択捉島岸壁工事 韓国企業が工事開始

【モスクワ大前仁】ロシア通信によると、韓国の建設企業が29日までに北方領土(ロシア名・南クリル諸島)の択捉島で岸壁建設工事を始めた。「クリル諸島社会経済発展計画(07〜15年)」の関係者が明らかにした。ロシア以外の外国企業が北方領土の開発事業に参加するのは初めて。日本政府は、ロシアの法律に基づく外国企業の事業参加は、ロシアの主権を認めることになるとして反対してきた。
工事は現地にあるロシアの水産会社「ギドロストロイ」が主導。択捉島中部クリリスク(日本名・紗那)近郊にあるキタボエに総額14億ルーブル(約34億円)を投じ、ふ頭や桟橋を建設する。年内の完成を目指す。下請け企業となる韓国の「クムト総合建設」が今月20日ごろに技術者や労働者を現地入りさせ、建築資材や機械を搬入していたという。
日本政府は、日本の法的な立場を害さないという前提で、ロシアとの間で北方領土の共同開発の可能性を検討している。ロシアによる、韓国や中国の企業に対する事業参加呼びかけを憂慮してきた。山根隆治副外相は25日にモスクワで、モルグロフ外務次官と会談した際、択捉島の岸壁工事について、領土問題を解決するための「静かな環境」を損ねかねないと指摘し、「ロシアにとってマイナスになる」との日本側の見方を伝えていた。<<