交通系ICカードによる全国相互利用サービスの実態
みなさまご存知でしょうか。交通系ICカードの全国相互利用サービスがつい先頃よりスタートしました。
「交通系ICカードの全国相互利用サービスを平成25年3月23日(土)に開始しました」
と、駅のポスターでも大きく貼り出されています。
今までSuicaは東日本でしか使えなかったし、TOICAは東海地方でしか使えなかったし、ICOCAは西日本でしか使えなかったのが、これで全国どこでも一枚のカードで交通機関を利用できる。へーやるじゃん。鉄道会社間に存する、かの強固な壁を、よくぞ取り払ってくれたものだ、そう思っていました。
3月末に神戸まで出掛けたのですが、実際、神戸市内の交通移動を、わたしはmanacaでやってのけることができました。manacaで、ピ。manacaで、ピ。
できたー。
ちなみにSuicaも持っていたので、試しにSuicaでも、ピ。Suicaでも、ピ。
できたー。
と喜んでおりました。
そして先日。今度は、名古屋−神戸間をmanacaで行こうとしたのです。新幹線ではなく在来線で。ルートはこうです。
名古屋→大垣→米原→神戸(片道3,890円)
乗るときはもちろんなんの問題ありません。manacaでピ。オッケー。
でも、神戸で降りようとしたときは、改札機に阻まれました。ピンコーン。
出られません。
仕方がないので駅員さんとこに行きます。「名古屋から乗ってきました」と告げると、「米原から鉄道会社が違うので降りられません。現金でお支払いください。」と。
がびーん。
つまり、相互利用が可能な範囲は、同一の鉄道会社の管轄内だけであって、他会社を跨いでの鉄道利用はできない、ということなのです。それって「全国相互利用サービス」って言えるのか?言えるのかな、うーん。言えるような気もするけど、言わなくていいような気もする。とかなんとか思っていたけど、ひとまず仕方がないので現金で払います。3,890円。ちーん。
では、このmanaca一枚で名古屋−神戸間を乗り継ぐことは、できないのだろうか。そこでこんな質問を投げかけてみます。
「じゃあ米原でいったん改札を出て、また新たに乗車しなおせば大丈夫ってことですか?」
この質問に駅員さんは「そうですね、運賃は変わってしまうかもしれないですけど」と。
ふーむ。
いくらmanaca一枚で行けても、運賃が大幅に高くなっては困ります。そこでどれだけ違うのかをその場で早速調べてみました。するとなんと、90円安くなる!?
名古屋→大垣→米原→神戸 は先ほども書いたように、片道3,890円
これを米原で一度降りると、
名古屋→大垣→米原 までが 1,280円
米原→神戸 が 2,520円
合計 3,800円
なんで一度降りたほうが安くなるのか疑問の残るところではありますが、安くなって、さらにmanaca一枚で行けるのなら、やってみない手はありません。
帰路、まずは神戸駅でmanacaをピ。そして米原で乗り換えの際、予定通り一度改札を出ます。ここで2,520円の支払いに成功。そのままUターンでもう一度manacaをピ。改札を入りなおします。もちろん成功。問題ありません。これであとは名古屋でもう一度manacaをタッチするだけです。へへーん、やってやったぜ。と思っていました。
ところが、名古屋でのmanacaタッチがまたしても失敗。改札機にはじかれます。なぜだー。なぜなんだー。
またしても駅員さんのとこに行き「米原から乗ってきました」と告げます。すると「このICカードでは降りられません。現金でお支払いください。」と言われます。神戸で降りようとしたときと同じ展開です。
アライグマは駅員さんに尋ねます。「米原が起点になって鉄道会社が変わると聞いたんですけど、どうしてmanacaで通れないんですか?」と。
すると驚くべき答えが返ってきました。
「米原から関が原までの区間はICカード利用が導入されていないのです。なので使えません」
なんとまあ。
米原から関が原の区間って、間は、柏原、近江長岡、醒ヶ井、の3駅だけです。そのたった3駅だけICカードを導入していない、と。なぜだ。なぜなんだ。鉄道会社間の壁をたやすく取り払うことができないように、わざとそういう緩衝地帯を設けているのかしら。採算が合わない?うーん。うーん。。。うーん。。。。。。
ムキーっ!!
アライグマは一枚で行きたかったのに!!manacaで行きたかったのに!!
と怒ってみても、行けません。
というわけで、名古屋から神戸まで、manaca一枚で行くことはできません。みんな気をつけてね。あとちなみに、運賃は米原でいったん降りたほうが、やっぱり90円安かったです。