25年のなせる業

今回はある日の回想録。


2012年6月23日、僕は日比谷野外音楽堂にいた、theピーズ 25周年ライブの目撃者となるために。


直前まで友人宅でうっかりグダグダしてしまい、ギリギリで出発。野音までは約1時間。開演には間に合わないかとあきらめかけたけど、新橋で降りてタクシーに乗る最短ルートを発見し、まんまと間に合った。少々お高くついたが、そんなことは問題ではない。


タクシーを降りて会場までの道を小走りで進む。でもビールを買うのは忘れない。この日、僕は缶ビールとチューハイを合計20本以上購入し、その場でできた仲間たちと大いに飲んで騒いだ。


入り口を抜けて会場に入ると、映像でしか見たことのなかった空間が広がる。自分が野音にいる事をやっと実感。初めての野音で25周年のtheピーズを観れる。ほんとに生きててよかっただわ、大ゲサなんかじゃないよ。


売店付近、いつもの顔を発見。ピーズのライブでしか顔をあわせない面々、いつも仲良くしてくれる友達が数名でビールを飲んでる。


Aちゃん 「おー、来たんだー、遠いのにねー。」
僕 「そりゃ、来るよー。あったりまえでしょー?」
全員 「だよねー!」


そして開演。3度目のキネマではじまったライブはあっというまに終わった。演奏について語ることは別にない。いつもどおり、世界最高の3ピースロックンロール。選曲がどうとか、そんなのどうでもいいのだ。聴きたい曲はいくらでもあったけど、そんなこと言い出したら、ファーストから最新アルバムまで全曲やってもらうことになっちまう。


会場で知り合った同世代の男が言う。「生きのばし、からだな。」 theピーズが復帰したアルバムの一曲目。うんうん、僕もそうだね。そっからさかのぼって全部聞いた。全てすばらしい。こんなに一つのバンドに入れあげたことはない。Theピーズは僕のとって永遠のフェイバリットバンドであり続けるのですよ。


ライブも中盤、顔なじみが前から歩いてくる。「最高、最高!」とハイタッチ。それ以上にしゃべることがなく、そこで別れた。またそのうち会うね。そんときゃまたよろしく。


いろんなバンドのメンバーが最後列のスペースで飲んでいる。日本のロックンロールの中核をなす人達。単純にファンなんだろうなぁ。「ここがいいよね、ゆっくりみたいから」と、あるバンドのベーシスト。ホントですね、って言ってビールをプレゼントしらグヒヒって笑ってた。


お客さん、泣きながらニコニコしてた。隣にいた女の子、号泣して座り込んじゃった。踊りながら泣いてる兄ちゃんもいた。ピーズファンにとってその光景は驚くべきものではない。もちろん僕も超上機嫌でニコニコしながら、ボロボロと涙を流した。なんとも気持ちよい時間でしたよ。


ライブ終了、隣にいた子としゃべったら、なんと同郷。とんでもない偶然が軽々と起こる、そんな空間だった。不思議だね。お客さん全員が友達になれそうなライブ、これが25年間、愛され続けたバンドにのみなせる業なのかな。


会場から出る行列の中、当日その場にいるはずの人達に電話。「会えなかったねー、ちょっと飲みに入ってくるよー、また今度ねー、バイバーイ。」 声だけで全員が幸せだってわかる。


さらには、その場で仲良くなった人達と打ち上げに。めちゃくちゃ楽しませてもらって、連絡先を交換した。いつになるかわかんないけど、また会えるのを楽しみにしてます。


しばらくは25周年の余韻にひたって、30周年まで“生きのばし”てみましょっか。