映画は時代を映す鏡 

<ブログ18年目です>

小津監督の秋

麦秋」「彼岸花」「秋日和」「小早川家の秋」「秋刀魚の味」と、”秋”をタイトルとした映画が多いこともあって、毎年この季節になると、むしょうに小津安二郎監督の映画が観たくなる。

そこでDVDで2本鑑賞。

小早川家の秋
つくり酒屋のご隠居(中村雁治郎:写真右)が、お妾さん(浪花千栄子)宅で死ぬまでをユーモラスに描く。
何度観ても、むしろ観れば観るほどに中村雁治郎の素晴らしい演技に脱帽する。
隠居生活かくありたしと監督自らも楽しみながら作っている様子がみてとれる。

秋日和
3人の紳士(佐分利信中村伸郎、北竜二)たちのが、かつての憧れの君(原節子)の娘(司葉子)の縁談話に絡んでいく。
紳士たちの味のある会話、バカを言っていても相手を敬い気遣う。
そこには監督の人をていねいに見つめる姿勢が貫かれていた。

”品格”を重んじた小津監督。
昨日国会での安保関連法案可決時の騒動をみていると、今や映画に登場した紳士たちのような人間は日本にいなくなってしまったのか、と寒い気持ちに・・。