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湯本香樹実「わたしのおじさん」。
真の主人公は「わたし」のお母さんになるわけですね。お母さんは幼いとき弟を事故で亡くし、父母も既に他界。弟の死には自分の責任を未だ感じており、塞ぎ込んでいた時期もあった。しかし良い人とめぐり合い結婚、幸せの中で今新しい命を迎えようとしている・・・というストーリーが一方にはある。お母さんの心の中で、死んでいった家族と新しい命が出会い幸せなときを作り上げている理想郷が形成され、昇華されて幸福に満たされる感じ、といいますか。
書店のレヴュー
「わたし」は目覚めると草原にいた。そして木の下でこうちゃんと出会う。こうちゃんはわたしのおじさん。◆これはP90弱の絵本で、さらっと読めてしまう作品ですが、テーマは生と死。大人向けといってもいいかも。人はどこから来て、どこに行くのか。このお話では、死んでしまった人の魂とこれから生まれてくる魂が同じ世界(人の心の中)に同居している。こんな生死観は今までなかったような気がする。植田真さんのイラストが静かな世界−人の心の奥のイメージを広げ、穏やかに死者を送り新しい命を導けますようにという願いが込められている気がします。★★