HC-110を買う

 先々週あたりに主として使っているペンタックスMZ-10のカメラの電池が切れ、その後すぐにフィルム現像液(ミクロファイン)と定着液(ハイパムフィクサー)を同時に使い切ってしまった。さらに寒さと体調不良も重なってもう三週間ほどほとんど撮影もしていなければ現像もしておらず、もちろんプリントもしていない。通販で買ったカメラの電池がそろそろ届くと思うのでそしたら撮影再開と思ってはいるのだけれど、さて次の現像液は何にしようか考えた。

 ここのところ二十本くらいはずっとネオパンプレストをEI200で撮り(=カメラのISOを200に設定してる)、ミクロファイン1:1で、1分に5秒攪拌で現像ということをやっており、この組み合わせに特に不満は感じていない。希釈現像であるため温度の調節も容易、液は使い捨てなので時間はいつも同じ、さらにミクロファイン自体、たいへん安価である。イヤなところといえば粉末を溶かすのがちょっと面倒だし、吸い込みそうで体に悪そう、といった点くらいであろうか。肝心のネガの出来に関してはまだ厳密な判断を下せるほどの目は無いのだが、すくなくとも過去にSPDやT−MAX現像液で処理したものよりはよさそうである(ただたんにそれらの現像液を使いこなせていなかったという可能性が非常に高いが)。

 じゃあ次もミクロファインで、と思うのだがそこはやっぱりネー、飽きちゃうというかネー、いろいろ試してみたいわけである。希釈、使い捨て、できれば安いといいな、と思った。

 というわけでこれまで使ったことの無い現像液を検討していたのであるが、Flickrなんかを見ていると海外ではアグファ社のロディナール(Rodinal)なる現像液が人気のようなのである。ロディナールは静止現像とか半静止現像とか向いていて、さらに液体を1:25とか1:50とか1:100とか時には1:200とかに希釈して使えるようなのである。これは面白そう、と前から気になっていたのであるが、残念ながらロディナールなる現像液をヨドバシカメラビックカメラの店頭で見たことが無い。通販では手に入るようだが、そこまでしなくてもなあ、と考え直した。そこでロディナールに似ていると勝手に判断してコダックHC-110を買ってみた。474mlのボトルで1700円ちょっとであった。

 買ってきてから知ったことであるがHC-110は、便利さや経済性の面で優位であるが、粒状性などは優れているものではないらしい。HC-110はアンセル・アダムズが著書の中でオススメしていた現像液であるらしいが、粒状性の悪化なども大判ではフィルムが大きいから問題にならない、とのことのようである。Suzuki Ryuji氏によるこのページ(http://wiki.silvergrain.org/wiki/HC-110)には35mmや中判ではオススメできないとある。

 なんだか使う前からガックリ来てしまったのであるが、微粒子であれば良いというわけではあるまい。HC-110は保存性に優れているのもその利点の一つ。気に入らなければほかのを買ってきて使い、HC-110は緊急用あるいは気分転換用などに保存しておいてもいいのだ、と思い直した。とりあえず使ってみなきゃ話にならない。

 HCはHigh Concentrateすなわち、高濃縮を意味しているようである。高濃縮であるということは高希釈して使うわけで、最終的には30倍とか60倍とか120倍くらいにして使う。120倍なら35ミリフィルム200本以上は現像できる計算になる。1700円で200本だから1本あたりの費用は10円もかからないほどの安さである。HC-110に関しては

Kodak HC-110 Developer - Unofficial Resource Page(http://www.covingtoninnovations.com/hc110/)

 というサイトが大変詳しかったのでここを参照し検討した結果、まずは1:63に希釈して使ってみようと考えた。この希釈はコダックが発表しているB希釈の二倍に希釈するものでH希釈と呼ばれているようである。以下、上記サイトを参照にかない大雑把に算出したトライX(EI400)(EI200)とアクロス(EI100)での予想現像時間。まずはここら辺あたりから試してみようと思う。

あ、Tri-X EI200とEI400が逆だ。