自殺は1人、殺人は2人、恐喝は3人、交換殺人は4人
『交換殺人には向かない夜』の感想文を書きながら考えた。交換殺人は関係者の人数が多いので、さまざまな変形パターンが考えられる。それらの中には、まだ作例がないものもあるのではないか、と。
たとえば、交換殺人と一人二役を組み合わせてみよう。基本パターンには犯人A,Bと被害者a,bの4人が必要だが、
- A=a
- A=B
- A=b
- a=b
の4通りの一人二役が論理的には可能だ。*1
さらに一人三役とか一人四役という手もある。
人間の考えることなんて似たり寄ったりだから、これらの応用パターンの中には既に用いられているものもあるだろうが、さすがに一人四役はまだ誰もやっていないのではないか。いったい何と何を交換することになるのかさっぱりわからないのだが、叙述トリックとレトリックを駆使して、無理矢理「これは交換殺人だ!」と強弁すれば、新境地が開けるかもしれない。
*1:A-a系列とB-b系列は完全に対称であるため、B=bとB=aは独立のパターンにはならない。
われらのシンデレラ
こんな話を思いついた。
一人の探偵が殺人事件の捜査を行う。探偵は事件後行方をくらませた目撃証人に会うためにタイムマシンに乗って過去に戻る。すると、ちょうど殺人が行われている現場に遭遇してしまう。証人は探偵自身だったのだ。
探偵=証人は再びタイムマシンに乗って過去に戻る。すると、いきなり暴漢に襲いかかられて、やむを得ず殺してしまう。つまり、探偵=証人は犯人でもあった。
正当防衛とはいえ人を殺してしまったので罪の意識に耐えかねた探偵=証人=犯人はみたびタイムマシンに乗って過去に戻る。かくして探偵=証人=犯人=被害者の一人四役が成し遂げられた。
……なんか、「あらすじだけでおなかいっぱい」という感じだ。
統計と進化論
銀盤カレイドスコープ〈vol.5〉ルーキー・プログラム:Candy candy all my rules (集英社スーパーダッシュ文庫)
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さて、『銀盤カレイドスコープ』だ。アニメ化だそうだ。でも、我が家では見られないので関係ない。ただ小説を読むのみ。*1
今回、ストーリーと直接の関係はないが、ちょっと感心した台詞があった。
違った。これは呆れた台詞のほうだ。
「日本語でだ。確か……あれだ、マンコーフラグ」
「マ……難攻不落?」
「そうそう、それ。ナンコーフラク。まるで要塞だ」*2
やり直し。
もっとも、この箇所だけなら、単に進化論を巡るアメリカのハチャハチャ騒ぎ*4をからかっただけなので、特に感心することもないのだが、あとがきで冗談めかして書かれている統計の話と合わせて読むと、作者のスタンスが垣間見えて興味深い。
「今年のプログラムよ。せっかくアメリカでやるんだから、ダーウィンの進化論をテーマに滑ったら面白かったのに!」*3
それはとみかく、肝腎のストーリーのほうだが、一旦きれいに完結した物語に無理矢理続篇をくっつけるというライトノベルにありがちな進行のせいで、3巻、4巻あたりでかなりぐらついていたのが、5巻に至って持ち直したようにみえる。これなら次も安心して読めそうだ。
でも、本当は早く『ブルー・ハイドレード』の続きが読みたい。登場人物がいっぱいいるのに間があいてしまうと、誰が誰だったかわからなくなってしまうので。