戸越銀座を散策パート2

路地裏の風景

 平和坂の商店街を後にし、ワタクシは尚も戸越銀座の通りを進むことにします。記憶の中のお店の場所はもう出て来ても良い頃なのですけれども、どうもそれらしきお店や、かつてそうだったと思われる場所(こうして探してはいても、お店自体辞めてしまっている場合も考えられるので)も丹念に探して見ますが、第一思っている進行方向右側の通りが上り坂の坂道というのも記憶とは食い違っています。とは言いつつワタクシの記憶なんてものも、八年前のものですから当てにはなりませんから、疑心暗鬼になりながらもここまで来たら、という思いもありとことん進んでみることにしました。

 既にお店も少々まばらになってきています。通りの向こうの方に何やら大掛かりな建物が見えています。随分とゴツイのですが気になるので近付いてみると、戸越幹線貯留管中流部整備工事というものの工事中でそれに付随する仮の建築物のようでした。また何か変わったお店かと思って近付いたワタクシにとっては残念。

 もうお店も途切れて記憶のお店探しなんだか、ただのネタ探しか分からないような散策になっていたところに、大学寿司というお店が出て参りました。丁度JRの高架のすぐ手前です。二階には『フルーツハウス カレッジ』だなんて、もう仕込みのネタ、という雰囲気ビシバシですね。今改めて地図を見ても付近には大学らしきものもないしなんなのでしょうか?



 これ以上先に進んでもキリがないし、第一ここまで来たのも初めて、まず間違いなく記憶のお店もこの先にはあり得ないので、戻ることにして先程の大学寿司さんの建物を見直すとこのように、表札にはソフィア、ビルの名前としてソフィアビルとされている念の入り様。謎はますます深まるばかりです。上智出身なのか?と訝しく思いながら来た道をひたすら戻って歩きます。

 しばらく歩いて、ようやく賑わいを見せる戸越銀座の街に戻って参りました。やはり活気ある街並みと言うのは良いものですね。何かのキャンペーンでもやっているのか、普段の日曜日よりも混んでいるのかは地元民ではないから判りかねますが、それにしてもお祭りの時の露店のようなものもあり、心がウキウキしてくるようです。

 行きには気が付きませんでしたが、戸越銀座温泉というものを発見しました。やはり通り一遍と良く申しますが、さっと通っただけではこのように見逃してしまうポイントもあるものです。っていうか、非常にモダンな外観でとても入浴施設とは思えません。天然黒湯温泉だそうです。これは今度来なければなりませんなぁ。【詳しくはこちら】どうやら昔の銭湯をリニューアルしたのを機に、温泉を掘削したようです。黒湯は東京の代表的な温泉ですね。

 さて今度は国道一号線を渡って反対側に行ってみます。こちらには東急池上線戸越銀座駅があります。ワタクシがやって来た都営浅草線戸越駅からは3分ほど離れた場所にあります。また戸越と名の付く駅はもう一つ戸越公園駅というのも少し離れた場所にあり、こちらは東急大井町線の駅であります。ここら辺の電車の各駅の距離というのは、それほど離れている訳でもないので、歩こうと思えば思いのほか近いものです。

 線路を越えたこちら側は商栄会と言うようですね、地域ごとに名前が異なるようです。人の賑わう様子は相変わらずですが。スーパーのオオゼキが左側にあり、幾つも知ったチェーン系のお店が軒を並べております。

 と、そこに不意に現れたのが『産直あおもり』なるお店。非常に分かりやすいネーミング、良いですね。早速入ってみることにします。なんだか最近は青森づいているような気がします。
 青森というとやはり海産物、そしてりんごということでりんごはもちろんのことウニのイチゴ煮の缶詰や南部せんべい、そして全国一の出荷量を誇るにんにくも売っていました。珍しいところでは、何かのページで見たのですけれども、焼肉のタレで『スタミナ源たれ』というものがご当地では絶大なる人気だとかで、それも実物を初めて見ることが出来ました。

 ひと通り見終えて、もう少し進むとこれまたワタクシの興味を惹く佇まい。見ろ、といわれて見ない訳にいかない『ミロ』というお店。看板だと『ミロー』のようにも見えますが、テントのほうは『ミロ』となっています。

 壁のレンガの造形もところどころ補修されていて良い具合のヤレ具合。最近直してあるような部分ももう数年経てば良い味を出してくれるのでしょう。『ロ』のところは口(くち)のようにも見えるデザインが秀逸ですね。果たしてどんなお店なのでしょうか?意外と居抜きで入った若い人が、レトロ感を大切にそのままの内装でスタイリッシュなお店に仕立て上げていたりして・・・。

 進んだ先には車の流れが多い通りに出ました。出た角には古本屋さんがあり、昔見た記憶を思い出しやはりここまで来たときのことを思い出しました。もう学生時代のことでしたが、ここを綱島方面に歩いてどこかへ行ったのでしょう。ここは中原街道ということのようです。

 歴史を繰り返すのも良いのですけれども、今回はここで折り返すことにして、付近を見回すと良さそうなお店が目に留まります。中原街道沿いに立つ、ワタクシ好みの焼き鳥屋さん、鳥久さんです。看板を見ると『てば焼 もも焼 串焼 若鳥専門店』とありますからひと目でこちらのお店の売りが判ります。キリンビールのビールケースもありますし、あいにくまだ開店前、もしくは定休日でしたが今度是非とも訪れてみたいと思わせてくれたお店でした。

 こちらもまた良さそうな食堂『ゆたか』さん。こうしたお店が今なくなりつつあり、絶滅危惧種とも言えますが、ずっと残っていって欲しいと願うのはワタクシだけではないはずなんですが。

 ひと仕事終えたような気分で、商栄会の方を歩き終えると、再び国道一号線を渡り中央街の方へと戻りました。もうお目当ては先程目を付けていた焼き鳥のお店です。焼き鳥エビスというお店だそうです。先程よりもすこしお店の中も落ち着いてカウンターに入れそうなのでヤレウレシヤ、とばかりに入りました。店頭のお兄さんやオネーチャン含めて5・6人店員さんが居ました。飲み物は?と聞かれハイボールを。これは下町の例の焼酎ハイボールではないと思われましたが、今人気のサントリー角瓶ハイボールでした。甘いのが苦手なワタクシには丁度良いのです。
 それにしても、こんなお店があったのかな、とお店の人の隙を見て尋ねるともうかれこれ30年以上営業されているそうで、それでも店頭で飲めるように改装したのは数年前のことだそうです。それで印象に残っていなかったのですね。んで、件の焼き鳥のお店のことを尋ねましたら、やはりこの先にあったそうですが、御主人の高齢化に伴い廃業されたそうで残念。しかし結果が判りある意味納得しました。もう一軒の中華料理屋さんも聞きたかったのですが、おそらく立て替えてマンションになったような箇所が幾つかありましたので、多分そこなのでしょう。

 レバーと砂肝、その後お替りの緑茶ハイと鳥ねぎを頂いて1,000円チョッと支払ってお店の外に出ると、夕暮れの良い雰囲気に街が包まれています。さて夜はこれからです。久し振りの戸越銀座は楽しみましたから、今度は電車でどちらの方へ向かいましょうか。