Meige症候群?

本症候群は眼瞼痙攣と口・下顎・頚のジストニアを主徴とする不随意運動を呈する症候群である。
眼輪筋、皺鼻筋、鼻根筋の収縮で特有のしかめ面顔貌を呈し、瞬目増加も認められる。この他に、眼脂、羞明、流涙などを伴うことがある。
口すぼめ、口角の後退、舌突出、顔面下部、顎、頚の不随意運動が認められる。これらの運動の多くは眼瞼痙攣と連動しているが特徴である。不随意運動は日内・日差変動があり、会話、読書、光、上方視、すとれす、睡眠不足で増悪し、安静・暗所などで軽減する。特定の感覚入力により不随意運動が軽減すること(感覚トリック)が知られており、サングラス、眼鏡、ゴーグル装着で症状が改善することがある。一方のみの症状を呈する場合でも不全型とみなす場合もある。また、本症候群を本態性眼瞼攣縮と同義とみなし、眼瞼痙攣が一時的で、その付随症状として顔面筋や顎・頚部の筋の異常運動を呈するとの見解もある。
最近では続発性あるいは症候性(大脳疾患や重症筋無力症,顔面神経麻痺後の合併症など)に同様な症状を認められることもあり、これらを含めて本症候群と呼称されている。
特発性の場合、男性よりも女性に多く(1:2)、30-70歳代の幅広い年齢層で発症する。これに対して、薬剤性によるものではそれよりも若年層に認められるが、薬剤の使用期間については一定ではない。
本症は大脳基底核および脳幹の機能異常が関与していると考えられている。中枢からの下行線維の中断による脳幹や顔面神経核の興奮性の増強、大脳基底核からの刺激伝達障害による脳幹インターニューロンの過活動性などの発症機序が提唱されている


治療

治療に関しては、薬剤性の場合は起因薬剤の減量・中止が必要である。
眼瞼痙攣に対しては、ボツリヌスA毒素を局所注射する。ボツリヌス毒素注射を行う場合でも内服薬の併用は可能であるが、有効性がないと判断した場合は漸減・中止する。3ヶ月以上の投与の場合は1ヶ月に投与量の10〜30%位を目安に薬剤の漸減をする。薬物治療(トリヘキシフェニディル、ベンゾトロピン、ジアゼパム、クロナゼパム、バクロフェン、カルバマゼピン、レボドパ、ブロモクリプチン、アマンタジンなど)やボツリヌスに抵抗する場合には、眼輪筋切除も考慮される。抗コリン薬を第一選択として使用し、疼痛・筋肉痛があるときは抗てんかん薬やベンゾジアゼピン系薬剤の内服で調整する。漢方治療も有効であり、抑肝散など証が一致(神経過敏・・腹筋の緊張を伴うなど)すれば著効するとのこと