「紙屋悦子の青春」(映画館にて鑑賞)


出演: 原田知世永瀬正敏松岡俊介小林薫本上まなみ
昭和20年、場所は鹿児島。年頃となった紙屋悦子がひそかに想いを寄せる明石少佐は、特攻隊として出撃間もない身である。そんな時、悦子に持ちかけられる、明石少佐の親友・栄与少尉との縁談・・。明石少佐への想いを断ち切れない悦子、そして親友へ悦子を託そうとする明石少佐、そして二人の想いを受け止める栄与少尉。
終戦間近の日本で繰り広げられる青年たちの素朴な日常と青春、そして戦争。時を経た今なお語つがれる哀しい心の記憶。


病院の屋上で夫婦がベンチに座ってゆったり話をしているシーンから入ります。
話は主人公の過去と現在の二つの時代で描かれてます。
説子(原田知世)の声の耳心地がとても良くて、ウトウトしそうになりましたが、若かりし日の彼女に話が移ると、しっとりとした時間が流れて、引き込まれて行きました。
シーンを盛り上げるバックの音は一切なく、逆にこの事が、淡々と、それぞれの純粋な想いを胸の奥で燃え上がらせていく姿が、切ないくらいに伝わって来ます。
派手な盛り上がりはないけど、静かに吸い込まれて行くような作品でした
昔の日本の女性の内に秘めた強さが見事に描かれています。
労わり合う家族、周りとの結び付きに感動して、涙が溢れました。
良い映画でした。

「手紙」(映画館にて鑑賞)

手紙 ~あなたに会えてよかった~ [DVD]
出演:山田孝之玉山鉄二沢尻エリカ吹石一恵
川崎のリサイクル工場への送迎バス。最後部座席に、野球帽を目深に被った青年の姿がある。ーー武島直貴、20歳。誰とも打ち解けない、暗い目をしたこの青年には、人目を避ける理由があった。兄・剛志が、直貴を大学にやるための学費欲しさに盗みに入った邸宅で、誤って人を殺してしまったのだ。数度にわたる引越しと転職。掴みかけたのに鼻先をすり抜けた、お笑い芸人になる夢。はじめて愛した女性との痛切な別離。兄貴がいる限り、俺の人生はハズレ。そういうことーー。耐え切れずに自暴自棄になる直貴を、深い絶望の底から救ったのは、常に現実から目をそらさず、日の当たる場所へと自分を引きずり出してきた由美子の存在だった。しかし、そのささやかな幸せが再び脅かされるようになった時、直貴は決意する。ーー塀の中から届き続ける、この忌まわしい「手紙」という鎖を断ち切ってしまおうと。


東野圭吾原作の「手紙」を映画化したものです。
弟の事を想い過ぎたゆえの犯行! その犯罪者の弟として、世間の冷たい風はどこまでも追って来ます。
夢を捨て、恋人との結婚も諦め、職にも影響が・・・。
複雑な想いと同時に、弟がこれだけ苦しむ事も、兄が犯した罪の一部なのだ!という事を改めて知りました。
直貴が勤めている会長が彼のもとを訪れ、会長が彼に言った言葉を聞いた瞬間!物凄く勇気付けられた想いがして、とても温かい気持ちになり、涙が溢れました。
由美子の存在も良かったです。
「逃げたらアカン!!」と言って、優しさや同情とも違う、真正面から直貴と向き合って厳しい愛情を持って自暴自棄になっている彼を戒めます。
被害者の家族も「許す」とは、決して言わなかったけど、代わりの言葉を告げます。
弟が、忌まわしい存在!として断ち切った手紙。その断ち切ったはずの兄からの手紙を被害者の家で目にして被害者の声を聞いた時、始めて正面から向き合える気持ちになれた彼の姿に、また涙しました。
ラストの刑務所での慰問は、もう感動ものです。


という事で、今回の2本は、涙腺ウルウル状態で、とても面白かったです。
特に「手紙」は良かったぁ〜!
改めて、本当の意味で、罪の深さを教えられた作品でした。
ラストは本当に泣けたなぁ〜・・。(;;)