世界の中心、針山さん 3

世界の中心、針山さん 3  Amazon
癒し4燃える3コミカル3
成田良悟世界の中心、針山さん〈3〉 (電撃文庫)アスキー・メディアワークス,2009
シリーズ感想
成田良悟さんの作品感想
成田さんの、はちゃめちゃでも最後は世界の中心に収束する短編集の3巻目。わりと久しぶりなのですね。
なよ竹の姫君は伝奇パンダの夢を見るのか」特殊な出自で常識を作られてしまっている少女が、竹槍でパンダとバトっています。この女の子が、相手を信頼するために全てを疑えと教育されてきた少年と出会う話です。
少年はひねくれているし、少女は突飛な話を語り始めるし、パンダは華麗なフットワークを魅せてくれます。ここに煙草を飲み込むパワーのある、成田さんお得意の狂人も乱入しおかしなうねりを見せます。
出だしはかなりひねくれた様相を呈していますが、ボーイミーツガールものとして手堅く仕上がっています。ニンニン。


工場長のドリームチェイス」小学校の頃に見たアニメに影響され、ロボットに乗るという夢を叶える為だけに努力する親父の話。一番好きです。
ロボットばかりに目を向けていることに腹をたてている娘も、からかわれて反論する姿がかわいいです。夢がおじゃんになりかけた父親を見守るのもよかー。「私は父さんを応援するつもりはないから」しびれます。
罵倒されようが仲間を裏切ろうが悪魔に魂を売ろうが、体面を考えずがむしゃらにあの手この手を駆使する親父を思わず応援していました。周囲の人たちも純粋な人たちばかりで、なんて素敵な世界なんだろう。
終盤のまとまり方は、かっこいいの一言。私はロボットに憧れたことはそこまでないのだけれど、この工場長の生き方には憧れます。