『エリジウム』



(惚れた女の為ならエンヤコラ・・・!)


『第9地区』の監督がまたSF撮るよ!ってことで観に行きました。
この予告動画じゃないバージョンで「そこ(エリジウム)が偽りの楽園でも〜」みたいなことを言ってたから
てっきり『トムリビオン』的な「そんなもんありませんでした〜!!」みたいなオチかと思ってましたが違いました。
これからご覧になる方で、そういった肩透かしにビクビクしている方がいらっしゃったら言っておきたいのですが、ご安心ください。エリジウムはあります。

さて、感想ですが一言で言うと超下衆いし欠点はある映画だけど感動するし、話的には結構深みのある良い映画だと思いました。


先に良くなかった所を挙げると、描きたいものがはっきりしすぎて監督が興味ないことがあまりにもわかりやすすぎる所ですね。
後述しますが、武器や乗り物などは凄く凝っていてカッコ良いんですが、
例えば主人公が職場でロボットを加工(?)する作業をしてる最中に誤って大量の放射線を浴びてしまうんですけど、
その時の主人公が「あああああ!あかん!あかん!!」みたいな感じでなんか「オーブンにでも入れられたのかよ」って感じで引っかかりを感じてしまいました。
(人体への放射能汚染描写としてもイマイチでしたし)
あと、その直後主人公が務める会社の社長がやってきて「めんどくせーから薬渡してそこらへんに捨てとけ!」って感じで身捨てることで
主人公の恨みを買ってしまうという結構重要な場面があるのですが、経営不振とはいえ生産ラインに社長が来る必要がわからない上に、
きったないつなぎを着ている社員だらけの中、富裕層のイメージを付けたかったからか社長だけスーツを着てるのも浮いてしまっていたし、
そういう違和感を紐解いていくともうちょっと考えられなかったのかなと思う所は多々ありました。

ラストが重要なのはわかるんですけど、例えば現実世界にあるものだから細かいことに違和感が生まれるんだから、もう思い切ってゲッター線みたいな名前を付けてしまうとか、
恨みを買ってしまう所もストーリー上必要な場面なんだったらせめてスーツ着た「人間の秘書」くらいつけてくれないと、
社長一人だけスーツって、バカ倒産寸前なのに見栄張っちゃってる悲しいヒトに見えちゃいますよ。
それかもういっそのことエリジウムにいる社長が、ビデオチャットで現場の部下に「そいつ捨てちゃって」という指示を出してるのを主人公が隣の部屋で聞いちゃうとかね。

結局何が言いたいかっていうと、こっちもSF的な要素を楽しみにして観に行っているのに変な所に気を取られると本題に集中できないんですよ!


肉がうまい店に肉を食いに行って、前菜として「しめじとかにんじんとかを煮てから炒めた奴です」ってわけわかんない料理出された気分ですよ。(わかりにくい例え)

要は無難でも良いからちゃんと興味ない所も作って欲しいなということです。


さて、ここからは良かった所なんですけど、
やっぱり上にも書きましたが武器とか戦闘機みたいな乗り物とか、あとパワードスーツみたいなのはカッコ良かったですよ。
「車に乗って銃を撃って金持ちを襲う」っていうやってることは完全にギャングなんですけど、銃とか武器とかが凝っているだけでもっと魅力的なものになるんだなと思いました。
そしてこの映画の魅力は下衆さ!というかM・クルーガーという男!
主人公を最後まで邪魔する性格最悪で最強のおっさんでそのヤバさが原因でクビになっちゃうんですけど、
クビの理由は設定的には「15件の非人道的な行為をした為に〜」ってなってるんですが絶対もっとやってるだろ・・・!
って思うくらいクズおじさんでした。

ここまで「人間として終わってる」感のある敵キャラってなかなかいないと思いますよ。
美学とか哲学とか、そういったものを中途半端に持たせたことによってこじんまりしちゃうことが多いと思うので、
単純に「こいつとは一生関わり合いを持ちたくない」と思わせる様なこのキャラを作っただけでもこの作品は素晴らしいと思います。


あと、近未来SF的な楽しみ方が出来るだけに見逃されがちだと思うんですけど、
もう本当にどうしようもない所から文字通り粉骨砕身をして世界を変え、未来へと希望を繋げる話なので、凄く好きです。
こういう話自体が僕にとって希望になるので。
アメリカの宗教文化的な側面から考察すると、主人公がしたことは「自己犠牲」という風に捉えられるかもしれないんですけど、
僕はそこは意識してないというか、もはやそういうの通り越して結局主人公は自分がしたいことを貫き通したんじゃないかって思うんですよね。
「俺が死んでも皆が幸せなら」っていう気持ちももちろんあると思うしそもそも自分が助かる為に行ったわけですから、
それがどんなに辛いことかっていうのもわかりますけど、その反面、自分は何者でも無かったけどクソみたいなこの世界を変えてやる!
っていう思いが主人公の中で後半強くなっていったと思うのでそう思いました。


引っかかる所も少々ありましたけど、僕の中では結構勇気づけられる映画でした。


<補足等>
ジョディ・フォスターもヤな中年の役が板に付きましたな
・M・クルーガーの人、『第9地区』のあのヘタレ主人公ってこの感想書くまで気付かなかった・・・
・この主人公から出てる童貞臭半端じゃない
・「お前とは付き合えんが、私の娘を救え!」と言ったあの幼馴染許すまじ!
・で、そのM・クルーガー役のシャールト・コプリーを調べてて知ったんだけどハリウッド版『オールドボーイ』の監督ってスパイク・リーになったの!?(唖然)

『地獄でなぜ悪い』



(二階堂ふみは可愛い。成海璃子は綺麗。星野源は面白い。堤真一も面白い。長谷川博己は変。)



わ〜!面倒臭そうな映画だ〜!(予告を観ながら)


先に言いますが園監督の映画は『愛のむきだし』まで好きで、それ以降は全然好きじゃないです。
愛のむきだし』もそうでしたけど、変な映画を撮る人だっていうことは間違いないと思うんですけど、
今回は特に変・・・というかおかしな映画でした。
特に前半の自主映画を作っている人達の青年期みたいなシーンははっきり言ってちょっとキツかったです!長いし!
合う合わないがある監督というのはわかっていますし、作品ごとの波が激しいのもわかってるんですけど、
かといってそれは全然映画の評価や完成度とは別で、面白くないものは面白くないし、気持ち悪いものは気持ち悪いんですよ。

先に書いた様に一人一人は凄く光ってる所もあるんですけど、全体として観ると作品としては「なんか乗れないね!うん、乗れないね!」っていうテンションになっちゃうんですよね。

いや、盛り上げる所をきっちり盛り上げてくれれば何の問題もないですし、
過去作を観てもクライマックスでバチーンと盛り上げてくれる監督なのでそういう期待をしてたんですけど、
そこもなんかイマイチだなぁ・・・っていう感想を持ちましたよ・・・。

ご覧の通り、僕は理屈臭い映画ファンなのできっと合わないんでしょうね!でも本当に真剣に映画は観ていますよ!

でも「娯楽作品!」とか「エンターテイメント大作!」とか言われれば言われる程楽しめなくなってしまうんだなと今回思いました。


それは前に少し書いた「自分の好きな作品をゴリ推しすること」とも通じることなんですけど、当たり前のことなんですが、
普通の温度で、普通に映画を観させて欲しいなって思います。


あ、それとは別に坂口拓さんは凄く良かったです。本当、好きな俳優さんだっただけに、引退されて悲しいですが。


100人中90人がこの映画大好きっていうのなら俺のひねくれ根性が駄目なんだと思います!

でも俺は残りの9人と仲良くなります!!(これこそひねくれ根性)


<補足等>
・鋭(坂口拓)のラストってもしかして『ドラゴン怒りの鉄拳』のオマージュ・・・?でもそれだったら撮っている向きが違う・・・(ブツブツ)
・公次の頭に刀ぶっ刺したんだからせめてそれを活かす展開を・・・(ブツブツ)
・カメラマン役の二人が不快過ぎる・・・(ブツブツ)
・でんでんは面白かった(ここだけはっきりと言う)
・あと堤真一の殺陣が観れて良かった(JAC時代を観たことないので)



次はもっと面白い感想を書ける様な映画を観たいと思います!!ええ、反省のフリをした責任転嫁です!

にほんブログ村 映画ブログ 映画日記へ

web拍手 by FC2