聖なる館/レッド・ツェッペリン

聖なる館/レッド・ツェッペリン

 いやー、当ブログの更新は何と2年3ヶ月ぶり。ここまで空くと「もうやめたのだろうな」と思われても仕方がない。特に中断した理由はないのだけれど、本業が忙しくてそれどころじゃないと本人が思い込んでいて…。でも最近「好きなことは続けた方がイイよ」と珍しく妻に優しい言葉をかけられて、何となく再開することにした。おそらく、今後も頻繁には更新できないと思うけど、マイペースで続けて行きます。
 さて、ブログを中断した頃中学生だったわが家の長男も高校2年生になり、遅まきながら最近になってギターを始めた。私の持ち物の中では車の次に高価と思われるマーティンのアコギを自分の物のように部屋に持ち込み、下手くそなリフを何回も繰り返しているが、珍しく(というよりおそらく初めて)ギターを弾くという点だけにおいては父親を尊敬しているようなので、今のところ放置している。
 私の場合は中学1年生の時にギターを始めたのだが、もちろん独学というか我流で、当時は情報も少なかったので、ほとんどギターのコード表と耳を頼りに練習していた。「TAB譜」というギター初心者にはわかり易い譜面もあったのだが、正確さという点では疑問な物も多く、やはり最後は自分の感覚が頼りだった。
 そこへ行くと、情報化社会に生きる最近の若者は頼りにすべきものが巷に溢れており、とくにYouTubeの動画などは、曲のテンポを遅くして丁寧に説明してくれる物もあって、長男などは当たり前のように使っている。昔気質?の私にしてみれば、試行錯誤もせず安直に動画に頼る姿勢を咎めてやりたいところだが、便利なものはやはり便利だ。
 とはいえ、私もハタと思いついて、今更ながら若い頃にコピーしようとしたが難解で諦めてしまったフレーズなどをYouTubeで紐解いてみると「目からウロコ」の物件が少なくなく、本作に収録されている「レイン・ソング」のギターなどもその一つである。アコギとエレキのアンサンブルが絶妙な同曲は、ギターを弾く者なら必ず再現してみたいと思うはずだが、何しろ元々のチューニング自体が良くわからない。
 ギターに触れたことがない人にとってはつまらない話になってしまうかもしれないが、ギターは一般的には6弦(上)からE(ミ)、A(ラ)、D(レ)、G(ソ)、B(シ)、E(ミ)にチューニング(これをレギュラー・チューニングと呼ぶ)することになっているが、ブルース、フォークなどでは、開放弦(弦を何も押さえていない状態)でG(シレソ)やE(ミソシ)等々の和声が出る「オープン・チューニング」を多用する。
 オープン・チューニングを知らなかったギター初心者の頃の私は、市販されていたTAB譜を見ながらコピーを試みたのだが、そもそもレギュラー・チューニングでは物理的にかなり困難な指使いになってしまうし、「響き」のニュアンスが全く違う。何か変だと思っていたのだが、同曲のチューニングはオープン・チューニングの中でもかなり変則的(D-G-D-G-C-D)で、いうなればGのコードに4番目の音であるCの音を入れたGsus4(サスペンデッド・フォース)チューニングとも呼ぶべきものであることを、最近YouTubeでようやく知った。今、暇さえあれば、新たに覚えたチューニングで「レイン・ソング」を弾いて自己満足に浸っている。
 さて、通算5作目にあたる本作は、ツェッペリンの永遠の名作といわれる前作(レッド・ツェッペリン4)にも増してアイディアに満ちており、メロトロンが強調された叙情的な「レイン・ソング」の他、ファンク、レゲエ、トラッド等、実に多彩だ。ツェッペリンの解散に何とか間に合った世代の私としては、本作のオープニングを飾る「永遠の詩」は、76年発表の同名のライブ・ヴァージョンを聴いたのが先だったが、遡ってスタジオ録音のギター・アンサンブルを聴いた時の感動は未だに忘れられない。