「Flash Game Festival'05」感想・その3(「鋭華 ― e i k a ―」「ギコヴァリアリビジョン」「閃光魔法少女カルタン〜とげとげ森のおばけ〜」)(ネタバレ注意!)

開催中の同イベントに発表されたFlash作品の感想です。感想を書いてる奴は基本的にゲームが下手糞なので、クリアできなかった作品もあるのですが、その点はご了承ください。
このエントリーは前々回のエントリー前回のエントリーの続編になります。

ジャンルには「アクションゲーム」とありますが、内容は全くアクション然としておらず、パズルゲームとシューティングゲームを組み合わせて二次元的に展開させたような独特のゲームシステムを持った作品です。


スコアセーブ機能を実装、やりこめばやりこむほど自機がパワーアップしてクリアが容易になるという設定がプレイヤーを虜にする中毒性を醸し出していて秀逸ですし、プログラム自体も非常に完成度が高いです。それぞれ一長一短を備えた武器を選択し、知略と謀略を駆使して各ステージを攻略していくクリアメソッドは、無機質なデザインと相まった作品の近未来的なフォルムと併せてクールでスマートなものに仕上がっています。ディスプレイ上に表示された高性能レーダーのようなゲーム画面を見つめる静かな興奮は、家庭用ゲームではなかなか味わえない類のそれといえるかも知れません。


あえて不満点を言えば、ステージの背景とBGMのバリエーションが少なすぎるために、やりこむうちにプレイが徐々に作業的になってしまうことでしょうか。恐らく容量を少しでも軽くするために取った処置なのでしょうが、より高度なステージに挑戦するために似たようなステージを延々とクリアしなければならないのはやや億劫でした。ステージ選択がランダムなのもかえってこうした傾向に拍車を掛けているような気が・・・・・(もう少しステージ選択に幅があればそれでOKだったのでしょうが)。


一回目のプレイスコア:1793017
二回目のプレイスコア:3820086

申し訳ないのですが、僕のPCではこのゲームをプレイするのは不可能でした。ローディングだけで30分以上かかる上に、ゲーム画面も殆どまともに動作せず、映画「マトリックス」ばりのスローモーションの世界が画面上に展開していました(泣)。すべては僕のPCの低スペックゆえの問題だと思うのですが、それにしてもこの重さは・・・・・大変な力作のようですし、オープニングFlashも大好きだったので、本イベントの出品作品の中でも最も楽しみにしていた内の一つだったのですが、こんな結果になってしまって残念無念です。
触りだけ見た限りでは非常に面白そうなゲームだったので、PCの性能に自信のある方はチャレンジしてみることをお勧めしますが・・・・。


これだけではあんまりなので、せめてもの代わりとして同作者氏の「ギコヴァリア」の感想を書きます。「リビジョン」の叩き台になった作品のようです。

一見シンプルなシューティングゲームながら、ゲームシステムに準拠した戦略性を要求される作品です。
普通にプレイしていても楽にラスボスまで辿り着けるのですが、ボスの強さは圧倒的で、まともにプレイしていてはまず勝ち目がありません。そこで要求されるのは、「Buzz」システムによって敵の弾にかすることによる高速レベルアップです。雑魚相手に弾丸飛び交う死闘を(意図的に)繰り広げることで、自然と自機のレベルアップが促され凶悪なボスにも対抗できる手段を手に入れることになります。
独自のゲーム性を単なる「装飾」としてではなく、ゲーム性の根幹部分に組み込んだハイレベルな一作です。


(おまけ:ラスボス撃破時のスコア)
SCORE:227242396816
MAXBUZZ:1503
LEVEL:26

圧倒的に美麗なグラフィックで描かれる「とげとげ森」の概観に、初期のスーパーファミコンあたりが持っていたプレイヤーの冒険心を刺激する空想性が滲み出ていて思わずニヤリとさせられてしまいます。既存のアクションRPGの「いいとこどり」をしたようなシンプルかつユニークなアクションシステムといい、可愛らしくもどこか不気味なキャラクターのデザインといい、ワンステージのみという体裁でなければ普通に商業作品として出品できそうなクォリティの高さを誇っており、ポップで遊び心を鼓舞させるようなBGMも、本編の面白さを何倍にも引き立てています。


特に秀逸なのがマップ画面の見せ方で、ありがちな画面ごとの切り替え制ではなく、プレイヤーの目線に合わせて自由自在にカメラを動かすことで、主人公であるカルタンへの感情移入を促し、現実の森林で冒険しているかのような臨場感を画面に生み出すことに成功しています。
単なるキャラゲーに堕さない豪気な挑戦精神と、硬派なゲームシステムが融合した出色の一本です。

  • 総評

既存のゲームをFlash上で鮮やかに「再現」してみせる作品あり、Flashならではのゲームシステムを構築する作品ありのバラエティに富んだイベントになっていたと思います。
「南瓜狩」「閃光魔法少女カルタン〜とげとげ森のおばけ〜」などのベテランの作者氏による完成度の高い作品群も見逃せませんが、「鋭華 ― e i k a ― 」の「Flashゲームならでは」のオリジナリティや、新人である作者氏による「steel graveyard」のチャレンジ精神なども、イベントを語る上で見逃せない重要な要素になっていたように感じました。
本イベントも今年で通算三回目、第一回からのレベルの向上も理由として、来年再来年の開催も多いに期待しています。
素晴らしい作品を作られた作者の皆様、本当にお疲れ様でした。


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