無意識日記々

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オリコンがオワコンに。(<ソコは我慢しろよ)

オリコンが休刊になるそうな。と言っても、本家の業界誌「(オリジナル・)コンフィデンス」の方ではなくて、本屋で普通に売ってる方らしいけど。

Webに喰われた、というよりは、皆ランキングに興味がなくなった(若い世代はそもそも興味を持った事がない)のが原因な気がするが、本当の所はわからない。私も買った事があるので、今までお疲れ様でした、と言いたい。

宇多田ファンとしては「好きなアーティスト・ランキング」が無くなるのは痛手か。Web版で続けるんじゃないかな。

90年代のCD全盛時代はオリコン抜きでは語れない。「売れた」という表現がアナウンス効果として担保される為にはオリコンのブランドが必要だった。まさに、皆が一喜一憂したのだ。バラエティー番組で盛んだった「オリコンで何位以内に入らないと解散」の類いが真に迫ったのもオリコンの権威に依拠できていたからだ。

ヒカルの「First Love」を「日本史上最も売れたアルバム」と紹介出来るのも、オリコンが集計していてくれたからである。ヒカルのあの評判もまた、オリコン無くしては有り得なかった。アナウンス効果のフィードバックが発散したとしか思えないあの異様な売れ方の片棒を担いでいたと言っても過言ではない。

オリコン自体が無くなる訳じゃない。週刊誌がひとつストップするだけである。しかし、それでも、「時代なんだなぁ」という感想は持つ。アイドルしか登場しないチャートを見る位だったら確かになんとか総選挙の行方を直接追った方が面白いのだろう。人気度を数値化して競わせる、というコンセプトが同じだったのだから、グリコと森永とかトヨタと日産とかヤマハカワサキとか何でもいいが、オリコンの同業他社、ライバルは秋元康だったのだ。そして、ライバルとの競争に敗れた、と。合掌。


必ず売上とともに語られた宇多田ヒカルは、しかし、その土俵で戦う気はないだろう。レコード会社は勿論それで一喜一憂するだろうし、ヒカルは彼らが大喜びするのを見て「売れてよかった」と笑顔になるだろうから間接的なモチベーションとなる事は間違いないが、だからといって"その為だけに特化した"音楽を作り出すようにも、思えない。

そういう、人気度を数値化した価値基準で何か新しいものは出てくるか、というのが今年以降のテーマになりそうな雰囲気はあったが、オリコンの週刊誌の休刊はその一区切りにはなりそうな感じがある。CDの方ではないが、アニメDVD/Blurayの方も昨年からビジネス・モデルが崩れ始めている。円盤が売れるのは今やイベントやライブのチケット優先購入権が最大の理由である。もうCDと変わらない。まだまだ今週発売の「おそ松さん」なんかはとんでもない数字を叩き出しそうだが、全体として地盤沈下が進行しているのは間違いがない。

果たして、レコード会社は今年以降生き残れるだろうか。ユニバーサル・ミュージック・グループくらいのサイズになれば流石に次の5年10年でという事にはならないかもしれないが、全然異なる事業形態になっている事は有り得る。予断を許さない状況にはなってきた。

…と、危機感を煽るような事を書いている私自身は特に何も感じていない。曲を書いて演奏する人の営みが絶える訳ではない。インターネットが生きている以上、聴きたい音楽があるのに聴けないという状況が生まれるとは考えにくい。過去の名演や過去の名曲が手に入りにくい、というのはあるかもしれないが、新しく生まれる音楽は別。どうしても、となったら作った本人に直接メールして「聴かせて」と伝えるだけだ。

問題なのは、どうやって新しい音楽を見つけるかだが、これもまぁレビューサイトやブログとYouTubeを巡ってたら幾らでも出てくるからね…特に困らない。

逆に、ランキング・バトルの興奮を味わいたいと思ったらアイドルを応援すればよい、か。なんだろう、オリコンなくなっても実は別に困らないんじゃないの。日本に、でも、しかし、「流行歌」や「ヒット曲」を見いだしたいというのなら、何か他の方法を考えなくてはならなくなったね。それは難しい、これからの課題となっていくだろう。