#hayanoquiz に解答してみました(続き)

今日も


【問1】
上図参照

【問1の答】
①反電子ニュートリノ
ダウンクォーク
アップクォーク
弱い相互作用
⑤W−ボゾン

【問2】
セシウム137→バリウム137のβγ崩壊に関する問題:この崩壊で出るβ線は物質を透過する能力が低く,
γ線は透過力が強い.それはなぜか,簡潔に答えよ.

【問2の答】
β線電荷をもつため、物質中の原子核や電子と電気的な相互作用をしてエネルギーを失うが、
γ線には電荷が無く、電気的相互作用を起こさないため。

【問3】
I-131(半減期8日)とCs-137(半減期30年),
各々同数の原子核があったとき,そのベクレル値 Bq はどちらが大きいかを述べ,その比率を計算せよ.

【問3の答】
dN(t)/dt=-λt、T=0.693/λ より、
同数のI-131とCs-137があった場合、
ベクレル値の比率は半減期の比率の逆数となる。
よって、ベクレル値の大きいのは半減期の短いI-131の方であり、
ベクレル値の比率は30年/8日=30x365/8=1368.75

【問4】
問1に出題の①の粒子は(正常に動いている)原子炉からも出ている.
一方,①とよく似た粒子が太陽から飛んで来ている.それはなぜか,簡潔に述べよ.

【問4の答】
太陽の中では 陽子4個→ヘリウム1個+電子ニュートリノ2個 という核融合反応が起きており、
生成物の電子ニュートリノは物質とほとんど相互作用しないため、大気を抜けて地上まで飛来する。

【問5】
文科省http://bit.ly/gefRsP で環境放射能水準を公表している,
たとえば岡山県の過去の平常値の範囲は0.043〜0.104µSv/h,
一方,沖縄県では 0.0133〜0.0575µSv/hと有意に低い.この主たる原因は何か.

【問5の答】
環境放射線に影響を与える放射線のうち、宇宙由来の放射線は岡山と沖縄では大きな差が無い。
地球由来の放射線を考えた時、主なものはRn(ラドン)とその壊変生成物であるが、
Rnの同位体のうち、最も自然界に多く存在するのはRn-222であり、花崗岩等に含まれるウラン(U-238)に由来する。
岡山の地質は花崗岩を多く含むため、沖縄と岡山で環境放射能の有意差が出ると推定する。

【問6】
【同じ個数の】X線γ線を比較した場合,人体への影響が大きいのはどちら?

【問6の答】
X線γ線はどちらも電磁波(光子)であり、違いは波長(エネルギー)である。
X線γ線を比較すると、X線の方が光電効果により原子を励起する確率が高い。
一方、γ線X線と比較すると物質と相互作用する確率が低い。

人体を透過する確率で比較するとX線よりγ線の方が人体と相互作用をせずに
透過する確率が高いため、X線の方が人体への影響が大きい。

【問7】
福島で放水作業にあたっておられる陸自の方々は,厚さ3ミリの鉛板入の防護服を着ているhttp://bit.ly/hHMSkg
①なぜ鉛か(易問).
また,②3mmの鉛により放射線の影響を何分の1ぐらいに押さえられるかを概算せよ(難問)

【問7の答】

問題の原子炉の周囲で発生していると推定される放射線のうち、
α線β線は3mmの鉛で遮蔽することができる。
放射能から発生するγ線を吸収する能力は、原子番号Zの5乗にほぼ比例するため、
原子番号の大きい鉛を用いることは理にかなっている。


手元に数値がないので、計算方法だけですが。
妥当な範囲で安全側に計算するため、環境放射線をCs-137によるものと仮定する。
Cs-137が発生するγ線のうち最もエネルギーが高く、発生確率も高い662keVのγ線について、
鉛に対する減衰係数を調べる。
3mmの鉛による減衰の割合は、調べたエネルギーのγ線による鉛の減衰係数(cm^2/g)x鉛の密度(g/cm^-3)x鉛の厚さ(cm)で計算できる。
これは安全側の計算であり、実際の放射線α線β線γ線の混合物であるため、
実際の放射線の影響はこの評価より小さくなる。