世界は環境問題をどう見ているか(32)

32 Chinese emissions may peak by 2025, says analysis
  中国の排出は2025までにピークを迎える、アナリストら曰く


今回は温室効果ガス排出についての話題です。何と中国では、最近の世界のCO2排出量の1/4を占めています。しかしそれも経済成長の限界によるピークを過ぎれば収まっていくという見通しが出てきました。出典は米国Yahooです。


http://news.yahoo.com/chinese-emissions-may-peak-2025-says-analysis-231013406.html

2015.6.7

<本文要約>
気候変動抑制の望みにつながる一つの要因が出てきた。中国の温暖化ガス放出は恐らく2025年がピークとなるが、これは当初の目標より5年早いとの研究結果が月曜日に発表されたのである。以前「主な放出エリアの傾向を分析すると、我々が結論付けるのは中国の温室効果ガス排出はそのピークが2030年以降にはなりそうもないということであり、その上限は2014年11月に習近平国家主席によって決められ、ピークは2025年になりそうである。」とあるレポートに記載されていた。
一方で「いやそのピークはもっと早まるだろう」というレポートが出た。そのレポートが指摘しているのは、その地域での深刻な大気汚染と多量の温室効果ガス排出を引き起こすような成長の後、中国の石炭消費は2014年及び2015年1〜3月に落ち込むということである。研究者らの試算によれば、天然ガス使用の急速な伸びを受けて、中国の石炭使用は“構造的な成長限界”に達し、これから5年間は横ばいになるとのことである。
パリの国際会議で、今後10年間の上昇温度は2℃までという目標が合意された。世界がこの10年の間に2℃以下に抑える策略が軌道に乗るかどうかは、中国の温室効果ガス削減能力による影響が極めて大きい。

<コメント>
 コメントは全部で94件でした。そのうち6件を紹介します。

「何てナンセンスなことを。この考えはどこから来てるんだ。彼らが得ているデータは、彼らにとって都合いいことばかりだ。中国では皆、経済的事項についてのデータを独自に収集しているわけではなく、全てのデータは国の中央政府から得ている。よく使う手口が明らかになってきたね。許容量をオーバーしているという事実が出てきたときはいつも、彼らは新しい研究成果をその事実の認識を破るために使うんだ。中国って国は、事実認識を妨げる巨大障害物みたいなもんだ。」

「“中国の大気汚染のピークは2025年”だって?それまでに工場で働く社員を残して他の中国人は大気汚染によって死んでるんじゃないの。」

「中国って国は、経済が最優先で公害問題は二の次、そして国民のことは最後になっているね。」

「空気、水そして土壌への汚染は無視できないわ。我々は皆空気を吸って、水を飲んで、そして食物を育てるため土を使うんだから、人工化学物質が引き起こす癌なんて有ってはならないわ。」

「中国って短い期間に50基以上の原発を建設したよね。それはCO2を発生しないという意味では価値があると言える。さらに良いことには、これらはウェスティングハウス受動式クールダウン設計を採用しているので、福島原発チェルノブイリのようなヘマはしないだろう。アメリカは中国と同じくらい賢くなる必要があるし、エネルギー需要に応えるため500基は作る必要があるよ。海水から抽出できるウランやトリウムなどの核分裂性物質は、地下の資源を掘りつくした後でも1万年は入手できるよ。」

「なぜスモッグの写真を使うんだよ、CO2と関係ないだろ。なぜ情報の乏しい読者たちに迎合するように、記者もそんな写真を使おうとするんだろう。」

<解説>
2015年6月1〜11日、ドイツのボンで国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のボン気候変動会議が開催され、この中で実施に関する補助機関(SBI)及び科学及び技術上の助言に関する補助機関(SABSTA)の第42回会合も開催されました。簡単に言えば、温室効果ガス排出を抑えるため、世界中の締約国の代表者らが集まって、これらの分科会で話し合いが行われたということです。その期間内に、こんな記事がネットで発表されたわけです。
中国については経済成長だけでなく、大気汚染や温室効果ガス排出も世界中から脅威の目で見られているようです。コメントを見ても判る通り、米国にはこの中国の温暖化ガス排出量の増大に対し批判的な方々が多いようです。米国だって、ブッシュ氏が大統領だった頃は「京都議定書」への批准を頑なに拒絶していました。時代は移り変わりCO2排出量は中国が米国を上回ってしまうと、今度は中国に対し批判的になってしまう米国の考え方は、自分勝手のようにも見えます。気持ちはわからないこともないのですが。
日本はどうでしょか。2030年に向けての温室効果ガス排出量削減目標として、「25%削減程度(2005年比もしくは2013年比)」という数字が発表されたのは、鳩山政権の頃だったでしょうか。実はこれ、極めて厳しそうです。東日本大震災の後、これ以上原発を増やすのは難しくなったどころか、ほとんど停止(または廃炉)に追い込まれました。再生稼働エネルギーも普及が今一つ伸びないようです。やはりエネルギーそのものを使わない、つまり“省エネ”くらいしか道は残っていないんではないでしょうか。