよね(笑)

怒られちゃったとはいえ結果的には名作になり、のちにあの「BTTF3」を生み出すことになるんですから、世界のクロサワはすごい…! そしてわたしまだ「用心棒」は未見なので早く観なければならない…!! さっきTSUTAYA行ってきたら黒澤明コーナーの用心棒だけ貸出中だったんですよそんなことってありますか。

用心棒 [Blu-ray]

用心棒 [Blu-ray]

イーストウッドが三船敏郎になって銃が刀になった程度の違いしかないらしいです。楽しみです。

あんまり本筋の感想書けませんでしたが、「BTTF」ファンの方ならその目線で間違いなく楽しめます、イーストウッドかっこいいです、少なくとも「用心棒」未見の身としてはストーリー普通に面白かったです、おすすめできます。ぜひどうぞ。

(2018年97本目)