大阪城へ行く

旅行の最終日5日のことである。翌日から仕事がある。高速道路の込み具合によってはへたすると明け方くらいに帰ってきてそのまま仕事にいくなんてこともありえる。だから最終日は宿を出たらすぐに帰るつもりでいた。娘もそれに賛成してくれた。でも妻はやっぱりお出かけしたいと言う。今回はとにかくずっと大阪城大阪城と言っている。さらには新世界で串かつが食べたいと言う。でしょうもなく大阪に少しだけ寄ることにした。
私も貧乏性なので、遠くに出かけるとけっこう目一杯観光してしまうタイプだ。ようは次はなさそうだから、行けるとこ出来るだけ行ってしまおうという悲しい性なのである。幼少期にあまりお出かけ、家族旅行とかでお泊りとかしていない。だからチャンスがあったら出来るだけ見て回りたいと思うわけである。なんか悲しい性である。うちの娘みたいに小さい頃からある意味いろいろなところへ連れていっていればたぶん観光に対しても余裕が生まれるだろう。「また次来ればいいじゃん」みたいな感じか。このへんが貧乏に生まれ、貧乏に育った昭和世代と、一億総中流時代に生まれた完全平成世代の違いだろうか。最も世界金融危機以来、時代はハードになりつつある。我が家もいつ社会の網の目をすり抜け貧困に落ちていくかわかりゃしない。それなりに溜めを用意しているとはいえでも、転落と隣り合わせの生活を送っていることには変わりないから。まあこのへんの話はまたこんど。
ほんでもってとりあえず大阪である。淡路から高速で大阪に向かう。月曜日でたぶんこの日から仕事始めというところが多いのだろうけど道路は順調だった。この分でいけば帰省ラッシュは完全に終わっているだろう。午後早めにこっちを出ればその日のうちに帰宅できるかなと思った。
大阪城へ来るのも実は中学の修学旅行以来である。ざっと考えると37〜8年ぶりのことだ。ある種の感慨を覚えざるを得ない。もっとも15年くらい前のことだが出版社にいた時はだいたい二ヶ月に一度くらいの割合で大阪へ営業に来ていた。だからこの近辺も歩いていることは歩いている。記憶でいえばたぶん京橋の駸々堂書店に行くときに遠めに何度か大阪城を目にしたようにも思う。
あの駸々堂はけっこうコンピュータ書とかをよく売ってくれていた。場所的にもビジネスパークのハイテクビルに通うプログラマたちがけっこうプログラミン言語系の本を良く買っていくとかのバックボーンもあったのだろう。それと担当者がとても熱心な人で人柄も良い方だったので、多くの出版社が出張の折には必ず日参していた。年も近かったからけっこう親しくさせてもらったし、何度か飲みに行ったようにも思う。
その駸々堂ももはやない。ずいぶんと前に経営的に駄目になり多くの優良店が閉店した。日本橋店もそうだし、京都の川原町の店舗とかもそうだ。そして多くの優秀な書店員が辞めていった。日本橋の担当者も辞めた後出版社の代行営業をやられているという噂を耳にした。それでさえ10年以上前の話だ。元気でやってくれていればいいけど。
大阪城へ行く話だ。まずナビを頼りに周辺まで行く。それから駐車場を探すのだがなかなk見つからない。ナビで検索するが道路の反対側だったりと有効な場所がない。なんとか野生の感でここらあたらにないかとぐるぐる大阪城公園の周囲を周回しつつ、ようやく公営の森ノ宮駐車場を見つける。5日の平日ということもあるのだろう、けっこう空いている。車を降りてから公園内に入り地図を確認すると大阪城までかなり遠いのである。私たちの後ろでカップルが同じ地図を見ながら「天守閣いくまでに2〜3日かかるんとちゃう」みたいな軽口をたたいていた。
http://www.ocsga.or.jp/osakapark/hfm_park/02osakajo/osakajo_02.html
とりあえず一番近そうなルートをと思い噴水から音楽堂を抜けて玉造口へと向かおうとすると長い階段にぶち当たる。さすがにここを妻が歩いて私が車椅子抱えては難しいだろうと思い別のルートをと考える。一番妥当なのは一度公園を出て道路ずたいに行くのだが、なぜか公園内を行くことになり遠い遠い青屋口をめざすことにした。
天気が良く穏やかな陽気だったので公園内を歩くのは気持ちが良かったけれど、いかんせん遠い。おまけに青屋口を通ってからはずっとけっこうきつい坂を車椅子押し続けることになった。どこへ行ってもお城へ行くとこういうことになるんだよな。姫路もそうだったし。わかっているのになぜかお城見物に来てしまうのである。学習能力皆無なのである。まあ妻が行きたいというし、まだまだ体力があってこうやって車椅子押して登っていけるうちは頑張るしかないのかなとも思う。
途中平坦な公園内では娘に少し車椅子を押させた。

天守閣は意外と小さい印象である。なんか姫路城のほうが大きいイメージ。実際はどうなんだろうか。あそこはすべて階段で登ることになるのだが、ここ大阪城はいったん天守閣に着いてしまえば後はエレベーターですべて上下の行き来ができる。まず入場するとエレベーターに案内される。基本お年寄りや身障者用に設置しているのだろう、これで入場口から城内の1階に行く。そこから内部のエレベーターでさらに上階へ進む。
最初に8Fの展望台に登る。見晴らしがいい。大阪市内をほぼ一望にできる感じである。とここまで来ても40年近く前に訪れた時の記憶がほとんど残っていない。それこそあの時の感覚みたいなものがまったく蘇ってこないのである。まあそれほど大昔ということなんだろう。
そこから順に下の階に降りていく。それぞれの階が展示スペースになっていて、さながらこじんまりとした大阪城ミュージアムという風である。ビデオによる秀吉の事績とかをエポックメイキングごとにビデオ化していたりして、けっこう面白かったりもする。娘も熱心に見ていた。ただ1階ごとにエレベーターで降りるのがややもすれば煩雑ではあるのだが、まあこればっかりは致し方ない。
まあもう一度いくかとなると、う〜んという感じではある。でもたまには、あるいは一度は行っておきたい場所、まあそんなところなのかもしれないな。