“一虎一席谈”に人民大のEMBAコース

夜、大雨が降りました。お陰様、涼しいです。
街路樹は黄色くなり始めたことに驚きました。やはり、これだと「ちょっと早すぎ?」かな…


さて、今日は、フェニックステレビの番組収録現場を見させてもらいました。
http://phtv.ifeng.com/program/yhyxt/


番組名は「一虎一席談」。週一回、1時間のディスカッション番組。
司会者の一虎さんは、「朝まで生テレビ」のような番組を目指していると言います。
今日は2回分収録しましたが、一回目は今週土曜日夜の放送予定。
テーマは、中国経済の成り行き。
中日両国の学者、学生が議論に参加しました。


反対、賛成をそれぞれ表明してもらって意見を述べてもらうのですが、
無理やり、「反対」、「賛成」の2班に分かれて、ディベートするという形でないのが
とても良かったと思います。
一虎さんの司会ぶりに感激しました。言葉の数が決して多くはないが、
存在感があり、議論のリード役で、一座の雰囲気を上手にコントロールしていました。
全般的なイメージは、中国側の参加者は、中国経済の成り行きを楽観視しているのに対し、
日本側のゲストは「深刻だ。懸念している」という声が大きかったです。
土曜日に放映するので、興味のある方、インターネットででもご覧ください。


中国側参加者の学生たちは、北京大、清華大のほか、人民大学のEMBAの学生たちが人数が一番多かったです。
私の同期だった元同僚は最近、人民大学のEMBAセンターに転職したばかりで、
学生たちを連れてきたため、番組収録後、人民大の打ち上げに一緒に参加させてもらいました。
寡聞で恐縮ですが、商学院(ビジネススクール)は聞くものの、
「EMBA」は今回は初めて知った言葉でした。


対象者は企業の経営者( Executive )か、ホワイトカラーならぬのゴールデンカラー。
月一回、4日間、集中講義がある2年コースに対し、
学費は28万元(参考として、私が5年前に購入した家は総額は35万元)。
それに、ゴルフクラブの加入や海外や国内の研修旅行など。莫大な出費がかかることは間違いないです。


聞く話では、現在、中国国内にビジネススクールは100箇所以上あり、平均すれば、
一箇所あたり年間、200人募集しています。
MBAとEMBAをあわせれば、年間募集人数が1000人ほどに達しているため、
その他の関連コースに入っている学生を含めば、総数4000人ほど在学しているということだそうです。


同じテーブルに食事していた人は、
不動産開発に、工事の請負、IT製品の販売、対外貿易の企業を経営している人たちでした。
南方なまりの共通語を話す方もいました。
7月に卒業したばかりの学年は人クラス50人で、全部で6クラスあったとか。


「成功した人でないと、入れないところなので、少なくとも、この点、満足ができる」、
「仕事していた時にぶつかった問題など、学校に入りなおしたら、きっと色々勉強できると
 信じ、応募した」、
「人民大学の知名度が高いので、一度はここの学生になることを体験してみたい」、
「人の輪が広まることを期待して入学した」、と入学の動機をそれぞれ語りました。


学費は会社負担、自己負担、自分と会社が半々出すというのが、それぞれ3分の1を占めているようです。
しかし、会社負担と言っても、自らが会社の経営者である人も多いようです。
中には、一文無しのセールスマンからスタートし、ついに、
北京市政府の文具サプライヤーにまでなった女性企業家や、
地価が安かった時に、タイミング良く不動産を購入した人など、
それぞれの起業物語があるようです。
しかし、それなりに苦労して、汗を流して、人の何倍もの苦労をして、
頑張ってきたことも事実です。


「仕事が忙しくて、どうしても学校にこられない時は、別のクラスの授業に出させてもらうこともある。
 しかし、毎月、大学に通う4日間は、天国のような日なのだ。
 携帯電話の電源をオフにし、先生のレッスンを聞けばよいので、
 夢のような時間だ。楽しんでいる。」


一方、授業の実用性については、「3割ほど役に立つことがあると思う」。
厳しい評価か、良い評価なのか、表情では読み取れません。
しかし、全般的には、カリキュラムを評価しているようです。
「色んな視点から問題に対する分析が聞こえるので、ためになっている。」


面白かったのは、EMBAコースの学生の中国経済の成り行きについての見方です。
「金融システムさえ危機に陥らなければ、経済全体にたいした問題にならない。
 中小企業は産業構造の転換という課題があるが、国がそれを促すような政策を
 タイムリーに発表できるかどうかにかかる。
 中国経済は今後も引き続き早いテンポで発展し、
 不動産価格は下がるようなことはないだろう」。
要は、きわめて楽観視しています。


食事が終わり、レストランを出れば、黒塗りの高級車が2台待っていました。
成功した人士の象徴でもあったかのように、ピカピカのBMWにベンツでした。
専用の運転手がドアを開けて待っていました…
やはり別世界です。


そういえば、大学院時代、私も良く行っていた人民大学の西門近くは
まるで違う場所に様変わりしました。
狭き門に、古そうな灰色のアパートが立ち並び、
街路樹が茂っていたイメージが強かったですが、
今やその狭い門のところに、正門よりも立派な門が立ちはだかっています。
道路の両側の広い敷地に、濃いワインレッド色のレンガ造りの
高層ビルが建っています。
EMBAコースから寄贈されたビルもあるだとか。
教室あり、オフィスあり、レストランありのビジネススクールらしいところです。
すっかり浦島姫でした。