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ホラー5バトル3ミステリ2
瀬那和章under―異界ノスタルジア (電撃文庫)メディアワークス,2008


第14回電撃小説大賞・銀賞受賞作品。「この世界は、常に異界の侵食を受けている。」という手紙を兄から預かったために非日常の世界へと巻き込まれる唯人の話。
兄の戒人に頼まれて探偵事務所に向かうのですが、普通の探偵はおらず、猫の仮面を被っているつっけんどんな少女・レムや見かけからして怪しすぎる秋雨など一癖も二癖もある人物ばかり。常識人っぽいのは同い年の灯香くらいか。
悪夢愛好会や事務所の社長であり反翼の魔女と呼ばれる蘭不、そして戒人なども絡んで話は展開していきますが、唯人が無力感に苛まれていたときの灯香の一言「私は、コーンを持って帰るのがせいいっぱい。」はイラストもあいまってよかったな〜。


序幕のコインロッカーの話はずいぶんと不気味でした。嫌悪感湧きまくり。電撃で異界なんて単語が登場するホラーというと甲田さんの作品が思い浮かぶんだけど、それとはちょいと異なる感じ。
甲田さんの作品が神の気まぐれとか天災的な「悪夢」の話なんだけど、この異界ノスタルジアは人の悪意が詰まった「悪夢のような」話といえばいいんでしょうか。
欲望が主に渦巻いている話なので、狂気の果てというよりはまだ理解できる感情ではありますね。異界などの設定もわりと説明されており、まったく把握できない恐怖ではなく、想像できるいやらしい怖さが描かれている印象でした。


瀬那和章さんの作品感想


この小説が好きな人にお勧めする3
1 断章のグリム  Amazon2 頭蓋骨のホーリーグレイル  Amazon3 ダーク・バイオレッツ  Amazon
1、甲田学人さんの小説「断章のグリム シリーズ」童話をモチーフにしたホラー。→シリーズ感想
2、杉原智則さんの小説『頭蓋骨のホーリーグレイル』ダークファンタジー。
3、三上延さんの小説『ダーク・バイオレッツ』紫の目を持つ少年と紫の右手を持つ少女の話。