信州松本・弘法山古墳の桜

松本・並柳の弘法山には頂上に古墳がある。地元ではちょっと小高い丘という感じだが、頂上の古墳の部分を残し、桜の帯が山腹を取り巻いている。30数年前に植えられた桜が今、成長し花を咲かせている。市内の桜の名所としてはユニークかつ比較的新しい花見のスポットなのである。

 こんもりとした小山、その鞍部でクルマを降り、10分ほどの山道を登ると山頂にたどり着く。遠く雪をいだくアルプスと松本・安曇野の平をほぼ一望。その前方に箱庭のようにさまざまな建物が並んだ松本の町並みが見える。弘法山には、山すそから山頂付近までソメイヨシノ、ヤエザクラなどが約2000本植えられており、その淡い桜色が景観に彩を添える。

山頂には、古墳としては珍しい形態とされる「前方後方墳(ぜんぽうこうほうふん)」がある。3世紀〜4世紀頃のものらしい。卑弥呼の時代だろうか。全長66メートルの前方後方墳(前も後ろも方形という意味)。この規模の古墳では、東日本で最も古いものとも言われ国指定文化財に指定されているという。この古墳に葬られた有力者の活躍した時代に思いを馳せながら、古墳の上から眺める桜と下の街並みを眺めるのも一興である。
 
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