第47話 白馬の王子

●2007年
トレーナー「パン、パン、パン! はい、そこでバク宙!」
ユリ「ええ? バク宙なんか出来まへんで」
トレーナー「なんやと? ほんなら出来るまで練習せえ。全員居残りや!」
少女時代「ひえ〜」

ジェシカ「あかん、無理や(はぁはぁ)。だいたいなんでアイドルがバク宙せなあかんねん。ウチら、セイントフォーかっ」
ティパニ「(はぁはぁ)まったくや。せっかくデビューしたのに、相変わらずBoA姐さんや他の歌手の歌ばかりやらされて、こんなダンスも憶えにゃならとは(とほほ)」
ソニ「持ち歌が少ないからなぁ」
ユナ「そのうちワンゴルの曲とかやらされるんちゃうか?」
テヨン「それだけは嫌や。断固として断る!」
ナレーション「しかし、その不吉な予感は、1年後に実現するのやった」
クッキーマン「文句ばっかり言ってんじゃねぇ。スペシャルステージで、いろんなパフォーマンスをお披露目出来ることを感謝せえ!」
テヨン「だったら自分がバク宙しろ!」
ヒョヨン「ホンマや。もうちょっと条件のええ仕事、とって来いや!」
少女時代「うきーっ!」
クッキーマン「…うーむ(だいぶガス溜まっとるな。どうしよう?)」
カンタ「(がちゃ)あんにょ〜ん、やってるー?」
ヒョヨン「あ、アゴにいさん」
カンタ「誰がアゴにいさんじゃ、こら。それよりなんや、えらい険悪な雰囲気やな?」
ティパニ「それが実は…(かくかくしかじか)てな訳で」
カンタ「あー、それはワシも経験あるわ。デビューの頃はソテジの歌ばっかやらされたからなぁ」
ユナ「そうですやろ? よお我慢出来ましたな」
カンタ「それが釜山にちょっと太股の太い、笑顔の可愛いペンがおってな、その子がいつも見てる思うたら辛抱して続けよ思えたんや」
ソニ「ほぉ、そんなええ話が」
カンタ「その子はトニー兄貴のペンやったけどな」
ソニ「(こけっ)あかんやん」
カンタ「とにかくちょっと休んで、気を落ちつけれや」
少女時代「へーい(くてっ)」
トレーナー「こら! 元H.O.Tかなんか知らんけど勝手に休ませるなや。ワシが担当しとる時間やぞ」
カンタ「まぁまぁ、先生もそうカリカリせんと。そや、アイスでも買うてきまひょか?」
トレーナー「はぁ? そんな金、ワシ持ってへんで」
カンタ「勿論ワシが奢りますがな」
トレーナー「そ、それならええけど。(コロッ)さすが元H.O.Tや、太っ腹。いひひひ」
カンタ「お、おおきに」
スヨンハンバーガーもハンバーガーも!」
カンタ「わかったわかった。腹が減ってたら、怒りっぽくなるからな。どんどん食え」
ソヒョン「…(そんなモンどんどん食うてたら死ぬで、と思うたけど今回は黙ってよう)」
トレーナー「ワシはフレッシュアボカドワッパーMセットね、オニオンリングで(にこにこ)」


スヨン「あー、腹減ったなぁ。晩飯まだぁ?」
ヒョヨン「晩飯なんか遠い未来や。これから、来週のステージ用に、歌の練習がたっぷりあるらしいで」
ユナ「あかん、マジ死ぬって(ぐったり)」
ティパニ「はー、先週みたいにカンタにいさんが来てくれへんかなー」
テヨン「うむ。ほんでまたメシ奢ってくれへんもんか」
スヨン「へ? 先週、カンタにいさん来たん?」
ソニ「なにボケてんの。自分、ひとりでワッパー5コも食うたやん」
ソヒョン「そうそう。ほんで『ゴワッパー5 ゴーダム』とかくだらないダジャレゆうてた」
スヨン「確かにワッパー食うた記憶はあるけど、カンタにいさんの記憶はない」
ソニ「薄情な奴やな。全部にいさんのおごりやったのに」
スヨン「そおゆうシガラミになりそうなことは脳内に留めない主義なんで」
ソニ「脳内に留めんでええから、せめて胃の中に留めて感謝せえ」
ユナ「なぁなぁ、にいさん来んのなら電話してみぃひん? ひょっとしたら来てくれるかもしれへんで」
ソヒョン「わざわざ呼び出してタカルん? (ぴゃー)よお出来へんわ」
ヒョヨン「背に腹は代えられん。誰かアゴにいさんに電話しなよ」
ユリ「そおゆうても、電話番号、誰か知ってる?」
ジェシカ「ウチ、知ってるで(スチャ)」
ヒョヨン「わぁ、さすが身内キラーや。めぼしい男の連絡先は全部知ってる(笑)」
ジェシカ「人を浜口優みたいにゆうなよ…(ぽぴぽぴ)あ、カンタにいさん、今ひま?」
ユナ「いきなり釣れた!(笑)」
テヨン「スケベな先輩や(笑)」
ジェシカ「うん、うん、ちょっと待ってや…にいさん、今から稽古場に来るゆうてるで(笑)」
ヒョヨン「やたっ」
ユリ「わーい、今日はなに奢って貰おうかな」
テヨン「てか、どうせここに来るんなら、ついでに買ってきて貰うたら? 時間の短縮になるし」
ソニ「そりゃー失礼過ぎないか?」
テヨン「そやけど稽古の時間も大事やし」
ヒョヨン「いけるんちゃう? にいさんアホやから、失礼とか思わへんよ」
スヨン「ほんならリクエストとるか。ウチ、ジャジャ麺ね」
テヨン「トッポッギ!」
ソニ「おでん!」
ユリ「たこ焼き!」

ジェシカ「てことやけど、ちゃんと憶えた?」
カンタの声「えーと、ワンタンメン大盛りのハンチャンセットとぉ、天津飯カニ増量グリーンピース抜きとぉ…」
ヒョヨン「さすがアホにいさん、憶えこなさんで(笑)」
カンタの声「誰や今アホゆうたんは? 聞こえとるぞ!」
ジェシカ「ええから、気ぃ散らさんとメニュー復唱して」
カンタの声「えとえと…ジャンボ餃子4枚、春巻き2枚…」
ソヒョン「『特車二課壊滅す』かっ!」


●2008年
隊長「よし、午前の部は以上! これより食事休憩とする!」
小隊「忠!、誠!」
隊長「各班、直ちに食事の用意を…」
カンタ「もう出来てるであります!」
隊長「わぁ、は、早いね、キミ」
カンタ「入隊前の環境で、食事の用意だけは鍛えられたのであります」
隊長「えー、そやけど自分、あのH.O.Tのカンタやろ? なんで食事の準備なんか…」
カンタ「いろいろあったのであります」
隊長「そ、そうなんや(ほえー)」
当直兵「(てってけ、てってけ)アン・チルヒョン訓兵、本部に電話やで」
カンタ「は? 自分にでありますか?」
当直兵「少女時代様からや」
小隊「な、なんやてーーーー!!(ドキドキ)」
カンタ「そ、それで、あの子らはなんと?」
当直兵「それが、なんやら腹減ったからソウルまでメシ持って来いゆうてるで」
小隊「わー、ええなぁ。自分、少女時代様の白馬の王子さまやん(ビンビン)」
カンタ「アホか…あいつら、そんな用事でこんなところまで電話して来やがって。除隊したら絶対オレの(ぴー)食わしてやるからな!」
小隊「わーっ、少女時代様に対する下品極まりないその暴言、いかに先輩ゆうても許されんぞ!(ボコスカ)」
カンタ「いててて」
隊長「アン訓兵、少女時代様侮辱罪で独房二週間!」
カンタ「ぴゃー、勘弁してくれー!」







セイントフォー…80年代のJ−Pop4人組ガールズグループ。
 少女隊の影に隠れ勝ちだが、これはこれでアクロバットしたりメガネっ娘がいたり、アバンギャルドな存在だった。
     セイントフォー『太陽を抱きしめろ』
    冒頭のバク宙シーンに注目(笑)


※デビュー当時、少女時代の白馬の王子はカンタだった。
 2008年1月のKBS『スターゴールデンベル』で、少女時代は全員一致で、もっとも好きな芸能界の先輩にカンタを選び、
 「練習するのに大変だったりお腹がへるときはカンタ先輩があたかも黒子のように現れておいしいご飯をおごってくれる」
 「昨年クリスマスの時もおいしい料理を食べながら一緒に過ごした。 辛い時にタイミングをばっちり合わせて現れては元気付けてくれる」と評した。
 あくまで食事ありきで、まるで猫が飼い主に抱く感情のようである(笑)。
 カンタの入隊(2008年4月1日)後、そのお礼か少女時代全員で面会に行ったことがあるらしいが、その頃の少女時代はもうスターになっていて、
 軍隊においては”少女時代様”だったのでかえって気を遣ったと除隊後テレビで語っている。
 カンタの面会については他にも面白い逸話があるので、別ネタで書きたいと思っている。