「少林寺三十六房」

少林寺三十六房 [DVD]
タランティーノが偏愛する映画として有名な「三十六房」。
主演のリュー・チャーフィーは、ゴードン・リューという芸名で現在も活躍中で、タランティーノの「キル・ビル2」にも出演、ユマ・サーマン演じる主人公に必殺技「五点掌爆心拳」を授けた拳法の達人パイ・メイ役を怪演していました。
私は少林寺少林寺でも、リー・リンチェイジェット・リー)主演の「少林寺」シリーズは見たことがあったのですが、こちら「三十六房シリーズ」は恥ずかしながら今回が初見。いやー、堪能させてもらいました。
一応ストーリーを説明すると、以下のような感じです。

清朝の広州が舞台。満州族の圧政に苦しんでいた漢民族の民は、鄭成功を旗頭にひそかなレジスタンス活動を続けていた。広州を統治する将軍は、寺子屋レジスタンスの温床になっていることを知り、教師や生徒たちを逮捕し処刑する。
生徒の一人で難を逃れたリュー・ユウト(リュー・チャーフィー)は、武術の聖地である少林寺へ駆けこみ、清朝打倒のために修行をさせて欲しいと頼みこむ。
願いを聞き入れられたリューは、武術を修めるべく少林寺に伝わる「三十五房」を順に修練していく。5年の歳月をかけて三十五房の業を習得した後、リューは「民衆に仏の教えと武術を伝えるため三十六番目の房を開きたい」と願うがこれをしりぞけられ、やむなくひとり少林寺をあとにする。
故郷に戻ったリューは有望な若者を集め将軍を打倒し、再び少林寺に戻り、念願の三十六番目の房を開く。

このように、割としっかりした(?)ストーリーがあるのには驚きました。大体いい加減な敵討ちの話だと思っていたので(半分当たりだけど)。
清朝打倒のため強くなりたい!」というリューの願いも、まあ仏の教えから言えば道に背くものだと思うのですが、そんなエゴイスティックで無茶な願いも「善きかな、善きかな」とすべてを縁(えにし)に結びつけて包み込んでしまう少林寺の高僧の姿には、心底感服させられました。


ともあれ何といっても本作の見所は、三十五房での修行シーン。
実際にはその一部しか出てこないのですが、第三十五房「飯堂(食堂)」での修行に始まり、奇想天外な修行が次々と披露されます。「風雲たけし城」よろしく池に浮かんだ丸太を飛び越えたり、重りのついた長い竿で鐘を叩いたり、ろうそくの炎を目で追ったり、吊り下げられた砂の入った麻袋を頭突きしたり。このアイデアが凄いな〜。
そうした修練を終えたリューが、最後の試練として高僧の一人と対決する中で編み出した武器が、あの「三節棍」。しなる竹を斬っていて思いついた…というのが、非常に面白かったです。