小さい傷が必ずしもベストの解ではない

NTTでは、というかほぼ独断でやってますが、患者さんの体力や髪型、チームの開閉創の早さなども考慮して皮膚切開をzigzagにすることがあります。

別に新規性があることではなく、形成外科領域では以前から行われていることで、zigzagにした方が後で傷が目立ちにくいのです。
毛流線に平行でない部分が増えることが大きな理由ですが、認知科学的に、人間の目はひとつながりのものは、無意識に追ってしまう習性があり、折れ曲がっていることで、その連続性が断たれることも影響していると思います。(どこかで読んだが忘れて引用できず)

脳外科的な特殊性として、髄液が皮下に漏れることがあり、その場合にはもしかすると傷の治りが遅くなるかもしれません。


唐突な話題ですが、以前にいた南Dr.が動脈瘤に関して通常の切開と、zigzagでQOLに差が出るか調べてくれて、結果、差が出るという論文を書いてくれました。それがPubMedで検索できるようになったようです。

Surg Neurol Int. 2014 May 15;5:69. doi: 10.4103/2152-7806.132562. eCollection 2014.
Effectiveness of zigzag Incision and 1.5-Layer method for frontotemporal craniotomy.


問題があるとすれば、再手術の際にやや面倒なのと、丸刈りだとかえって目立ってしまうことですが、禿頭の方は、これが意外と非常に良いように思います。