ソフトバンクのあのCMには、明らかな不快感の鍵がある
キミちゃんが出てくるアレ。
ライオンの着ぐるみが出てくる番組じゃあるまいし「ごきげんよう」なんて言っちゃってるアレ。
はじめて見たときは、強烈な不快感をおぼえながらもしばらく「…どうしてこんなにムカムカするんだろう？」という疑問だけが消えなかった。
けれど、WEB上でも明らかな不快の声をいくつも目のあたりにし、改めてCMの台詞を文字に起こしたものを見てみるといろんなものが見えてきた。というか、心に蘇ってきた。なんかもう、何か書かずにはいられない。
みんな『ごきげんよう〜』
Ａ女「じゃあ、試合の件は電話して。九時までに」
Ｂ女「うん。携帯かけるね。九時までに」
Ｃ女「キミちゃんにも電話するね」
キミ「…あ、いいよ。私にかけるとお金かかるし…」
Ｂ女「そっか。ソフトバンクじゃないんだ…」
キミ「…ごめん」
Ｂ女「いいよ。キミちゃんが悪いんじゃないんだし」
Ａ女「いいよ、いいよ」
Ｃ女「そうだよ。気にしないで」
友達は大切に。
まずこの4人の会話の流れから、決定的な仲間内の力関係が見える。
キミちゃんはたかだか自分だけ携帯会社が違う程度で、幾らかぽっちの通話料が高い程度で「…あ、いいよ。私にかけるとお金かかるし…」なんて言っちゃうものすんごい気の弱い女の子なのだ。はっきりいって、非コミュな女の子だ。
もし謝るとしても、「ごめんね〜私んち家族割してるし〜変えたいなんて言ったらおかあさん怒るし〜」とか適当に言っときゃいいのだ。そんな適当な口上も言えないあたり、非コミュレベルはかなり高いとみえる。
そんなキミちゃんだから当然友達内での位置関係も、みんな仲間なのにも関わらずわざわざ「キミちゃんにも電話するね」なんて言われちゃってるってことは、かなり低そう。しかも他の女の子はみんな快活な感じ、同じ地味ちゃんの寄せ集まりとも違う。
キミちゃんはこのグループカーストでは最下位。
一応他の子とは仲良くつるんではいるけれど、他の子のように気兼ねなくワーワーやってるわけじゃなく、やっとこついていってる立場の弱い子。
このCMじゃ違うけどもしコレが奇数構成のグループだと、体育の時間先生が「よーし二人組作れー」ってときに必ず一人だけ余る。そんなに気の合わないよそのグループの子や半端ない嫌われ者ちゃんや先生と二人組作らなきゃいけない。
そんなキミちゃんに降りかかるさらなる不幸。
そう、キミちゃんの携帯はソフトバンクじゃなかった。キミちゃんちはauの家族割。そんなにお金持ちでもないし、キミちゃんだけソフトバンクにするなんてわがままも言えない。
だからみんなに嫌われないよう必死に気を遣って「…あ、いいよ。私にかけるとお金かかるし…」なんて言っちゃったキミちゃんにB子から飛んできたのは 「いいよ。キミちゃんが悪いんじゃないんだし」。
別に責めてるわけでもなんでもなく、一見なんてことない言葉だけど、この言葉には見えにくいながらも、明らかに棘がある。 B子が本当にキミちゃんが悪くないと思っていたら、もっと違う言い方をするものだ。
「えー、全然いいって〜！こっちこそ（逆に気を遣わせて）ごめんね！」
「いいよいいよ！あ、auも通話料安くていいよね〜」
「いいよ〜。キミちゃんdocomoだったよね？うらやましー。ソフトバンクって繋がりにくくてさぁ」
「仕方ないよ！キミちゃんだけソフトバンクにしたら家族割できなくなっちゃうもんね」
とかね。
ソフトバンクのCMである以上、下の3つの台詞は100％ありえないわけだけど。まあそこは気にするな。ただの一例だから。
B子の本心は
「いいよ。
いちいちごめんとか言って、何ウジウジしてんのムカつく。てか、キミちゃんもソフトバンクにしてりゃいいのに。まーキミちゃんち一家揃ってauだし、キミちゃんが悪いんじゃないけどさぁ。でもさぁ友達なんだし、空気読んで携帯くらい同じのに変えろよな〜。つまんねー女。ま、私がいじめてるみたいに思われちゃかなわないから、責めないどいてやるけどさぁ
キミちゃんが悪いんじゃないんだし」
ってとこだろう。
多少オーバーに書いてはいるけど、B子の腹ん中に何も含みがなけりゃこんなこと言ったりはしない。
本当は相手を咎めたいけど、自分もいい人だと思われていたい気持ちがつい口から出させてしまう言葉だよ。コレ。なんで女子高生の友達関係でこんな気持ち悪いシチュエーションを作り上げ、電波に乗せなきゃいかんのか。
はてなーや2ちゃんねらーの中でも多くの批判が巻き起こったのは、多くの「一度はキミちゃん的ポジションに立った経験のある」（元）非コミュの心の琴線をすごい勢いで逆撫でしたからじゃないか。そうでなければ、単にキミちゃん的ウジウジ子ちゃんをムカムカしながら見ていたコミュ強者の「こんなイラつく光景見せんな」ってのもあるかもしんないが。
たかがCMといっても、いやたかがCMだからこそ、見ている人の心の古傷をえぐるような表現はしてほしくない。いや古傷どころか、まさに今ジュクジュクな傷口に思いっきり塩を塗りこむってのもあるだろう。好感度よりもインパクトを重視するのもいい、ちょっと過激なことをしてみてもいい、でもこういう形のものだけはワタシは受け付けきれないし、実際相当な数の批判があがっていることからも、それが正しいかどうかは歴然としている。
みんな『ごきげんよう〜』
Ａ女「じゃあ、試合の件は電話して。九時までに」
Ｂ女「うん。携帯かけるね。九時までに」
Ｃ女「キミちゃんにも電話するね」
キミ「…あ、いいよ。私にかけるとお金かかるし…」
Ｂ女「そっか。ソフトバンクじゃないんだ…」
キミ「…ごめん」
C女「え〜マジソフトバンクじゃないの？」
Ａ女「キモ〜イ」
B女「キャハハハハハ」
お金は大切に。
同じひどいなら、改変ネタ（元ネタ）のこっちのが幾分マシだ。
ハッキリ言っちゃってるぶん、CMみたいにネトネトジトジトしないから。
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