FX-1テスト



 ボイトラーとかFX-1という高鮮鋭タイプの現像液に関する情報はかなり少ない。少ない理由は、市販のものが無いため(テテナールのNeofin Blueというのはボイトラーらしいが…)、基本的に自家調合に限られるということと、これらの処方は古い処方であり、現在の新型フィルムにはあまり有効ではないらしいということ。

 現像液自家調合関連のページを読んでいると、どうもやはり最近の流行はパイロ系統の染色現像液(Pyrocat-HDなど)と、ビタミンC(アスコルビン酸)系統の現像液(Xtol、PC-TEAなど)であるようである。性能的にもD-76に代表されるようなハイドロキノンとメトールを使った古いタイプの現像液よりも優れているようである。コダックのサイトを見てみてもXtolに関するデータが突出して充実しており、この現像液に力を入れていることが伺える。

 ボイトラーやFX-1に関しても新しいタイプのフィルムには合わないとか、古いタイプのフィルムでもPyrocat-HDのほうがシャープで粒状感に優れ、感度も出るとか、出鼻をくじかれたような気分になる記述を見かけるのである。

 んが、まあ…とにかくやってみることにした。

ボイトラー現像液 使用液1リットルあたり
メトール 1g
無水亜硫酸ナトリウム 5g
炭酸ナトリウム1水塩 5g

FX-1 使用液1リットルあたり
メトール 0.5g
無水亜硫酸ナトリウム 5g
炭酸ナトリウム1水塩 2.5g
ヨウ化カリウム液(0.001%) 5ml

 上の通りボイトラーとFX-1という処方を比べてみると良く似ている。ボイトラーは二つの液を作り使用前に混合するようになっているのであるが、使用液で比べてみると違いは炭酸ナトリウムとメトールの量とヨウ化カリウム0.001%液があるかないか。『暗室百科』を見てみるとヨウ化カリウムはなくてもいいらしいので、無しということにして、FX-1を試してみることにした。

 時間は良く分からないので、二十五度で九分で攪拌は一分おきに二回で行った。フィルムは2001年に消費期限が切れたネオパンプレストでカメラの感度は320に設定した。




ネオパンスプレスト(期限切れ)/ペンタックスMZ-10/SMC PENTAX-P 50mm/フィルムスキャン

●結果

  • 現像ムラ
  • カブリ大
  • 確かにシャープかも?
  • 現像不足
  • EI320では露出不足

 問題はカブリで、これはやはり期限切れだからという可能性が大。テストなのに期限切れ使っちゃあんま意味ないんだけど。あとは現像ムラが問題で、攪拌にはけっこう気を使ったのにこの結果は至極残念である。

 ボイトラーにしてもFX-1にしても粒状感が非常に悪化するので低感度フィルム向き、ということだったんだけれども、これはこれでもいいんじゃないだろうか、と感じた。しかし、プリントしてみないことには良く分からないだよなあ。