露スクボルツォワ保健相 色丹島を訪問

【モスクワ=黒川信雄】イタル・タス通信によると、ロシアのスクボルツォワ保健相は18日、北方領土色丹島を訪れた。ロシア要人が北方領土を訪問したのは、昨年9月にプーチン大統領側近のイワノフ大統領府長官が択捉島を訪問して以来。ロシアの実効支配を固める動きとして、日本政府の反発を招くことは必至だ。
スクボルツォワ氏は色丹島で最近完成した病院の開設式に出席した。露保健省は、新病院が最新式の医療設備を備え、従来できなかった医療サービスを提供できると主張している。病院で勤務する医師や看護師には、住宅なども提供されるという。開設式にはサハリン州のコジェミャコ知事代行も出席した。
ロシア政府は北方領土のインフラ整備計画を進めており、新病院はその中心的な事業とみられている。保健相の訪問は、中央政府による極東開発の進展をロシア国内にアピールする狙いもあるとみられる。
安倍晋三首相は6月24日、プーチン露大統領との電話会談で、プーチン大統領の年内訪日の実現に向け調整することを確認しており、北方領土へのロシア側閣僚の訪問は、今後の日露間の交渉に影響を与える可能性がある。
国家安全保障会議(NSC)の谷内正太郎国家安全保障局長が今月7日、ロシアを訪問。大統領訪日の前提となる岸田文雄外相の訪露とラブロフ外相との会談が、8月末から9月初めで調整されている。<<