核燃料サイクルに12兆円 コスト年1600億円 国民負担続く

 2015年11月17日 朝刊

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が廃炉になる可能性も出てきたことを受け、本紙はもんじゅを中核に国が進めてきた核燃料サイクル事業にかかったコストを、あらためて調べた。いずれ必要になる廃炉費用も考慮し集計した結果、少なくとも十二兆円が費やされ、もんじゅが稼働していない現状でも、今後も毎年千六百億円ずつ増えていくことが分かった。実用化のめどのない事業に、巨額の国民負担が続く実態が浮かんだ。 
 核燃サイクルの財源は、税金か、電気料金に上乗せされた分かの違いはあるものの、国民負担であることに変わりはない。
◆見切りつける好機
 <大島堅一・立命館大教授(環境経済学)の話> 実現の見通しが立たない核燃料サイクルに、十二兆円以上が費やされてきた事実は深刻に受け止める必要がある。何も生み出さない事業に、今後も毎年千六百億円ずつ消えていくのは、民間企業ではあり得ず、異常な事態といえる。(もんじゅ問題は)核燃サイクルに見切りをつける大きな好機ではないか。国民も、自分のお金が税金や電気料金の一部として、見込みのない事業に使われている現実をよく考える必要がある。